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アメリカでも以前は、会社で容量と実力を兼ね備えた人たちが立身出世して、代表まで上り詰めてきた。当然、容量の点では、張り巡らされた派閥などもあった。
しかし、日本がバブルの有頂天になっている時に、アメリカではハゲタカが出現し、厳しい経営の会社の株を買占めるという乗っ取りが盛んに行われた。ハゲタカは会社を解体させ、利益部門を分割独立させ、他社に高額で売却、不振部門を閉鎖し、不動産を売却して、買収に当たり投資した数十倍の利益を上げて、会社を解体処理した。
大不況の中、労働組合の力など取るに足りなかった。

それから23年、企業は株主支配の下におかれ、株主によって経営者は経営の専門家に委ねられている。
経営専門家の社長(CEO)は、巨額報酬を得るが、株主の期待に応えなければ、すぐ交替させられる。しかし、期待に応え続ける限り、株主側の評価を受け、また自らの価値も向上する。
当然、粉飾や品質問題が浮上すれば、利益を損ねることから、当該のCEOは命取りになり、即、株主のハゲタカたちから首に処せられ、自らの価値・信用もなくしてしまう。

一方、日本の企業は、そのハザマにあり、昔からの生え抜きが経営陣にいるものの、株主支配が強まっている。
生え抜きの代表である社長は、社内ではその実力の頂点だろうが、その実力に問題が浮上してきている。利益だけを求める株主たちに媚を売らなければならず、株主総会をやり過ごすことさえ難しくなっている。
そのために、利益を最大化することが常に求められ、社員に対する扱いは、労働組合も形骸化した今、過労死ラインを超える残業などあたりまえ、その残業料さえ支払わないぞんざい極まりない扱いを行っている。
そういうサラリーマン経営者たちの成れの果てが、カネボウ・オリンパス・東芝などの粉飾決算、三菱自動車・東亜建設工業・神戸製鋼・日産・SUBARU・三菱マテリアルなど数多くの品質問題が常時発生するようになってきている原因でもある。

すでに終身雇用制も崩れ、非正規雇用者の年齢層が差し迫ってきている。会社は利益が出ていても不採算部門は、平気でリストラを進めることから、社員の会社に対する愛着・忠実性も崩壊している。
品質につき、自負したベテランの社員たちはすでに退職してしまい。マニュアルだけに依存した生産体制への移行により、ベテラン排除、今ではそのマニュアルでさえも履行しなくなり、品質問題に直面している。

一時は世界にもてはやされた日本の経営方式が崩壊するとともに、日本の品質も失われている。
企業にあってはアベノミクスにより空前の利益を出しながら、利益を社員に還元せず、安倍首相自らが頭を下げ、社員の報酬を上げてくれとお願いしても上がらない日本の経済界はもう異常の限りでしかない。
いつの間にか、会社は株主のモノということが定着した日本にあり、日本品質をこれ以上求めるならば、製品については無人化工場での生産以外ないのではなかろうか。
いつ首を切られるかわからない、ろくに残業代も支払わない企業に、人が愛情を注げることなどあるはずがないだろう。

日本の経営は、アメリカの経営方式に大きく変わってきているが、報酬だけは実力が合っても変わらないのが日本、いずれ、経営者も米国型に変わっていくだろうが・・・。

企業にあっては、経営者だけは、報酬が多かろうと少なかろうと、事業に精通していようがいまいが、人・物・金・時間に対して真に経営能力がある者でなければならないだろう。
血も通わぬ人・物をぞんざいに扱う基地外経営者が非常に多くなってきている。