アイコン 穴吹工務店 破綻への道③

<再建の思惑・700億円?以上が浮く>
役員たちは、公表されている金融機関の焦付き状況から見て、未保全率が非常に高く、当債権は一般債権になるため、債権額の約20%を向こう10年間で分割返済できる。

そうしたことから今後販売するマンションの売上代金は、運転資金に回せることになる。それに工事負債(09/3期末現在21827百万円)も金融債務の一般債権同様向こう1年間支払う必要もなく、約20%を10年間の分割で支払えばよい。

そのため再建方法として、会社更生法を選んだのは、一般債権化した金融債務と工事債権が、推定700億円以上予想され、その資金があれば金融機関に依存せず再建できると踏んだのであろう。当然金融機関はADRを申請してもその後の融資の保証は殆どない。
保全額が記載されている銀行債権総額42626百万円に対して、未保全債権33041百万円、実に77.51%の債権が保全措置を取っていなかったことが判明している。なお、09/3期末の借入総額は1,232億19百万円である
今回の事態で代表取締役の責任論はなくなっており、今後現行体制で同社は経営されると思われる(民事再生では穴吹代表はそのまま居座ることができるが、会社更生法では責任が問われる)。
 
<再建の可能性大>
同社の場合、他に行き詰っているデベロッパーと異なり、分譲マンションを自社建築している。そのため金融負債だけではなく、多くの工事債務を有する。コスモスイニシアのように債務の殆どが金融債務であったならば、金融機関だけに債務カットや返済繰り延べをお願いするADR申請の方法があったが、同社の場合には取れなかったのである。
しかし、金融機関の未保全分が想像以上に多く、産活法によるADRでも再建は可能であったが、その後の金融機関の融資保証が取れないだけ会社更生法に傾いたのであろう。
 
<取引業者は今後の取引は行うように>
 会社更生法を出した3社に限っては、取引業者も痛手を負っていようが、今後の仕事は積極的に行うべきである。今後の支払は現金になり、裁判所の管轄下で経営されることでもあり、新たな売掛金の回収不安はない。しかし、1~2年後までは大丈夫であろうが、その後はその限りではない。
 また現場に入っている業者は、今月の請求はできるだけ少なくして、翌月に請求を回すことである。先月までの分は会社更生法の適用で支払は大幅カットされ、それも1年~2年後から分割で返済される。
 
<最後のリスク>
会社更生法下でも裁判所はまだ受付段階であり、株主総会により会社更生法の申請を覆すことができる。民事再生や自己破産へ持っていくことも可能だ。もしも穴吹取締役が株主総会を招集して自己破産などに持ち込んだら大変なことになる。そのリスクは今後のリスクとして僅かな可能性ではあるが残る。
そうした事例は福岡のマンション業者のインベストで、取締役会で代表を更迭、新たな代表が会社更生法を申請、しかし元代表が株主総会を開催して、新社長や役員を罷免、返り咲いた元社長が民事再生法に切り替えられた事例がある。
 ※穴吹工務店は非上場企業であり、地場銀行は代表個人の連帯保証を取得しているものと思われる。穴吹取締役が銀行を怒らせたら無一文になる可能性もあり、そうした動きは99.9%取れないものと思われる。

 

[ 2009年11月28日 ]
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