アイコン 4月の銀行貸出金 前年比2.7%増 日銀のタレ流し金はいずこへ 今後の景気

全国銀行協会が9日発表した4月末の全国銀行預金・貸出金速報によると、全国銀行(116行)の貸出残高は前年同月比2.7%増(11兆6255億円)の442兆1976億円だった。前年実績を上回るのは32ヶ月連続。
景気回復に伴い、大企業向けの運転資金やM&A(合併・買収)などの融資が伸びているという。中小企業向けでも資金需要が伸びている。

業態別にみると、
都市銀行は2.5%増と18ヶ月連続でプラスを維持。
地方銀行が3.6%増、
第二地銀が2.7%増、
信託銀行が0.8%増となった。
 小切手や手形を除いた実質預金残高は3.0%増の630兆5144億円と、91ヶ月連続でプラスとなった。

<日銀が銀行から買い取った国債>
2013年12月末時点で日銀が保有する国債残高(短期国債などを含む)は前年比58.9%増(68兆円増)の183兆円。
12月までの1年間に68兆円を金融機関から前年より多く吸い上げたが、上記で見るとおり、貸出金は11兆円しか増加しておらず、57兆円は金融機関が現生を懐に入れたままとなっている。

 上場企業は、リーマン・ショック前、金融機関も大手企業も不良債権処理を終え、2003年頃から利益が出だした。その後も世界の好景気に日本の景気も引きずられた。その結果、日本経済は不動産ミニバブルとなり、企業の業績は急回復した。
しかし、売国奴竹中平蔵が仕込んだ新自由主義経済によるアメリカのハゲタカ襲来により、企業は乗っ取りの恐怖から、企業防衛を強いられ、配当性向を高めることが求められ配当金を増やした。一方、株主の信頼を得るため内部留保にも務め、流動資金を高めるとともに自己資本率を高めていった。

そうしたことから、企業利益の労働分配率などの活字はまったく見かけなくなってしまった。
竹中流新自由主義経済下、低賃金の派遣労働者等非正規雇用の急増=企業利益増となったものの、国民の購買力は落ち、企業の業績はよくなったものの、内需不振は続きデフレ経済は続いた。
そうした景気もリーマン・ショックで破綻、倒産増、非正規雇用者の大量首切りや希望退職者募集の蔓延、更に内需不振の勢いは増し、デフレ経済を長期化させてきた。

そこに、安倍政権が誕生、景気回復・デフレ脱却のためのアベノミクスを宣言して、三本の矢を射た。
その一環で日銀黒田丸は、市場(殆ど金融機関が所有)から国債を大量買い上げ、資金を市場(金融機関)に供給した。
しかし、上述のとおり、企業はリーマン・ショック前、利益増により、銀行借り入れを大きく減らし、内部留保を高めていた。また、利益をより多く出すため、製造業にあっては、中国や東南アジアへ工場進出した。

そのため、今日、日銀により、資金が金融機関に垂れ流されても、景気回復を担う企業にあって、金融機関から借り入れる必要もなくなっている。

その結果、日銀が68兆円(2013年12月末段階)も市場に黒田資金を供給したものの、11兆円(4月の前年比)、16%しか企業へは供給されていないことが判明する。それも内需拡大には程遠い外資のM&Aによる買収資金に多くが使用されているのが実情だ。

今日の景気は、東日本大震災の復興資金も含め、国債発行による公共投資と、アベノミクス日銀黒田丸による円安により輸出企業の景気回復、ただし、製造業が海外に生産拠点を移しているため、輸出数量は伸びず、殆ど、円安の範囲でしか企業業績の回復は見られていない(79円⇒102円/$・・・29%)のが現実だ。
それでも、公共投資、企業業績の向上、株高による消費増もあり、景気は上向いてきた。

問題は今期だ。4月には消費税増のほかいろいろ値上がった。株高も落ち着いているどころか下がっている。
株安は、外人投資家が本年に入り、日本株に魅力をなくして引き上げた結果であるが、
1、日銀の資金垂れ流し効果(市場への資金供給・円安)が内需を拡大させるには力不足のまま今後も推移すると予想、
2、 消費税増税に内需が冷え込み、回復するのに時間がかかると予想、
3、 トヨタの今期予想のとおり、円安効果も今期は賞味期限切れとなり、業績向上率が今期は続かないと予想、
4、 内需喚起のための公共投資は財政赤字を拡大させ、政権の財政問題棚上げ論は、外人投資家にとってリスク要因として近寄りがたいものとなっている。

デフレ傾向が至れば、逆に円高に振れる危険性まで出てきている。
幸い、これまでの少しの景気回復で、少子化問題が露見、労働需給率が大幅に改善されてきている。目先、国民の所得増が期待され、内需拡大に振れる可能性も高くなってきている。(そのため、企業利益が落ちたら、企業の投資は萎縮し、デフレの芽が台頭してくる。あくまで目先だ。)

世界経済を見渡せば、隣国中国のバブル崩壊の危険性は大きい、もしもの場合は、リーマン・ショックの再来となる。しかし、中国政府は、経済データを改ざんし、最悪のパターンを回避させるものと見られる。それほど、一党独裁で内情が見えない国だ。欧州経済も英国では不動産バブルが生じるほど好景気であるが、ユーロ圏は死んだままだ。ユーロ圏の景気が少しでも回復してくれば、世界の3大市場の一つであり、需要も大きく、中国経済も含め世界経済を米国とともに牽引することになるが・・・。
 

 

[ 2014年5月10日 ]
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