アイコン 大成建設/200N/mm2の超高強度プレキャストコンクリで初実施工

進化する建設シリーズ33
大成建設/200N/mm2の超高強度プレキャストコンクリで初実施工

— 独自の製造管理手法により実物件への安定供給が可能に —
 大成建設は、設計基準強度200N/mm2(Fc200)の超高強度プレキャストコンクリート柱の製造を日本で初めて実現、東京都目黒区で施工中の超高層集合住宅「(仮称)大橋地区第二種市街地再開発事業1-1棟工事:クロスエアタワー」に適用した。
 本プロジェクトは、首都高速道路中央環状新宿線大橋ジャンクションの整備と周辺のまちづくりを一体とした市街地再開発事業であり、現在施工中の1-1棟の中心部で最も大きな荷重を支える地下2階および地下1階の柱にFc200を採用している。今回取り付けを完了した200N/mm2の柱は、大成建設千葉PC工場にて製造した。

千葉PC工場におけるプレキャスト部材の製造に関しては、これまで培ってきたFc160クラスまでの製造管理手法をさらに発展させた。
具体的には以下の通り。

(1) 90℃蒸気養生による促進効果
 一般に超高強度コンクリートはその緻密さゆえに、セメント量に対して水が少なくなる傾向があるが、水が少なくなることで流動性が低くなり、施工性の悪化につながる。
強度を上げるためには、セメント量を増やすことが一つの手段となるが、今回は、これまでのFc150、160と同程度のセメント量でかつ強度を上げるために、90℃蒸気養生を行った。一般的にコンクリートを加熱すればより高い強度が得られることは知られているが、加熱温度や時間などにより、ひび割れを生じるなど製法として確立されていなかった。当社では、これまでの超高強度コンクリートと同程度の調合でも、90℃蒸気養生を行うことでFc200を安定的に製造できる製法を確立した。
この製法により、従来Fc150程度の強度だったものを3割増すことが可能となり、Fc200が実現した。

(2) 収縮低減剤と膨張材の併用
 一方、強度の向上は自己収縮の増大を招くので、これまで当社が採用してきた収縮低減剤の利用に加え、膨張材の利用を併用するハイブリッドタイプの収縮抑制型コンクリートとなっている。試験室での実験では、収縮低減剤に膨張材を併用することで、収縮低減剤単体の場合に比べて自己収縮を2~3割抑制できることがわかっている。
 このような新たな製造管理手法を導入することで、確実な強度を得ると共に、プレキャスト部材としての安定した供給体制を確立した。これにより品質管理は、現場で打設する同強度のコンクリートの場合に比べ格段に容易となる。
 また、本プロジェクトでは長さ約6mの柱部材を横打設工法によって、一部材で製造することに成功しており、製造時の省力化・ローコスト化も実現している。
 当社ではこれまでに、クリープ実験などの構造実験、材料の選定を含めた製造実験などを繰り返し行い、技術開発部門・設計部門・施工部門など関係各部署が一体となり協議を重ねることで数々の課題を解決し、超高強度コンクリートの設計・施工技術を確立してきました。
 今後も、自社工場での生産から作業所での施工まで一貫した製造管理技術を用いることで、超高強度コンクリートを一般化技術として普及展開するとともに、より快適で長く利用できる建物を提供するとしている。

【物件概要】
 名 称:(仮称)大橋地区第二種市街地再開発事業1-1棟工事:クロスエアタワー
 所在地:東京都目黒区大橋1丁目407-1他
 構 造:鉄筋コンクリート造
 階 数:地上42階/地下2階/塔屋1階
 延床面積:83,583.5m2
 売 主:東京都、東急不動産(株)、東京急行電鉄(株)、三井不動産レジデンシャル(株)、有楽土地(株)
 設 計:大成建設(株)一級建築士事務所
 監 理:(株)東急設計コンサルタント
 施 工:大成・東急・錢高 建設共同企業体
 工 期:平成22年3月16日〜平成25年1月31日(予定)

大成建設


福岡PC協は組合員の地場ゼネコンが率先してPC工法を採用しなかったので潰れたが、今では高層建築物は殆どPCであり、今後PCが主流になろう。
 

[ 2011年1月27日 ]
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