全国№1の下げ率を呈した福岡の実力②
全国地価下落率10位のうち5地点も入り一躍有名となった福岡の不動産市場。購入者にとっては値が下がることは良いことである、とにかく高く作って安く買えるのであるから。ならば買って大丈夫か、はなはだ心もとない。
福岡のオフィスビルは、最後の最後まで東京建物が建て続けた。一方レジデンスも国内の弱小ハゲタカが、物件転がりが早いことから、勝手に需要は創出するものとばかり、需要と供給バランスなどお構いなしに開発を進めた。しかし博多区奈良屋町一帯は空室だらけ。バブルで地価が上がれば賃料も上がるとしたハゲタカどもの思惑は完全に外れた。需給バランスから既存賃貸マンションの家賃が暴落するのに引きづられ、逆に値下がり、入居率は悪いは家賃は安いはで、転がす利回りどころではなくなり、投売り状態に突入している。ところが、金融機関が投資用物件に対しての融資を個人・法人に関係なく抑えているため、買い手もないのが今日の福岡不動産市場の状況である。
次に示すのは、三鬼商事の資料に基づくものであるが、
(単位:%・円) | |||
オフィスビル空室状況 | 09/6月 | 09/7月 | 09/8月 |
新築空室率 | 71.17% | 60.36% | 58.33 |
既存空室率 | 12.68% | 12.90% | 13.01 |
全体空室率 | 14.84% | 14.94% | 14.87 |
賃料・新築家賃 | 10,500 | ||
賃料・既存家賃 | 8,708 | ||
家賃平均坪当り単価 | 8,725 |
新築ビルの入居率が改善してきているのは次の2点が挙げられる。
①新築ビルが1年経過して既存ビルに入ったこと。
②新築ビルが家賃を向こう2年間無料(日航福岡?)とするなど、強引な入居ダンピングをはかっていること。
福岡のオフィス事情は、不景気から既存建物でも空室が目立ってきている。専門家によると「空室率8%を境にオフィスビル市場の景気は分かれる」と話す、実に6.87%も過剰状態にあるといえるのである。
全国主要都市のオフィス空室率状況 | |||
地区名 | 平均 | 既存 | 新築 |
札幌 | 10.79 | 10.75 | 15.96 |
仙台 | 16.14 | 14.55 | 71.29 |
東京 | 7.57 | 7.20 | 25.11 |
名古屋 | 11.69 | 10.20 | 44.96 |
大阪 | 9.47 | 8.48 | 40.39 |
福岡 | 14.87 | 13.01 | 58.33 |
追、官民上げてハゲタカにおもちゃにされた部類である。
福岡市郊外のRマンション(写真左上の部分)はここまで賃料が落ちている。