アイコン 2010年の国内化粧品市場の調査結果/富士経済

富士経済は6分野43品目を調査した結果を発表した。
 スキンケア:前年比 横ばい の9,724億円
 へアケア・ヘアメイク:前年比0.4%増の4,798億円
 メイクアップ:前年比1.8%減の4,695億円

総合マーケティングビジネスの富士経済(電話03-3664-5811)は、国内の化粧品市場を2011年1月から5月にかけて3回に亘り調査を行った。その結果を報告書「化粧品マーケティング要覧2011 No.1、2、3」としてまとめた。
 報告書No.1では、1月~3月にかけてスキンケア9品目、フレグランス6品目、
No.2では2月~4月にかけてヘアケア・ヘアメイク6品目、メンズコスメティックス5品目、
No.3では3月~5月にかけてメイクアップ10品目、ボディケア7品目の市場を調査分析した。

<調査結果の概要>
1.スキンケア
 スキンケアは、洗顔料、クレンジング、マッサージ・コールド、モイスチャー、スポットケア、化粧水、乳液、美容液、パックの9品目を対象としている。
 2010年の市場は、ベーシックケアの洗顔料や化粧水、乳液が実績を落としたが、消費者のスペシャルケアに対する意識は依然として高く、節約疲れやプチ贅沢といった消費行動からスペシャルケアの美容液やスポットケア、パック等が実績を伸ばし、横ばい(前年の9,721億円から僅かに上昇)となった。
 ベーシックケアではモイスチャーのマルチパーパス訴求のアイテムが引き続き好調であったが、その他はセルフメーカー(制度品メーカーのセルフブランドを含む)が店頭価格1,000円程度の新ブランドを相次いで投入したことから単価の下落が進み、実績を落とした。

 メーカー別に見ると、ブランドの集約を進め、基幹のカウンセリングブランドでノープリントプライスを採用している制度品メーカーは苦戦が続いた。一方、通販を主力チャネルに洗顔料やマルチパーパスゲルなどを販売する悠香や新日本製薬、富士フイルム ヘルスケアラボラトリーの躍進が目立った。

 今後スキンケア市場が継続的に拡大するにはベーシックケアの実績拡大が不可欠と見られる。しかし、ベーシックケアは制度品メーカーも海外での展開を視野に入れた低価格帯ブランドを強化していることから単価の下落が進行しており、2011年以降も縮小が続くと見られる。

2.へアケア・ヘアメイク
 へアケア・ヘアメイクは、シャンプー、リンス・コンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアスタイリング剤、ヘアカラー、コールドウェーブ液の6品目を対象としている。
 2010年の市場は、3年ぶりのプラス成長となった。ヘアサロンへの来店率低下にも徐々に歯止めがかかり業務用がプラスに転じたこと、ヘアトリートメントが引き続き好調であったこと、またヘアカラーが家庭用で泡タイプやトリートメントカラーなど簡便な商品が増え好調であったことなどが要因である。
 2011年の市場は、東日本大震災によって容器や原材料、パッケージの供給など生産上の問題、計画停電や外出自粛に伴うヘアサロンへの来店率低下など様々な問題が生じており、大幅な縮小が見込まれる。
 品目別に見ると、シャンプー、リンス・コンディショナーはプレミアム訴求の大型ブランドの投入が一段落して以降、競争が激化していることや詰替用への需要シフトによって単価の下落が続いており、引き続き縮小すると見込まれる。
一方、2010~2011年にかけては「パンテーン ナチュラルケア」(P&Gジャパン(ビューティケア事業))など髪のハリやコシに着目した商品が投入されており、シャンプー、リンス・コンディショナーにおいてもエイジングケア訴求商品に注目が集まっている。
ヘアトリートメントは、インバス、アウトバスともに複数のアイテムを使い分けるユーザーも多いことから需要開拓の余地が大きく、各社も商品投入を積極的に進めていくと見られるが、大震災の影響もあり縮小が見込まれる。
ヘアカラーは、通販ルートを中心にリンス・トリートメント代わりに使用するヘアマニキュアが伸びているが、東北エリアをはじめ消費そのものが低迷していることから縮小が見込まれる。一方、白髪用・黒髪用ヘアカラーでは2011年も各社が泡タイプの商品投入に注力しており、泡タイプでは競争が激化していくと見られる。

3.メイクアップ
 メイクアップは、メイクアップベース、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、チークカラー、リップカラー、ネイルカラー・ネイルケアの10品目を対象としている。
 市場はリーマンショックを契機に経済環境が悪化しはじめた2008年に縮小に転じた。2009年は外出機会の減少や消費マインドの低下を背景に中価格帯需要の低迷と好調を維持してきた百貨店チャネルの不振により、また、2010年はベースメイクでBBクリームや制度品メーカーによるミネラルファンデーションのヒット、チークカラーの需要拡大など好材料はあったものの、全体として高機能化が進むセルフブランドへのシフトが続くことで単価が下落し、プレステージブランドでは主力チャネルとなる百貨店の実績が回復せず、市場が縮小した。
 2011年は東日本大震災の影響で関東、東北エリアを中心に消費マインドの低下や外出機会の減少によりメイクアップ頻度の低下が懸念されており、市場は引き続き縮小すると見込まれる。
 品目別に見ると、ベースメイクは低価格なBBクリームの需要拡大による単価の下落のほか、制度品メーカー系セルフブランドが2010~2011年にかけてミネラルファンデーションやBBクリームでベースメイクの強化を図っており、高価格帯ブランドからの、低価格なマス向けカウンセリングブランドやセルフブランドへの需要シフトが加速する可能性もある。
低価格ブランドの活況を受け、「コフレドール」(カネボウ化粧品)、「マキアージュ」(資生堂)、「エスプリークプレシャス」(コーセー)もパウダリーファンデーションのレフィル(詰め替え品)の参考価格を2011年春の新商品から引き下げている。
チークカラーやリップカラーは、健康的なナチュラルメイクがトレンドとなる中、メイクアップのポイントが目元重視から頬に移行しつつあり、市場の活性化が期待される。但し、リップカラーについては2010~2011年にかけ、マス向けカウンセリングブランドが新商品の参考価格を引き下げており、単価の下落により市場縮小が見込まれる。
 チャネル別に見ると、当面ドラッグストアがメインチャネルとなるが、主力の中価格帯ブランドが苦戦しているため実績を拡大するのは難しいと見られる。通販チャネルでは2010年にコーセーが通販専用ブランド「ビューティ ヴィジョン」を投入している。また、メイクアップを主力とする既存の「ジルスチュアート」のインターネット通販を2011年5月に開始している。2012年には資生堂もメイクアップを含む幅広い品揃えで通販への参入を予定しており、メイクアップにおいても通販チャネルが活性化していくと予測される。
以上、女性でなくてはなかなか分からないところがある。日本経済は購買力のある女性で持っており、そうした女性のためにも掲載した。ご一読を。
 

[ 2011年6月17日 ]
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