アイコン ひびきCT、東アジアのハブポート化完全破綻

 北九州市のひびき灘の埋立地に大ハブポート化計画が、1996年当時の末吉市長により打ち出され、第1期として05年水深15メートルの岸壁700メートルを備えるひびきCTを、約900億円を投じ開設した。

当構想では、中国や韓国の貨物を北米、欧州へ運ぶ中継地とするハブポート化を計画。遅々として進まぬ行政に対して、中国や韓国釜山が国家戦略として、短期で大ハブポートを設置、既に東アジアの物流を牛耳ってしまった。日本の貨物さえ釜山へ流れている現象下にある。
その結果、ひびきCTは07年の貨物取扱量が約5万4000TEU(20フィートコンテナ換算)と、取り扱い能力の約1割にとどまり、このたび北橋市長は、1996年策定された東アジア地区での大ハブポート化構想を断念したものである。

北九州市は今年1~3月にかけ、ひびき港振興地や太刀浦振興地に立地する145社を対象にアンケートを実施。ひびきCTを「利用したい」としたのは、回答した116社のうち12%にとどまり「利用予定なし」が73%と今後の利用拡大が全く見込めない結果が出ていた。 
最大17社程度の利用では港湾としての機能も、その辺のCT港湾と同じになってしまい、能力の1割の稼動を実証するものである。

一概に比較はできないが、博多港全体の取扱高は07年度749,839TEU、08年度759,876TEUとなっており、北九州市は港湾全体でも50万TEU超くらいである。ひびきCTをハブポート化するには、国家戦略でトヨタの宮田工場から専用道路を引くぐらいの発想がなければ到底無理な話であった。開発ありきの行政が残した机上の構想である。(トヨタは博多港を利用している)
ひびきCTの1割稼動状態に朗報であるが、ブリジストンが響灘の埋立地に工場建設を予定しており、当CTから国内外へタイヤが運ばれることになる。それでもひびきCTは既存の施設で間に合うという。
北九州市には門司区に太刀浦CTがあり、小倉以東は交通の便からも太刀浦CTを使用しており、こちらがひびきCTより貨物取扱高はずぅっと多くなっている。

 こういうハブポート化戦略は、どこの国でも国家戦略で行っている。日本の政府や官僚は、利権から議員の顔見て限られた予算を各地の港湾にバラ撒く、これでは国家戦略など構築できず、この間、空も港湾も後続の東南アジア諸国に業務を奪われるのも当然である。 
国の衰退はこうした国家戦略のなさにある。

 

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[ 2009年8月28日 ]
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