シノケンと「えん」の縁結び②
シノケンは、姉歯事件からの回復に躍起になりすぎたようである。サブプライムローン問題では、最期まで投資用不動産事業に追随、中洲5丁目の物件のように大きな痛手を負った。代表の目は中国に向いていたため、肝心のアメリカの不動産投資ファンドの状況など知る由もなかったろうが、銀行が引き締め始めた時がターニングポイントであった。
今期の決算予想は決して楽観視できないが、「えん」との資本業務提携はさすがであった。
「えん」は(投資家向け)1ルーム分譲マンションの販売の世界では、福岡では群を抜いており、現在でも多くの営業マンや投資家を抱えている。
非連結/百万円 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 |
09年3月期第②四半期 | 7,541 | -297 | -458 | -272 |
10年3月期第②四半期 | 9,030 | -432 | -862 | -890 |
10年3月期予想 | 20,000 | 4,600 | 10 | -170 |
10年3月期第②四半期 | 総資産 | 純資産 | 自己資本 | 自己資本率 |
12,963 | 745 | 741 | 5.7% |
「えん」にとって今回の提携は、何のメリットがあったのだろうか? 同社はこれまで独自に土地を見つけ、建築会社に建てさせていた。一方シノケンの投資用マンションの場合、「満室時何%で回転しますよ」というビル所有を目的とする投資家に対して一棟売りを主体にしてきた。
「えん」で懸案になっていることとしたら、銀行の不動産事業者への融資抑制の影響や決済までの時間であろう。「えん」の財務内容は良いが、お金が遊んでいるわけではない。それに対して新規取得用土地などの取得では緊急性も帯びる。そこで提携メリットがシノケンの財布(コミットメント契約枠5億円、枠残不明)と思われるのである。
当然シノケンにとっても、「えん」との関係を深く持ち、建築して一棟売り売却や建築だけを請け負うこともできる。それでも今回のシノケンの「えん」との提携は、「えん」の信用を取り込んだことが最大のメリットと思われる。
「えん」/千円 | 07/3期 | 08/3期 | 09/3期 |
売上高 | 7,833,492 | 8,366,818 | 6,975,962 |
営業利益 | 494,370 | 487,562 | 355,208 |
経常利益 | 374,187 | 260,290 | 211,266 |
当期純利益 | 193,321 | 142,216 | 108,280 |
純資産 | 617,245 | 728,702 | 811,137 |
総資産 | 4,746,854 | 8,085,107 | 5,456,843 |
[ 2010年1月 7日 ]
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