アイコン スカイマーク/民事再生申請 一部始終

 

1月28日、国内航空3位のスカイマークが民事再生法の適用を申請する方針を固めた。29日にも東京地方裁判所へ申請する。

負債額は約400億円(エアバスの違約金当然含まず)
スカイマークは、欧州の航空機メーカー、エアバスの旅客機A380の購入契約を巡って巨額の違約金を求められていた上、LCCとの競合激化から搭乗率が低迷、収益を悪化させていた。
投資会社の出資を受ける予定のもと、全日空や日航との共同運航で乗り切ろうとしたが、投資会社が現在での出資に難色を示し、資金繰りに行き詰まり、自力再建を断念したと見られる。28日夜にも取締役会を開催し決定する。

追報:スカイマークのスポンサーにインテグラル/民事再生申請

<スカイマークの最近の動き>

2011年2月  エアバスと大型機A380型機を最大6期購入の契約締結
2014年5月  14年3月決算で、円安燃料高とLCCの台頭との競合に、5期ぶりに最終赤字転落。
2014年7月  A380型機の導入見直しを発表、莫大な違約金の請求受ける。
2014年10月 違約金問題と業績不振から、15年3月期の業績予想を▲136億円の赤字に下方修正。
2014年11月 日本航空とスカイマークの羽田枠などの共同運航の交渉を発表
2014年12月 日航を嫌う政府により、日航との交渉に難癖付けられ、全日空とも交渉するよう求められ、全日空に対して共同運航を要請
2015年1月  全日空へ出資要請を検討
2015年1月28日 民事再生法の適用申請を決定

<誤算が今回の結果へ>
スカイマークが、当初から全日空に共同運航を要請していたら、空の運航行政を司る政
府からの茶々も入らず今回の民事再生はなかった。
 また、日航との共同運航が政府により認められていたら、今回の民事再生法の事態には至らなかった。
 
結局、民主党政権により再建された日航を嫌う自民党首脳(政府専用機もこれまでの慣例を破り全日空が運行している)により、時間が引き延ばされ、これまで投資するとしていたファンドまで、難色を示し始めていたとされる。
 
原油安もあり、採算ラインは低くなっており、全日空と日航の両方と共同運航する計画であり、民事再生を申請したところで、政府方針に基づくものでありそれは変わらず、搭乗率の向上も実現され、民事再生はなされる。
 
<投資会社の離反>
 規制緩和を旗印にする政府の規制により、11月に交渉に入っていた日航との共同運航交渉が頓挫、政府の強い要請により全日空とも共同運航交渉開始、しかし、全日空はイヤイヤながらの交渉でなかなか決まらないまま時が過ぎた。
スカイマークは、政府との関係から、全日空との交渉が決まらなければ、日航との交渉にも入れず、共同運航先が決まらないままとなった。

<政府と日航の因縁>
(2013年11月、羽田新枠で政府は全日空11枠、日航5枠と徹底的な日航虐めを展開されていた。このことから、日航にとって、スカイマークとの共同運航は渡りに船だったが、せっかく政府は日航を凝らしているのに、共同運航されたら、11対5にした意味がなくなるため激昂して、スカイマークと日航との共同運航に対して拒絶した。創価学会の太田大臣の器でもある)
運転資金については、投資会社を引き受けに増資する手はずだったが、投資会社は共同運航先が決定しないままの引き受けに難色を示し、スカイマークの増資も頓挫してしまった。
それに加え、投資会社は、政府が支援するわけでもなく、干渉だけし過ぎるような航空会社への投資について、経営の自由が制限されるおそれがあり、難色を呈したとも考えられる。
 
<これまでの決算>
スカイマークの業績推移
非連結/百万円
12/3月期
13/3月期
14/3月期
売上高
80,255
85,943
85,975
営業利益
15,283
4,674
-2,506
経常利益
15,747
8,091
-403
当期利益
7,705
3,778
-1,845
総資産
67,736
74,230
78,771
自己資本
42,641
46,435
44,233
資本金
14,170
14,177
14,181
有利子負債
---
---
---
自己資本率
63.0%
62.6%
56.2%
 
<2014年3月期決算>
事業収益は、就航路線の見直しにより提供座席数が前年同期比で▲0.8%減少したが、収益性の高い路線へ架け替えを行ったことで、旅客数は前年同期比▲0.2%の減少、旅客収入も前年同期比▲0.3%の減少にそれぞれとどまった。
しかしながら、フリー運賃の販売数量の増加により取消手数料収入が前年同期比で▲53.8%減少し、総売上高は前年同期比▲0.8%減の652億50百万円となった。
 
事業費は、航空機数の増加及び円安に伴う航空機材費の増加(前年同期比38.7%増)、AirbusA330-300型機の導入に伴う運航乗員訓練費の増加(前年同期比27.8%増)、航空機燃料の価格上昇に伴う燃料関連費の増加(前年同期比12.5%増)等により、総額629億19百万円となった。
 
なお、為替の変動が航空機材費や燃料費等の事業費に与える影響は1USDにつき1円の変動で年間約3億40百万円となっている(円安は費用の増加となり、円高は費用の減少となる)。
以上、2014年3月決算の事業収支は、23億31百万円の黒字だった。
 
