鉄鋼業界 電炉メーカー再編 鉄鋼業界自体も乱立 粗鋼生産世界ランキング
日本のすべての内需市場が今後、国の借金問題と少子化から縮小していくことが見込まれ、鉄鋼業界は活路を求め、新たなる特殊鋼分野や海外へ進出するしかなくなっている。
しかし、内需の減少を後門とするならば、前門の虎である中国勢が世界を凌駕する勢いで生産拡大し続け、自国の景気低迷から海外へのダンピング輸出を強化している。
現在ターゲットになっているのは韓国や東南アジア。中国勢は世界の粗鋼生産の半分を生産、今や2億トン超が過剰生産といわれ、公式数値でも1億トンが輸出に回されている。
習体制は経済政策には無策で、中国の鉄鋼業界は大気汚染原因の最たる整備で生産しているにもかかわらず、過剰生産設備の廃棄や企業の整理統合など遅々として進めず、大気汚染物質を中国どころか日本まで襲わせている。
また伏兵の韓国勢がいる。ポスコはベトナムに高炉を設けたが需要低迷で韓国への輸入を検討している。しかし、韓国市場は自国の生産設備で間に合うどころか大量に輸出している。そうした中、習朴蜜月により、中国から安価な鋼材が大量に輸入され、自国の鉄鋼業界は悲鳴を上げている。当然、ポスコの新規稼動したベトナム工場からの輸入に韓国鉄鋼業界は猛反対している。
こうした中国・韓国の鉄鋼業界の状況下、日本勢は海外への輸出もままならなくなってきている。
<電炉メーカー再編の動き>
電気で鉄くずを溶かして鋼材をつくる電炉メーカーが業界再編に動いている。
9月18日に中堅の大阪製鉄(大阪市)が、東京鋼鉄(東京都)を買収して子会社にすると発表した。電炉メーカーは電気料金の値上がりなどで経営が厳しく、国も再編を支援する方針。
背景に電気料金の値上がり
大阪製鉄は来年2月をめどに、東京鋼鉄の株を1株630円で公開買い付けし、議決権の50%超の取得をめざす。最終的には9割を握る方針で、買収額は約100億円。東京鋼鉄は上場廃止になる見通し。 東京鋼鉄の筆頭株主で約29%を持つ三井物産は買い付けに応じる方針。
大阪製鉄は、新日鉄住金が筆頭株主で、2006年にも買収を提案していた。当時は東京鋼鉄の大株主だった外資ハゲタカファンドが、企業の価値がきちんと評価されていないとして反対し、実現しなかった。
2014年になってファンドが鉄鋼商社の阪和興業に持株を売却したことで、買収に向けた環境が整っていた。
電炉は膨大な電気を必要とするため、東日本大震災で東京電力のフクシマ原発の大爆発で原発稼動が止まり、電気料金が値上がりして経営に影を落としている。
また、これまでも、中堅企業が競い合い、大手鉄鋼メーカーの主導で経営統合が行われてきた。新日鉄住金は大阪製鉄以外にも複数のメーカーの筆頭株主になっており、今回のほかにも経営再編が進むとの見方もある。
ただ、鉄鋼業界は電炉メーカーだけではなく、鉄鋼業界自体も乱立しており、再編が進むものと見られる。
日本の主な電炉メーカー一覧
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東京製鐵
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JFE条鋼(JFEグループ系・JFEスチール子会社)
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共英製鋼(新日鐵住金グループ系のメーカー)
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合同製鐵(新日鐵住金グループ系のメーカー)
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大阪製鐵(新日鐵住金グループ系のメーカー)
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トピー工業(新日鐵住金グループ系のメーカー、兼業メーカー)
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中山製鋼所
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ヤマトスチール(大和工業の事業子会社)
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中部鋼鈑
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光洋サーモシステム(ジェイテクト(旧光洋精工)の子会社
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日本電炉工業
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朝日工業(元セゾン系の兼業メーカー)
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東京鋼鐵
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鉄鋼メーカー一覧
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ア行
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愛知製鋼(東証1・5482)
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朝日工業(JASDAQ・5456)
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旭テック(東証1・5606)
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新家工業(東証1・7305)
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イチタン(JASDAQ・5645)
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エンビプロ・ホールディングス(東証2・5698)
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大阪製鐵(東証1・5449)
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カ行
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川金ホールディングス(東証2・5614)
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川口金属工業(東証2・5608)
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岸和田製鋼
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栗本鐵工所(東証1・5602)
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共英製鋼(東証1・5440)
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虹技(東証1・5603)
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合同製鐵(東証1・5410)
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神戸製鋼所(東証1・5406)
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サ行
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サンユウ(東証2・5697)
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山陽特殊製鋼(東証1・5481)
