アイコン 原油高へ再び移行か 北海ブレント62ドルへ上昇

 

原油は昨年7月より下がり続け、WTIは一時42ドルまで下落した。今や大消費国のアメリカを巡り、中近東産油国とシェールガス・オイル勢との戦いとなっているが、この戦い、段々中近東勢の勝利に終わろうとしている。
今回の下落場面でシェールガス勢は大増産により、下落損失利益をカバーする動きに出て、大暴落の一因ともなったが、産油コストが高いシェールガスであり、油井を停止させるところが多くなり、50ドル前後まで値が戻っている。
だが、油井リグ停止が米国全体の3割に達しながら、生産量は技術革新により増加している。

ここにきて、一時的であろうが、産油国であるリビアへのエジプト軍の空爆開始により、北海ブレントが62ドル前後まで値上がりしている。WTIも53ドル前後まで上昇(16日)している。

<今後とも値上がりし続けるのか・・・>
それには需給バランスの問題が不可欠、米経済は立ち直ってきたが、経済指標に力強さはなく、一喜一憂しながら株価だけは上昇してきた。
世界経済の状況は、金融緩和政策の転換から米国から投資されていた資金の米国への回帰現象が生じて新興国のGDPは下落、欧州経済は低迷したまま、中国はバブル崩壊により不動産も基幹産業も消費も低迷している。

これでは、原油が逼迫することは当面考えられず、世界経済の復調がなければ、価格は一時的に高くなったとしても半値戻しの70ドル近辺が頭打ちと思われる。
米国の備蓄量も4億バレル超と過去最大となっており、下落場面では価格押し上げ要因であるものの上昇局面では押し下げ要因になる。

<そのほかの値上がりの要因>
OPECは共同歩調をとらなかった減産体制を産油国が自主的に取り、減産が一定の量を超えた場合は、値上がりが本格化する可能性がある。
また、シェールガス・カナダオイルサンドや産油国など実質採掘している石油メジャーなどの企業が、利益のため裏で手を握り、価格を上げる可能性も否定できない。当然、需給バランスから減産が公式・非公式問わず提携されることになる。

10%減産しても10%価格が上がれば懐は痛まず、世界の需給動向を見ながら価格を意図的に上げてくる可能性はある。
しかし、今や、既存の原油産出国に加え、ロシアや新規シェールガス生産も増加しており、産油国も一枚岩ではない。

ただ、クウェートの石油大臣は、原油供給量の減少は2015年下半期にかけ続き、価格はそれまで上昇すると公言している(2月16日)。

<シェールガス生産量は今も増加、過去最高>
原油価格下落の火種の米生産量(原油+シェールガス・オイル)は、2月6日までの1週間に日量923万バレルと、1983年までさかのぼれる米エネルギー情報局(EIA)の週間記録では過去最高水準となっている。
米国の石油掘削会社は、原油価格の下落に対応して、過去10週間に519のリグの稼働を停止している。これは全体の33%に相当する。しかし、技術改善が企業の歳出削減を埋め合わせているため、米国の生産は引き続き増加するとゴールドマンは指摘している。
ゴールドマンは、「原油市場がバランスを取り戻すには米生産の伸びが減速しなくてはならないが、稼動リグ数の減少は、それを達成するのに十分ではないというのが当社の見解だ」としている。
価格が上昇してくれば、停止しているリグ33%も再度生産に回り、需給バランスは再度崩れ、値が本格的に上昇するとは考えにくい状況にある。

サウジの場合は、シェールガス勢との市場争奪戦から、主導権を握るOPECが減産体制をとらなかったとされており、価格だけの問題ではなく、シェールガス勢を追い込む動きをしている。
中東産油国でもそれぞれ思惑は異なり、その言動には左右されず、需給バランスだけを注目していく必要があろう。

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[ 2015年2月17日 ]
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