アイコン 【市場調査結果】均一価格型居酒屋・たい焼き2桁伸長、ファストフード外食6分野の市場調査結果を発表/富士経済

富士経済は、ファストフード、テイクアウト、ホームデリバリー・ケータリング、料飲店、交通機関食、レジャー施設食の6分野にわたって市場動向を次の通り分析している。
ファストフード市場は、外食市場全体が低迷する中にあって、不況に伴う外食離れが顕著になった2009年、2010年(見込)も市場の拡大が続いている。ファストフードで2年連続拡大する市場は、フライドチキン店、サンドイッチ店、アイスクリーム店、ギョーザ店、ラーメン店、立ち食い・セルフ式そばうどん店、クイックパスタ店、回転ずし、たこ焼き・お好み焼き類店、牛丼店、とんかつ・かつ丼店となっている。フライドチキン店は「ケンタッキーフライドチキン」の、サンドイッチ店は「サブウェイ」の寡占市場であり、両チェーンが実績を拡大させていることが市場拡大につながっている。また、ラーメン店、立ち食い・セルフ式そばうどん店、クイックパスタ店と麺類が好調である。2010年に市場が縮小するとみられるのは、ハンバーガーショップ、ステーキ店、天丼店、海鮮丼店、ビビンバ店、定食チェーンである。このうち最大市場のハンバーガーショップは、トップの「マクドナルド」が将来の成長のための戦略的閉店により微増となり、「ウェンディーズ」撤退の影響もあり前年を下回る見込みである。ギョーザ店、ラーメン店は、「餃子の王将」や「熱烈中華食堂日高屋」のように中華料理需要を満たす場所としても利用され、市場が拡大している。

分  野      /億円               
2009年 
2010年見込
 前年比
 ファストフード
2兆8,080
2兆8,873
102.80%
 テイクアウト            
 5兆8,769
5兆8,832
100.10%
 ホームデリバリー・ケータリング
 1兆1,826
 1兆1,780
99.60%
 料飲店           
6兆1,974
  6兆1,169
98.70%
 交通機関食                  
1,041
991
95.20%
 レジャー施設食            
 1兆0,539
 1兆0,384
98.50%
 
 
 
 
均一価格型居酒屋
341
510
149.60%
餃子店
1,208
1,319
109.20%
ラーメン店
4,160
4,250
102.20%
たい焼き
388
472
121.60%

テイクアウト市場は、共働き世帯の増加や簡便志向を受けて比較的好調に推移してきたが、2008年以降横ばいとなっている。テイクアウト弁当、量販店デリカ、CVSデリカは、伸びが鈍化しているものの拡大を続けている。チェーン系スイーツ店は拡大しているが、ベーカリーショップ、百貨店スイーツ店は前年割れが見込まれる。不況の影響から消費者の低価格商品に対する需要は底堅く、嗜好品や高価格商品の購入が見送られていると考えられる。特に、百貨店デリカ、百貨店スイーツ店の売上減少が顕著となっている。

宅配市場は、最大市場である仕出し弁当・ケータリングの減少に歯止めがかからず、特に景気悪化によってパーティーなどのケータリング需要が落ち込んでいる。他方、オフィス向けの仕出し弁当は割安感を武器に堅調な動きを見せている。宅配ピザが各種キャンペーン等の施策により「巣ごもり需要」を取り込み微増となっているのに対し、宅配ずしは店舗数の減少や既存店の苦戦から微減となっている。病者・高齢者食宅配は依然拡大を続けており、高齢化の進む今後も需要が拡大していくと考えられる。 

料飲店は、景気の影響を受けやすく、不況が本格化した2009年は大きな打撃を被った。特に高価格店が大きな影響を受けており、数年前まで付加価値の高さで顧客をつかんでいたアッパー居酒屋(客単価3,800円以上7,000円未満)、アッパーミドル居酒屋(客単価2,800円以上3,800円未満)が大きく減少。
 
こうした中、均一価格型居酒屋(低価格型居酒屋の内コース料理・宴会料理を除くすべてのドリンク・フードメニューを280円や380円などの価格に均一化した店で均一価格が複数の場合は2ラインまで)は、高価格型や標準価格型の居酒屋から需要を取り込むことに成功し大きく成長している。
 
 交通機関食は、2009年にETC特別割引や魅力的な施設の新設によって有料道路SA・PA市場が拡大したが、他は新型インフルエンザの感染拡大や景気低迷の影響によって総じて減少した。また、これまで拡大を続けてきた駅構内飲食店も2008年からマイナスに転じ、2009年も減少した。2010年は引き続き有料道路SA・PAが好調で、列車内食、機内食で客数持ち直しの動きが見られるものの全体としては縮小とみられる。
 
レジャー施設食は、健康ランド・スーパー銭湯が2008年からマイナスに転じ、景気悪化が本格化した2009年も減少した。2010年は持ち直しの動きが多くの施設で見られ、レジャー施設トータルでは減少幅が縮まる見込みである。フードテーマパークは、新規施設の開設(2009年12月の東京ミートレア開業、2010年3月のラーメン国技館ご当地麺祭りのグランドオープン)効果で一時的に増加するとみられる。また、バブル崩壊以降減少を続けてきたゴルフ場が、長年の低迷から脱して回復に転じている。人気プロゴルファー効果や団塊の世代が引退して平日にゴルフを楽しむケースが増加したこと、新たに女性や若い層を取り込んだことなどが要因とみられる。
 