15年3月期第1四半期
スカイマークの今期の四半期決算状況
15/3期第1四半期
非連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
15/3期Q1
18,194
-5,526
-5,448
-5,795
14/3期Q1
18,478
-2,477
-1,203
-1,241
 
-1.5
 
 
 
15/3期第2四半期・累積期間
15/3期Q2
45,172
-4,387
-3,983
-5,744
14/3期Q2
45,505
2,033
3,361
1,702
 
-0.7
 
 
 
15/3期Q2
総資産
純資産
自己資本
同率
77,496
38,949
38,498
49.7%
 
事業収益は、就航路線の見直しにより、提供座席数が前年同期比で8.7%増加し、旅客数も比例して増加したが、LCCとの競争激化に伴い旅客単価が下落したことから、旅客収入は前年同期比▲2.3%の減少となった。また、総売上高は、前年同期比▲1.5%の減少となる181億94百万円。
事業費は、エアバスA330-300型機の導入に伴う航空機材費の増加(前年同期比25.4%増)及び同機の導入に係る運航乗務員訓練費の増加(前年同期比397.0%増)並びに整備部品費の増加(前年同期比13.3%増)、また、原油価格水準が引き続き高値水準で推移したことによる航空機燃料費の増加(前年同期比9.7%増)等の影響により、総額229億10百万円(前年同期比14.0%増)となった。
 事業収支は、▲47億16百万円の赤字。
 
15年3月期第2四半期 累積期間
事業収益は、エアバスA330-300型機の導入により提供座席数が前年同期比9.1%増加したが、搭乗旅客数は座席数増加に及ばず、旅客収入は前年同期比▲1.4%の減少、総売上高は前年同期比▲0.7%の減少となる451億72百万円。
事業費は、エアバスA330-300型機の導入に伴う航空機材費の増加(前年同期比26.8%増)、及び同機の導入に係る運航乗務員訓練費の増加(前年同期比206.9%増)並びに整備部品費の増加(前年同期比40.8%増)、航空機燃料関連費の増加(前年同期比14.3%増)等の影響により、総額478億48百万円(前年同期比14.6%増)となった。
以上、事業収支は、▲26億76百万円の赤字。
 
10月30日発表の今期業績予想修正 2015年3月期
非連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
前回発表予想
104,440
312
644
354
今回修正予想
88,295
-12,428
-11,582
-13,676
 
<エアバスとの関係>
スカイマークは、エアバスと国際線参入のために1900億円強をかけてA380を6機の購入契約を締結していた。
平成23年2月18日にAIRBUS S.A.S.社(エアバス社)と計6機のA380型機を1990億円での購入契約を締結したが、平成26年7月25日に当該契約についての解除および多額の解約違約金(約700億円)の支払い通知をエアバス社から受けている。
スカイマークは、当該解約違約金の金額には合理性がないと考えており、エアバス社と当該金額の減額について引き続き交渉を行っている。
また、上記の契約解除通知を受け、スカイマークが支払済のA380型機に係る前払金(貸借対照表に固定資産の建設仮勘定として253億56百万円を計上)についてもエアバス社と交渉を続けており、問題の早期解決に努めているとしていた。
しかし、スカイマークは、これ以上の情報開示を一切行わず、すべての情報に報道が先行した。こうしたオーナー社長の隠蔽体質も今回の問題を複雑にしたともいえる。
14/3月期の自己資本442億円-違約金700億円とすれば、▲258億円の債務超過となる。253億円の没収で済めば、自己資本は189億円残る。
エアバスとの違約金額の交渉経過がまったく開示されず、スカイマークに対する懐疑だけが蔓延していた。
なお、エアバスは、700億円の違約金請求をスカイマークに対し行い、スカイマークが難色を示したため、スカイマークに対して大手の傘下に入れ=会社を売却するよう指示したとされる。当然、スカイマークは拒否している。
(余談、エアバスはそのほとんどが中国で生産されている)

<経営失敗の原因>
経営者の先見力と才覚の問題、
スカイマークは、旅客の効率輸送を目論見、大型機を導入する計画の下、大型のエアバスを発注した。しかし、リーマンショック後、客数減に喘ぎ、また、多くのLCCが乱立して価格競争も激しくなっていた。
新規台頭してきたLCCは、小型機により、運航コストを大幅に下げ、低サービス・格安提供による高い搭乗率をもとに運航している。
大手の客は、日航と全日空に客が流れ、低価格帯は新興LCCに流れ、元祖LCCのスカイマークは、運航コストが高い大型機で、ほどほどの安さでもあり、競争から搭乗率が悪化してしまった。

何のための大型機の導入だったのか、結局、燃料費高もあり、事業収益を逆に悪化させてしまった。
挙句、最新の大型機6機の購入契約を締結していたことから、この間導入しても採算を悪化させるだけの状態にいたり、キャンセルした。ところが、自己資本の約倍の違約金請求を受けることになってしまった。
燃料価格も大幅に安くなってきている最中であり、事業収支だけでも黒字ならば資金は回転し救われる。しかし、事業収支が赤字では資金繰りは窮屈になるばかりで、早期の収支改善が必要だった。そのための日航に対する共同運航要請であったが・・・・、国により拒絶されてしまい、投資会社からも見放されてしまった。
経営者としてツキもなくしており交代あるのみ。
[ 2015年1月28日 ]
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