アイコン アイランドシティ(福岡市)/子供病院移設問題/不起訴処分

福岡市は開発好きな前々市長の故桑原市長により、博多湾が埋められて作られたアイランドシティ。ほとんど完成したものの、売却先は限られ、莫大な借金(埋立資金5,000億円)に追われ、銀行からも追われ、途方に暮れるその後の福岡市長。

ならば公共施設を作ろうと、主婦層の琴線に触れる「こども病院移設」に着手、議会は開発好きな議員さんたちばかりであるが、主婦層は猛反対。ところが前回市長選で「こども病院移設は白紙」としたマニュフェストで、民主党の推薦も受けて初当選した吉田市長(元西日本新聞社・編集部長・慶大卒)、当選したものの早速「こども病院移設」問題では、アイランドシティの現状に驚き、議会の圧力にも屈服し、推進派に早変わりダッチロール状態が続く。

あまりの市長の変貌振りに推薦した民主党の県幹事長(県会議員)は痺れを切らし、意見しに吉田市長に会いに行ったものの、両者大声上げて言い争ったことだけが伝わってくる。
 
<高い建築費のカラクリ>
それほどおかしくなっている吉田市政であるが、「こども病院」の推進派に化かした吉田市政は、予算化するため「こども病院」の建築費の見積もりをコンサルに依頼、コンサルは建替費用として85億5百万円の見積書を市に提出した。ところが市が議会に諮るときには、その8550百万円の見積りが、12830百万円に跳ね上がっているのが発覚。
その計算根拠を移設反対派が市に追求したところ、市は「電話でゼネコン3社へのヒアリングで決定した数値」と回答。どこのゼネコンに、どう質問し、どう回答があったのかも判然としない。電話でヒアリングした担当者がゼネコンの回答をメモにした紙片を既に廃棄、証拠書類も全くないという。当然そうした問い合わせがあったことについてゼネコン側も一切回答しない。 市が勝手にコンサル予算を1.5倍に膨張させ12830百万円にしたのである。
素人でも自宅を建てるのに価格を下げようと一生懸命交渉するが、借金だかけの財政の福岡市は逆に価格を上げようと一生懸命になり、それも建築費を上げようと電話でゼネコンに問い合わせ、その数値を根拠に決定したという馬鹿馬鹿しくて話にもならない話である。それでもまかり通るのが福岡市政であるが、民主党推薦の市長さんなのである。
 
その後市の担当者に対して「そんなもん電話では答えられません」と言ったゼネコンもあることが判明していることから、本当に電話で問い合わせをしたのであろう。コンサルが提出した見積り原資の資料もゼネコン側には提供されず、ゼネコンも回答しようがないと言うのが当然であるが、まかり間違って舞鶴のゼネコンが回答したようである。もしも国の助成事業であったら、仕分け劇場により一発で弾かれようが。
 
反対派は市に対して「電話のメモや12830百万円と決定した2007726日に開催した市の検証検討チームの議事録公開」を迫ったが、市は「メモは担当者が廃棄した、検討した議事録などは作成せず資料等はない」と回答。それに怒った反対派の市民団体は市長ら関係者4人を「メモを廃棄したのは公文書等の毀棄の疑いがある」として告発した。しかし、1119日福岡地検は嫌疑不十分として不起訴処分とした。
こうした問題は行政問題であり、検察はメモが公文書かどうか判断するのは難しいといったものであろう。
 
赤字垂れ流し借金だらけのアイランドシティは、福岡市長にとって頭痛の種である。吉田市政も早期にこども病院を移設して、既成事実を作り上げ、主婦層のお怒りを静めて次回選挙に臨もうとしているのであろう。
福岡の選挙の決定権は主婦層が持っている。山崎拓さんが2度も落選したように、嫌われたらお仕舞いである。
 
こども病院についてJC-NETからの提案であるが、既存のこども病院は、大幅縮小して既存施設の半分以下を残し、日常子供専門の診療施設とする。新設するアイランドシティのこども病院は、国からも支援も受け、こども総合病院兼治療研究施設として、日常診療と入院患者を対象とする施設にしたらいかがだろうか。金はかかるが、母親の利便性を考慮したら最善であろう。
PFIは他の地方公共団体での失敗例が多すぎ止める方が賢明である。PFI事業は一時流行ったが、既に時代遅れである。企業側も儲けられなければ中途でも逃げ出している。市民サービスも低下する。
 
コストは、施設の補助作業をする人はパート・アルバイトを多用できるように雇用制度を変え、総体コストを下げるようにすればよい。看護士や医師など直接治療・手術に携わる人以外は、そうした人たちを多用することである。ランニングコストも赤字を極力少なくする努力が必要である。
建物は金をかけ立派な建物を作る必要は全くない。ゼネコンが喜ぶだけである。機能と耐久性重視の施設にすればよい。パラマウントベッドも新品の必要性はない。潰れていく病院から貰えばよい。
 
アイランドシティの「こども病院」の目的を明確にすることである。現在の目的はアイランドシティ対策としか見て取れない(議会で通ったらいいというものではない)。国と共同事業として研究施設を併設することである。国と共同事業化できなかったら、九大病院・久留米大病院などと共同事業化すればよい。九州全域の県市町村・病院と資本提携することも考えられる。そうした専門施設も九州に1ヶ所は必要である。敷地には和白病院みたいにヘリポートも施設内に必要となろう。
以上。
 
[ 2009年11月20日 ]
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