穴吹工務店のスポンサーを探る②/穴吹興産偏
破綻した穴吹工務店の場合は、生きているコスモスイニシアと異なり、法的に債務をカットすることができる。特に銀行借入金が1,165億円と膨大であり、その50~60%とかなりの部分を一般債権化させた穴吹工務店は、銀行との取引なしでは難しいデベロッパーの会社更生を可能にする可能性が高い。
<穴吹工務店09年3月期の要約貸借対照表>※連結分
連結/百万円 | 09/3月期 | 科目 | 09/3月期 |
流動資産 | 139,622 | 流動負債 | 127,792 |
現預金 | 17,951 | 買掛債権 | 21,827 |
売掛債権 | 6,001 | 短期借入金 | 90,121 |
棚卸資産 | 96,164 | 前受・預り金 | 9,853 |
販売用不動産 | 15,755 | 固定負債 | 43,451 |
固定資産 | 35,795 | 長期借入金 | 33,098 |
不動産 | 25,037 | 純資産計 | 4,178 |
資産計 | 175,421 | 負債+純資産計 | 175,421 |
借入金合計 901億21+330億98=1,232億19百万円 金融債権者リスト計1,165億14百万円
一般債権者126億50百万円(100万円以上)
それでも2~3年は、カット資金で飯は喰えようが、それ以降は先が見えなくなる。そこで浮上するのがスポンサーの存在。下手に再生ファンドを最初の段階から導入すれば、グループの解体利益を持ち逃げするだけである。
いずれにしろ、スポンサーが必要となる、会社更生を終結させるほどの会社が現れることである。そこで浮上してくるのが穴吹興産。
同社のスポンサーの可能性を追ってみる。
同社は、穴吹工務店のグループ企業として設立されていた経緯があり、2000年に完全離脱するまで、グループ企業であった。元々穴吹興産の社長は、今回首になった穴吹英隆社長の実弟であるが、仲は決して良くないと言われている。しかし、穴吹興産の役員4名全員1976年~61年にかけ穴吹興産に入社しており、その間穴吹工務店グループの一員として活動していたことから、穴吹工務店の新経営陣を知り尽くしている関係にある。人的な融合面からは問題はなさそうだ。
しかし、穴吹忠嗣社長は、これまで穴吹工務店に対してライバルのような動きをして今では完全に独立しており、また穴吹工務店の方が規模も大きく、殆ど目はないと思われる。
そこで浮上するのが、穴吹カレッジグループを率いる母親のキヌエ氏の存在である。先般まで穴吹工務店の会長も務めていた。新役員陣との親交もある。次男が経営している穴吹興産とも以前からアルファシリーズのマンション管理で取引しており、また穴吹興産が福岡のアーサーホームを買収したときには、忠嗣氏は一番美味しいマンション管理事業をキヌエ氏が経営する穴吹ハウジングセンターに購入してもらっている。親子の関係・取引の関係も深い関係にある。
しかし、キヌエ氏は穴吹工務店の会長を辞め、また昨年からは穴吹興産が建てるマンションの管理業務を引き受けなくなっている。穴吹工務店がどうなるか分からない状況下、穴部工務店と穴吹興産との距離を置いたものとしている。一大学校コンツェルンである穴吹カレッジグループに火の粉がかからないようにした元推量されるが、穴吹興産との付き合いも止めるとは、弁護士か忠嗣氏の考えに基づくものであろう。
このように見てきた場合、穴吹一族は、英隆氏を除き超安泰であり、火の中にクリを拾いに行くような事はしないと思われる。
[ 2009年12月 8日 ]
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