AIJが運用の年金基金一覧(判明分) 金融庁の怠慢 福岡トラック基金40億円
※26日更新
AIJが運用の年金基金一覧(判明分) 金融庁の怠慢 福岡トラック基金40億円
AIJ投資顧問は、122件の企業年金の計1,870億円を含め総額2100億円を預かり、昨年まで配当してきたものの、蓋を開ければ200億円の資産しか残高がないという。
AIJは、博打と同じである約57兆円のデリバティブ取引を行っていたことが判明、高リスク商品取引で失敗した疑いが出てきている。
一昨年1年間に実施した先物取引とオプション取引を合わせたデリバティブ取引高は、約57兆円に上っていた。こうした損失リスクが高い取引を積極的に行った結果、多額の損失が発生して、企業から預かった年金資金の殆どを失った疑いが出ている。
WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、2009年に日本の格付会社「格付投資情報センター(R&I)」が、名指しはせず「不自然な」会社として警告していたと伝えている。
R&Iは09年、顧客宛てのニュースレターで、社名には直接言及しないながらも、市場が低迷する中で「不自然な安定配当」をする会社としてAIJを取り上げ、米国の巨額金融詐欺事件になぞらえ、日本のマドフ事件になりかねないと警告していた。年金業界の大半の専門家には特定するのに十分な説明だったといい、R&I社は、日本の金融当局ともこうした懸念について議論したという。これが事実ならば、早期に検査に入らなかった金融当局、被害を拡大した大きな原因となり、責任が問われよう。
(マドフ事件は、ユダヤ系アメリカ人のバーナード・ローレンス・マドフが、証券会社「Bernard L. Madoff Investment Securities, LLC」(バーナード・マドフ証券投資会社、)を創業、会長兼CEOとして30年にもわたって顧客を騙し続けた巨大金融詐欺事件。
2009年6月12日、マンハッタン連邦地裁において650億ドル(当時110円と仮定して約7兆円)規模の投資詐欺事件に発展した。
証券取引委員会(SEC)の職員が、少なくとも1999年からマドフによる不正行為に関する情報を得ていたにもかかわらず、上層部に報告がなされていなかったことを証券取引委員会が認めた。そのため「証券取引委員会の怠慢が不正を助長した」などと米欧メディアでは指摘された)。今回の日本とそっくり。
人様のお金を預かり運用する会社を認証している金融庁。認可後殆ど監査もせず、今回の事件が発生している。小泉・竹中の売国奴一派に追随し自由化した時、監督官庁として金融庁は、危険性をどうしたら最小限に食い止められるか細々にわたり検討する必要性があったにも関わらず、浮かれポンチに一定の形式さえ充足していれば、猫も杓子にも認可してきた功罪が、AIJ事件に帰結している。
日本の法律は、こうした自由化なり、規制なりを法制化した場合、何か大きな事件が発生しない限り修正せず、当初はザル法として必ず制定する。アホばかり。
そうしたことから、今回のように認可されれば、認可された団体はやりたい放題となる。AIJのように、認可され巨額な預かり資産を運用しているにもかかわらず、事業年毎の報告書を当局に提出させるだけで、事業年や四半期ごとの監査など皆無で放ったらかし。それも粉飾された決算書を金融庁は後生大事に保管しているだけである。
<AIJに運用委託していた基金一覧(判明分)>
北海道乗用自動車厚生年金基金は、総基金額の約8%弱にあたる15億円を。
北海道トラック厚生年金基金は、総基金額の約6%弱にあたる20億円を。
安川電機が総年金基金は、総基金額の約2%にあたる17億円を。
福岡県・佐賀県トラック厚生年金基金は、総基金額の約3割にあたる40億円を。
アドバテストは、総基金額の約8%にあたる17億円を。
京都府建設業厚生年金基金は、総基金額の1割強の15億円を。
(本年1月末の資産残高が19億円という残高証明書まで送付されてきている)
長野県病院厚年基金は、総基金額の2割弱にあたる約36億円を。
長野県機械工業厚年基金は、総基金額の約6%あたる10億円を。
長野県建設業厚年基金は、総基金額の約34%にあたる64億円を。
名古屋乗用自動車厚生年金基金は、総基金額の約10%にあたる10億円を。
福井県トラック厚生年金基金は、総基金額の5%にあたる約3億円を。
新潟県機械金属工業厚生年金基金は、総基金額の10%にあたる約6億円を。
長崎県トラック厚生年金基金は、総基金額の2%にあたる約2億円を。
運用依頼金額は不明であるが、
長野山梨石油年金基金
甲信越印刷工業年金基金。
東北六県トラック厚生年金基金(宮城)
愛鉄連厚生年金基金(愛知)
富山県中小企業団地厚生年金基金
AIJは、ハゲタカ御用達のタックスへブン地ケイマンの私募投資信託に運用依頼していたようにして、監督官庁の調査の追跡から逃れる方法を採っていたようであるが、ここ6年間まったく金融庁(証券等取引監視委員会)が調査に入っていなかったことが判明している。
AIJの顧客の大半は、上述のトラック基金のような建設業、電気工事業などの中小企業による総合型の厚生年金基金だという。金融知識に乏しいそうした団体をターゲットにしていたのである。
上場会社のように四半期ごとに残高をチェックしていけば、こうした大きな資産の毀損は発生しなかったはずである。
安愚楽牧場事件でもしかりである。人様のお金を集め運用するならば、それなりに債権債務を第三者の監査法人にチェックさせ報告させていれば、こうした大きな問題は生じない。
今回の事件もアメリカから、自由化自由化と迫られ、金融庁が、ノーズローに制度を取り入れたことが最大の原因である。
AIJ投資顧問の浅川和彦社長は、大手証券会社のOBだという。大手証券会社OBたちは、山一證券にしろ、野村證券にしろ、多くが、ハゲタカになるか、こうしたデタラメ投顧問資会社をやっている。オリンパス事件でもわかるとおり、ろくでもなく悪智恵の働くものたちが多すぎるのが現実だ。 浅川は逮捕を前提に、以前からかなりの額を地下に沈めている可能性が高い。証取委などジャコで見つけもきらないだろうが。
証取委もこうした大手証券会社OBのワルを採用して、調査対象会社の手の内を見出だし、現在、もったいぶって長期間かけて案件を挙げるのをもっともっと迅速化させるべきである。
2011年3月28日に提出された2010年12月期の事業報告書
http://www.aim-ij.com/20120224-22rep.pdf
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
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