アイコン 吉野家研究/赤字予想を追う

子会社「どん」の食中毒事件が原因もあろうが、同社は今期赤字に転落する予想である。同社の顧客は男性客、タクシーの運転手、フリーター、近隣サラリーマンなどとなろう。

決して裕福な人をターゲットにはしていない。こうした最大の顧客層を直撃しているのが不況であろう。奥さんから財布の紐を締められているのだろうが、同社は不況に強い価格帯である。それにも関わらず、中間期は売上高の減少、営業利益が殆ど取れない状況になっている。 

連結/ 百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
09年2月期中間期
79,595
2,006
2,492
-569
10年2月期中間期
92,826
232
405
-391

当期45店舗を出店、不振店等10店舗を閉鎖、結果国内総店舗数は1,137店舗
「吉野家」の当第2四半期連結会計期間末における総店舗数は1,524店舗。
カテゴリー別営業利益(8月の中間期)
牛丼関連事業連結営業利益 18億33百万円
ステーキ関連事業連結営業損失 7億97百万円
寿司関連事業連結営業損失 3億25百万円
うどん関連事業連結営業利益 4億67百万円

売上高が増加しているのは、問題児焼肉「どん」(09/2期売上高281億63百万円)を昨年8月連結子会社にしたことによるが、本体の「牛丼」事業では売上高を大幅に落としていることになる。同社は豚インフルの影響としているが、それだけであろうか?
不況の問題として捉えた場合、ほか弁のプレナスやコンビニのファストフード・日配食品は堅調である。同社の場合豚インフルに打ち勝つ不況という追い風がある。しかしその追い風メリットを享受していないところに原因がある。メニューが問題なのか。店舗の場所の影響だろうか。豚インフル以外に何か原因がある。安倍社長もよくよく分析する必要があろう。
同社は最近、テーブル席など設け女性客も行きやすい店作りを行っている、しかしパァッと頼んでパァッと食う男性客のイメージが強過ぎ、女性客から敬遠されそう。テーブル席の目的が(実際既に400店舗以上取り入れている)、家族客や女性客を取り入れるため、ならば、客単価アップと客数増でしか売上高・利益は解決されない。そうした店舗は可能ならば美味しさを損わずダイエット牛丼なども取り入れたらよかろう。
同社は、強いところ弱いところをアンケート調査・マーケティング調査などに金をかけ調べる必要がある。粕屋出身社長ガンバレ。

同社の危険水域は飲食異業種へのM&A展開にある。
何事も本体利益の範囲内で行う必要がある。「どん」では早速、あってはならない食中毒事件を引き起こしてしまった。回転寿司屋も営業利益段階から赤字ではいたたまれない。
回転寿司屋について提案しておこう。
105円均一寿司屋が流行っている店舗も多いが、味がまずい。原因は魚ネタを解凍して使用しており、水っぽいところにある。その水っぽさを出さず、新鮮さだけを引き出せたら、本当の繁盛店になろう。ガキ相手でも大人が連れて行く。真空冷蔵庫の開発が必要か。
福岡では宅配寿司屋が、回転寿司屋を展開したばかりに命取りになった。同店の問題点は、原価を落とすため、ネタは悪くなかったが、シャリを外米か古米を使用していた。まずい。当然一回行った客は安かろうが行かない。余計一品単価の高い近くの回転寿司屋の美味しさをクローズアップさせてしまった。同社は回転寿司からの撤退を余儀なくされ、本体の宅配寿司の経営を行き詰らせ破綻した。ネタとシャリは、安かろうが美味しくなくては客は二度と行かない。

吉野家の今期連結予想は、売上高1870億円、営業利益5億円、経常利益7億円、当期利益▲13億円である。


 

[ 2009年10月 9日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
この記事を見た人は以下も見ています(赤字決算、)
スポンサードリンク
スポンサードリンク