清水建設/建設ひび割れ低減性能を備えたクラレスクリートを打設
進化する建設技術シリーズ(31)
清水建設/建設ひび割れ低減性能を備えたクラレスクリートを打設
~コンクリートのひび割れ発生数を80%低減~
清水建設は、JR九州発注の大分高架駅部BL新設他6工事の一部に昨年9月に打設した、ひび割れ低減性能を有する「クラレスクリート」のひび割れ実測調査を実施した結果、ひび割れ発生数を約80%低減できていることが確認された。
クラレスクリートは、2009年に開発したもので、コンクリート製造時に尿素を加えることで乾燥収縮および温度応力によるひび割れを低減することが特徴。
尿素には、水に溶解する際に吸熱し、溶解すると水の蒸発を抑制するという特性がある。温度応力の原因は、セメントと水との化学反応による発熱(水和熱)、乾燥収縮の原因はコンクリート中の水(自由水)の蒸発であることから、尿素をコンクリートに加えることで、これらのひび割れを低減することができた。
大分高架駅部BL新設他6工事は、大分県を事業主体とする「大分駅付近連続立体交差事業」の一環で、発注者はJR九州。当社は駅部の高架化(施工延長420m、幅10~34m、高さ8m)を2009年から請け負っている。今回、全9工区の約5200m3のコンクリートのうちの1工区456m3に当社はJR九州の承諾を得て、クラレスクリートを初適用した。
ひび割れ実測調査では、普通コンクリートの打設した部位と比較して、クラレスクリートの打設部位には顕著なひび割れは発生しておらず、ひび割れ発生数を約80%低減できていることが確認された。
当社は今後、土木構造物の耐久性や水密性の一層の向上を可能にするクラレスクリートの採用を関係各方面に提案し、案件受注に結び付けていく考えとしている。
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大分高架駅部BL新設他6工事
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建設地
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:大分県大分市要町
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発注者
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:九州旅客鉄道株式会社
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施工者
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:清水建設・九鉄工業・梅林建設JV
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工 期
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:2009年10月~2011年6月
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構 造
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:鉄筋コンクリート造
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規 模
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:施工延長420m、幅10~34m、高さ8mの高架橋
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クラレスクリート:乾燥収縮および温度応力によるひび割れ低減性能を備えたコンクリート。岡山大学からの技術指導を得て当社が開発。コンクリート1m3あたり、20~30kg程度の尿素を投入することで、乾燥収縮および温度応力によるひずみが30%程度低減される。製造単価/m3は、普通コンクリートの単価に2,000円程度加えたものとなる。

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