アイコン 三井物産/3月決算 各利益だけ大幅増加  同社による世界経済の状況

米、欧、日の先進諸国においては、各種刺激策により後押しされた後、総じて民間需要に引き継がれプラス成長を続けた。しかしながら、中東・アフリカの民主化運動に伴う地政学リスクの高まりや欧州諸国を中心にした財政危機問題と失業率の高止まり等が懸念材料として残る。一方、新興諸国は輸出の回復と内需拡大から高い成長率を維持したが、後半には、インフレ懸念に代表される新たなマクロ経済リスクが生じた。

米国は、個人消費の回復と在庫サイクル、及び金融資本市場の改善により、緩やかな回復を維持した。住宅市況の低迷が続いていることや金融政策の正常化による景気減速懸念はあるものの、雇用の持ち直しもあり、引き続き緩やかな回復が見込まれる。
欧州では、中核国のドイツはユーロ安の恩恵も受けつつ自律回復を続けたが、全体としては財政危機問題を主因に回復は極めて緩慢なものとなった。

日本は、エコカー補助金など政策効果により個人消費は急増したものの、秋以降、エコカー補助金の打ち切りで自動車が大幅に落ち込んだこと、円高の影響や世界的なIT 製品の在庫調整などにより輸出の伸びが鈍化し、景気は全体として踊り場に入った。さらに、東日本大震災により、東北地方を中心に経済活動は停滞、マクロ経済は大きく落ち込むとともに、今後の先行きに大きな不透明感が残った。

新興諸国においては、高い成長率を維持し世界経済のけん引役となった。その中心となる中国では、経済の過熱感を和らげるために政策金利の段階的引き上げや不動産取引の抑制策などが実施され、インフラ投資などで増加のペースが緩やかになったが、民需への移行も順調であり、依然として高成長を続けるものと判断される。その一方で、新興諸国の一部では、堅調な需要のもと景気が過熱、国外からの資金流入が加速し、インフレや資産バブルの懸念の高まりも見えてきている。

原油や鉄鉱石等金属資源を含む国際商品市況は、期初から6月頃にかけて、先進国の景気減速懸念から下落したものの、所謂「二番底懸念」が薄らぐと共に、回復基調となった。 
特に代表的原油先物指標であるWTIは、ドル安に起因する投資資金流入もあり強含みで推移する中、年末からの中東・アフリカ情勢の緊迫化により高騰、平成23年2月には1バレルあたり100米ドルを上回った。
為替市場では期初1米ドルあたり90円台での取引から、緩やかなドル安・ユーロ安が年を通じて進行、相対的に円が強含みで推移するなか、東日本大震災の直後に1米ドルあたり76 円25銭をつけ、戦後史上最高値を更新した。

世界経済は、原油や食料などの商品価格の高騰とこれに関連する中東・アフリカでの民主化運動を背景とする地政学リスクの高まり、先進国、特に欧州における景気回復途上で財政規律が求められるという財政・金融問題、更に本邦では震災・原発事故の影響と、足元においては不透明感が強く残るが、新興諸国においては高成長が見込まれることに加え、米国にも順調に回復する兆しが見られるなか、全体では、引き続き緩やかな回復を維持すると考える。
当社は、引き続き世界景気や金融市場・商品市況の動向に注意を払いつつ、事業を推進するとともに、本業を通じ我が国の震災後の復興・創生にも貢献していくとしている。
 

連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
10年3月期
9,358,379
144,513
126,040
149,719
11年3月期
9,942,472
315,475
359,724
367,851
前期比
106.2%
218.3%
285.4%
245.7%

 
[ 2011年5月 9日 ]
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