韓国経済の前途が危ぶまれ、韓国のマスコミも悲観的論調が台頭してきている。その原因は、韓国勢がこれまで強かった分野が中国勢に駆逐されている現状にある。
代表例では、スマホ・家電・造船・化学製品などであるが、中国企業は、国内の巨大市場で急激な成長を遂げ、今では経済成長率の鈍化もあり、そのパワーは海外へ振り向けられ、韓国勢の世界シェアを侵食するに至っている。

ス マートフォン・半導体・ディスプレ・自動車・造船海洋・石油化学・精油・鉄鋼など8部門の主力産業のうち、2013年基準で中国より世界市場占有率が先ん じていたのは「半導体」と「ディスプレ」だけとなっている。韓国は、以前は精油(石油精製能力)と鉄鋼(粗鋼生産量基準)を除く残り6部門の市場占有率で 中国を先んじていた。
石油化学部門(エチレン生産能力基準)でも、韓国は2003年5.34%の世界市場占有率を上げて中国(5.27%)より優勢だったが、昨年は5.4%の占有率で、中国の12.2%と逆転どころか倍以上の水をあけられている。

2013年、中国の自国産自動車メーカー等の生産量は1,097万台で全世界市場占有率12.5%を記録した。半面、韓国は863万台で占有率が9.8%にとどまっている。

韓国は何でも世界一であらねばならぬとするが、自国経済の成長(GDPに占める直接輸出割合42.9%)に寄与するかどうかは、中国への輸出を拡大し続けることができるか、中国製品との間で輸出競争力があるかどうかということになる。しかし、ここでも既に中国勢に負けている。
 韓国と中国の経済との関係で見ていく。

韓国の概況
項目
単位
2011
2012
2013
人口
万人
 
 
5,022
GDP
 
 
 
 
実質GDP成長率
3.7
2.3
3.0
名目GDP総額
百万ドル
1,202,700
1,222,400
1,304,300
一人当りGDP(名目)
ドル
22,388
22,590
24,329
消費者物価指数
4.0
2.2
1.3
失業率
3.4
3.2
3.1
国際収支
 
 
 
 
経常収支
百万ドル
18,655.8
50,835.0
79,884
貿易収支
百万ドル
29,089.9
49,406.0
80,568
 輸出額
百万ドル
555,214
548,076
559,649
資本収支
百万ドル
-24,429
-51,624
-80,142
外貨準備高
百万ドル
304,255
323,207
341,650
対外債務残高
百万ドル
400,033.9
408,928.0
416,112
為替レート期末値
対ドルレート
1,151.8000
1,070.6000
1,055.4000
 
<韓国におけるアジア金融危機からこれまでの経済成長率の推移>
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韓国と中国・アメリカの経済成長率
各国の経済成長率(実質) IMF版
 
韓国
中国
米国
日本
備考
1998
-5.71
7.80
4.45
-2.00
アジア通貨危機・韓国IMF介入
1999
10.73
7.60
4.69
-0.20
 
2000
8.83
8.40
4.09
2.26
 
2001
4.53
8.30
0.98
0.36
 
2002
7.43
9.10
1.79
0.29
 
2003
2.93
10.01
2.81
1.69
日本・不良債権処理終了
2004
4.90
10.10
3.79
2.36
 
2005
3.92
11.30
3.35
1.30
 
2006
5.18
12.68
2.67
1.69
 
2007
5.46
14.20
1.78
2.19
日本・不動産ミニバブル 
2008
2.83
9.64
-0.29
-1.04
北京オリンピック、リーマン・ショック
2009
0.71
9.21
-2.78
-5.53
 
2010
6.50
10.41
2.53
4.65
上海万博
2011
3.68
9.30
1.60
-0.45
東日本大震災・サプライチェーン崩壊
2012
2.29
7.65
2.32
1.46
 
2013
2.97
7.70
2.22
1.52
習近平国家主席3月
槿惠大統領2月誕生
2014年予
3.50
7.38
2.15
0.89
 
 
<韓国の輸出額推移>頭打ち
韓国の輸出額は2011年から輸出額は伸びていない。それは中国が鉱工業生産品の輸出を増加させたことに比例している。また、韓国勢が自動車や電子・化学分野で中国での工場立地を加速させたことにもよる。
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