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JFEホールディングス(東証1・5411)
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JFEスチール
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JFE条鋼
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新関西製鐵
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神鋼鋼線工業(東証2・5660)
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シンニッタン(東証1・6319)
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新日鐵住金(東証1・5401)
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新日本電工(東証1・5563)
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新報国製鉄(JASDAQ・5542)
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鈴木金属工業(東証2・5657)
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タ行
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大同特殊鋼(東証1・5471)
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大平洋金属(東証1・5541)
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大和重工(東証2・5610)
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高砂鐵工(東証2・5458)
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中央可鍛工業(名証2・5607)
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中央電気工業(東証2・5566)
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中部鋼鈑(名証1・5461)
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TDF (企業)(東証2・5641)
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東京鋼鐵(JASDAQ・5448)
|
東京製鐵(東証1・5423)
|
東京鐵鋼(東証1・5445)
|
東北特殊鋼(JASDAQ・5484)
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東洋鋼鈑(東証1・5453)
|
ナ行
|
中山製鋼所(東証1・5408)
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日亜鋼業(東証1・5658)
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日新製鋼(東証1・5413)
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日本金属工業(東証1・5479)
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日鐵住金建材
|
日鉄住金鋼管(東証1・5457)
|
日鉄住金鋼板(東証1・5454)
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日本精線(東証1・5659)
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日本カタン(JASDAQ・5613)
|
日本金属(東証1・5491)
|
日本高周波鋼業(東証1・5476)
|
日本鋳造(東証2・5609)
|
日本鋳鉄管(東証1・5612)
|
日本冶金工業(東証1・5480)
|
ハ行
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パウダーテック(JASDAQ・5695)
|
日立金属(東証1・5486)
|
北越メタル(東証2・5446)
|
マ行
|
丸一鋼管(東証1・5463)
|
三菱製鋼(東証1・5632)
|
メタルアート(東証2・5644)
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モリ工業(東証1・5464)
|
ヤ行
|
大和工業(東証1・5444)
|
吉川工業
|
淀川製鋼所(東証1・5451
|
2014年 世界の粗鋼生産量ランキング ベスト20
|
||||
|
|
|
百万トン
|
前年比
|
1
|
アルセロール・ミッタル
|
ルクセンブルグ
|
98.1
|
2.08%
|
2
|
新日鐵住金
|
日本
|
49.3
|
-1.60%
|
3
|
河北鋼鉄集団
|
中国
|
47.1
|
2.84%
|
4
|
宝鋼集団
|
中国
|
43.3
|
-1.37%
|
5
|
ポスコ
|
韓国
|
41.4
|
8.09%
|
6
|
江蘇沙鋼集団
|
中国
|
35.3
|
0.57%
|
7
|
鞍山鋼鉄集団
|
中国
|
34.3
|
1.78%
|
8
|
武漢鋼鉄
|
中国
|
33.1
|
-15.78%
|
9
|
JFEスチール
|
日本
|
31.4
|
0.64%
|
10
|
首鋼集団
|
中国
|
30.8
|
-2.22%
|
11
|
タタ・スチール
|
インド
|
26.2
|
3.56%
|
12
|
山東鋼鉄集団up)
|
中国
|
23.3
|
2.19%
|
13
|
ニューコア
|
米国
|
21.4
|
5.94%
|
14
|
現代製鉄
|
韓国
|
20.6
|
19.08%
|
15
|
USスチール
|
米国
|
19.7
|
-3.43%
|
16
|
ジェルダウ
|
ブラジル
|
19.0
|
0.00%
|
17
|
馬鞍山鋼鉄
|
中国
|
18.9
|
0.53%
|
18
|
天津渤海鋼鉄
|
中国
|
18.5
|
-4.15%
|
19
|
ティッセンクルップ
|
ドイツ
|
16.3
|
2.52%
|
20
|
本渓鋼鉄
|
中国
|
16.3
|
-2.98%
|
2014年 世界の国別粗鋼生産ランキング ベスト10
|
||||
順位
|
国名
|
2014年
|
前年比
|
シェア
|
|
世界計
|
1,636.9
|
1.8%
|
100.0%
|
1
|
中国
|
822.7
|
5.6%
|
50.3%
|
2
|
日本
|
110.6
|
0.0%
|
6.8%
|
3
|
米国
|
88.3
|
1.5%
|
5.4%
|
4
|
インド
|
83.2
|
2.5%
|
5.1%
|
5
|
韓国
|
71.0
|
7.6%
|
4.3%
|
6
|
ロシア
|
70.6
|
1.7%
|
4.3%
|
7
|
ドイツ
|
42.9
|
0.7%
|
2.6%
|
8
|
トルコ
|
34.0
|
-2.0%
|
2.1%
|
9
|
ブラジル
|
33.9
|
-0.9%
|
2.1%
|
10
|
ウクライナ
|
27.1
|
-17.4%
|
1.7%
|
・2014年数値はグローバルノート編、2013年は世界鉄鋼協会編
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