アイコン 穴吹工務店/破綻後も対立続く/英隆(元)社長と新役員陣

前社長の穴吹英隆取締役が、「解任、更生法申請は無効」と東京地裁に上申書を提出。
 11月24日、1,500億円の負債を抱えて破綻した穴吹工務店他2社。

穴吹英隆(前)社長が、記者会見で今回の事態の謝罪をする一方、社長解任や同法の適用申請を決めた24日の取締役会は無効であると主張。東京地裁に申請却下決定を求める上申書を提出したことを明らかにした。当取締役会は穴吹英隆社長欠席のまま開催され申請の決議がされている。
 穴吹氏らによると、24日の取締役会について穴吹氏は中止を通知していた。また同社の定款で取締役会は取締役社長が招集するとされているのに、無断で集まった「私的会合」であり、法的な正当性がなく「会社更生法を一方的に選択された」としている。高松法務局にも、新たに代表取締役に就任した2人の登記を受理しないよう求める上申書を出したという。
 また高松地裁に対し、社長の地位保全を求める仮処分の申し立てや、同社を相手取った地位保全の提訴も検討するという。
 24日夜にあった新代表取締役らの会見では、穴吹氏と他の取締役が経営再建方針を巡って対立していたことを明らかにしたうえで、同日の取締役会に穴吹氏が出席しなかったため、急遽、社長解任を決定し、会社更生法適用の申請を決めたとしている。
 
     現実ここまで社会問題化した会社更生法の申請であり、会社役員内部や定款がどうであれ法的には動かない。
24日の取締役会議は、穴吹社長が取締役会を招集したものの、その後穴吹社長は各役員に中止を通知したとされるが、各役員がそんなことは知らないと宣言したら、取締役会議は成立し、穴吹社長が欠席しただけで何ら問題とならない。中止についてはいかなる手段で各役員に知らしめたのか逆に穴吹社長が問われることになる。
穴吹社長と各役員間は、当然10月末の解任・辞任劇で対立していたことが前提となっている。
穴吹英隆氏は、オーナー企業、ここまで大きく会社をしたにもかかわらず、心中するくらいの社員=役員を1人も作っていなかったことは、超ワンマンだろうとあまりにも情けないお人のようである。
 
<問題点>
今後の問題は、こうした事態から、穴吹英隆氏が血みどろになって現体制と戦った場合、いろいろな問題が生ずる可能性があることだ。
まず、今回申請していない子会社群の多くが代表を英隆氏にしている点。穴吹コミュニティなど資産価値のある会社も多く、これらの処分整理が穴吹工務店では整理できなくなる恐れが高い。穴吹工務店が処分しようとしても英隆氏が訴訟に持ち込めば、その期間、売ろうにも買い手がつかない状態となる。
いずれにしろ、子会社の殆どが、穴吹工務店の完全子会社である㈱エイシーカンパニーグループが株を有しており、各子会社の穴吹英隆社長を粛々と取締役から解任すれば済むことである。無効と地位保全で対立裁判か?
 
<再生ファンド導入により解体必至か>
今後穴吹工務店のスポンサーになった会社が、いろいろな問題が生じようと資産価値のある会社も含め支配権を握ることになる。スポンサーにとっては長期戦では非常に美味しい話となろう。新役員たちも経営には限界があり、再生ファンドなどをスポンサーにしようが、所詮ハゲタカファンドは解体論者、穴吹コミュニティなど美味しいところだけ食べ散らかし、不採算会社は潰し、最後は本丸を新たなスポンサーに叩き売り退散することになる。
債権者は、こうした動きに対して、会社更生法は自己破産ではないため指を舐め眺めているだけしかできない。現経営陣のトータルバランスが取れていれば、一般債権者が金を出し合い投資組合を作りスポンサーになることだってできる(債権者の半分1,000名が500万円づつ出し合えば50億円になりスポンサーにもなれる)。同社は金融債権1,100億円のうち一般債権(担保なしの未保全融資)が500億円以上あり、工事等の一般債権200億円もあり、所有資産状況から資金的にはかなり余裕が出てくる。(これまでの掲載記事参照のこと)
 
<新役員陣>
 会社再建をめぐって穴吹社長と対立し、取締役を辞任しようとした役員たちが選択していたのは結果「会社更生法の申請」であった。財務内容から見て、金融負債を返済猶予や債務カットさせたら再建も可能と見られ、協力業者への被害を及ぼさない事業再生ADRの申請が適していたと思われる。東京の大物弁護士に依頼すれば、そうしたADR活用もできたと思われる。あおぞら銀行以外2桁の額であり、各行引当可能金額でもあり、たいした影響もない。最後は社長と役員という内部抗争に明け暮れ、これまで支えてくれた中小協力業者への影響など考えなかったようだ。こうした新経営陣では経営に限界があろう。今後英隆氏との戦いも待っている。
 
<英隆氏の最後の切り札>
 前回紹介していたが、会社更生法下でもまだ東京地裁が受け付けたばかりであり、株主権を行使して臨時株主総会を開催し、新経営陣を罷免することができる。福岡のインベストの破綻ではそうしたことが現実生じた。インベストでは、社長が役員会で罷免され、新役員陣の社長が会社更生法を申請した。ところが、元社長が株主総会で開催して新役員陣を退陣させた。社長に返り咲いた元社長は、民事再生に切り替えたのであった。そのため今でも民事再生下で社長を務めている。
 しかし、こうしたことを実行したら、穴吹工務店は規模も桁違いに違い、信用は100%になろう。
 穴吹英隆氏は、せっかく上場せずこれまで来たのに、最後は身内と思われる方々から放逐されてしまった。株主構成も問題はなかった。定款も問題なかった。問題だったのは上場もしていないのに取締役を身内で過半を制していなかったことである。あんたの負け。
 
[ 2009年11月30日 ]
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