<注目市場>
均一価格型居酒屋:
 2009年 341億円  2010年見込 510億円(前年比149.6%)
「鳥貴族」が1985年に出店以降、リーズナブルで分かりやすい価格により支持されてきた。2000年代後半から生活防衛意識の高まりや景気低迷により低価格が一層際立ち、利用しやすさから更に拡大した。その後デフレの進行により、既存チェーンの多くで売上が減少し安くなければ売れないという状況になったために、低価格型居酒屋への参入が増加した。特に「鳥貴族」が業界に与えたインパクトは大きく、2008年から均一価格型居酒屋として参入する企業が急増している。これまでアッパーミドル居酒屋を展開してきた三光マーケティングフーズが、2008年から均一価格型居酒屋の「金の蔵jr.」に業態転換を進めているほか、コロワイドも「えこひいき」に転換しており、この2社は均一価格型への業態転換を急ピッチで進めている。2009年の市場は店舗数で対前年比200%、売上高で300%を超えている。しかし、このような形態は消費者に飽きられるのも早いために、品質と低価格を両立しなおかつ利益を出せるチェーンでない限りは、数年内に成長が鈍化するあるいは縮小する可能性がある。
 
ギョーザ店:2009年 1,208億円  2010年見込 1,319億円(前年比109.2%)
2009年は、上位企業の多くが店舗数を拡大させたことや、消費者の生活防衛意識がさらに強まるなかで手作りの日常食を値頃感ある価格で提供する点が支持され、市場は大きく拡大した。2010年も既存店が好調に推移していることや出店数も増えていることから拡大が続くと見込まれる。近年の市場拡大の要因として、餃子自体が手ごろな値段でお腹を満たし栄養バランスも良く具材の組み合わせやサイズなどバリエーションが豊富なこと、日常食となった中華料理を提供する場所が減っている中で中華料理需要を取り込んでいることなどが考えられる。参入各社が店舗数を拡大しているが、市場の約8割を占める上位2社(餃子の王将、大阪王将)が西日本に強く、東京を中心とした首都圏への出店の余地があることから当面市場は拡大を続けるとみられる。
 
ラーメン店: 2009年 4,160億円  2010年見込 4,250億円(前年比102.2%)
 2009年は、幸楽苑が出店を抑制したが既存店に注力し売上を増やした。ハイデイ日高、来来亭、丸千代山岡家などは売上・店舗数共に増加したが、一方でハチバンやワイエスフードは売上・店舗数共に減少した。さらに吉野家グループのアール・ワンが市場から撤退し、60店弱が一気に減少した。上位企業の店舗数はやや拡大しているが、個人店は前年の原料高騰で収益が圧迫されるケースが多く見られ、不況が追い討ちをかけたことで淘汰が進んだ。そのため上位企業によって市場全体の売上は増加したが、店舗数は上位企業の出店よりも下位企業や個人店の淘汰が進んだことで減少した。2010年は前年売上増を果たした上位企業が出店数を前年に比べやや増やす見込みであることや、経営環境の改善が一部で見られ前年に比べれば下位企業、個人店の店舗数の減少幅が緩和されていると見られ、市場は売上・店舗数共に拡大の見通しである。

たい焼き専門店: 2009年 388億円  2010年見込 472億円(前年比121.6%)店舗型のたい焼き専門店が対象。
2007年に福岡県大牟田周辺で「藤家」「白いタイヤキ」「尾長屋」といった白いたい焼き専門店が登場し、地元メディアで取り上げられ、2008年にはこの3社がフランチャイズ展開を開始したことがきっかけとなり”白いたい焼きブーム”が起こった。
2009年は、景気悪化から低価格で腹持ちの良いたい焼きの需要が高まり、全国的な”たい焼きブーム”となり、大手たい焼きチェーンを中心に出店数が拡大し、市場は前年の5倍となった。2010年も大手チェーンを中心に新規出店が積極的に行われているが、閉鎖店舗も出始めてきていることから、出店と退店が当分続いていくと考えられる。
 
<調査対象>
①ファストフード
 ハンバーガー、チキン、ドーナツ、サンドイッチ、クレープ、アイスクリーム、ギョーザ、ラーメン、カレーショップ、ステーキ、立ち食い・セルフ式そばうどん、クイックパスタ、回転ずし、たこ焼き・お好み焼き類、牛丼、天丼、海鮮丼、とんかつ・かつ丼、ビビンバ、定食チェーン
②テイクアウト
 テイクアウト弁当・惣菜、デリカショップ、おにぎり、テイクアウトずし、ベーカリーショップ、チェーン系スイーツ(洋生菓子)店、百貨店スイーツ店、シュークリーム専門店、百貨店デリカ、CVSデリカ、量販店デリカ、ホテルデリカ、たい焼き専門店
③宅配ピザ、宅配ずし、宅配中華料理、宅配釜飯、FR(ファミレス)宅配、病者・高齢者食宅配、仕出し弁当・ケータリング
④料飲店、居酒屋・炉端焼、アッパー居酒屋、アッパーミドル居酒屋、低価格型居酒屋、均一価格型居酒屋、やきとり専門店、ビアレストラン、ディスコ・クラブ、カフェバー・ショットバー、スナック・クラブ・パブ
⑤交通機関(駅構内飲食店)、列車内食、機内食、有料道路SA・PA、客船食堂
⑥レジャー施設
 ゴルフ場、スキー場、健康ランド・スーパー銭湯、レジャーランド、野球場、映画館・シネコン、フードテーマパーク、ギャンブル場、カラオケボックス、複合カフェ
[ 2010年8月23日 ]
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