アイコン 八箇峠トンネル爆発事故 佐藤工業を一斉捜索 作業前のガスチェック計画書あり

新潟県南魚沼市の八箇峠トンネル工事現場で24日に発生した爆発事故の爆風で3人が負傷し、トンネル入り口から1.3キロ地点で不明の4人も発見されたが、残念ながら死亡が確認された。

新潟県警は27日朝、業務上過失傷害容疑で、工事を請け負っていた佐藤工業北陸支店(富山市)や新潟営業所(新潟市)、南魚沼市の現場事務所を一斉家宅捜索した。

トンネル内の換気設備は、可燃性ガスに配慮して、配線を絶縁体で覆うなどした「防爆構造」ではなかったという、県警は押収資料を分析して、同致死傷容疑で安全確保に問題がなかったかを捜査する。
当工事ルートは、既定ルートの地盤が、ガスが発生しやすい地盤であったため変更され、現在のルートになったとされている。(佐藤工業は平成19年3月の入札で、15億17百万円で落札、総合評価方式)

冬場の工事中断で当トンネル内が長期間閉ざされ、可燃性ガスが少しずつ蓄積、今回の事故に繋がっているが、昨冬明けや一昨年冬明けには今回のような問題は発生していない。結果的に昨年の工事で可燃性ガス発生地盤に出くわしてしまっていたのであろう。

更に今年は、工事再開につき、工事中の国道253号八箇峠道路の使用について、日本猛禽類研究機構(理事長:元新潟大教授)から猛禽類の繁殖問題が指摘され、長岡国道事務所が、南魚沼市側の一部区域において、指摘された猛禽類の繁殖に影響する可能性があるとして当面の間、工事再開を延期していた。
5月17日、八箇峠道路環境検討委員会へ猛禽類の繁殖への影響は認められないとの報告を得て、工事が例年より大幅に遅れて再開されたばかりであった。そのため、可燃性ガスはその分多くトンネル構内に蓄積されていたのであった。
 
 佐藤工業は、作業前にガスチェックを検知器で毎日行うという作業計画書を北陸地方整備局に対して提出していたという。それが、肝心要の工事再開時に実行されず、今回の悲劇を発生させてしまった。(作業員はガス検知器を携帯せず入構していたという)
 当工事に入って5年、これまでガスの発生はなかったのだろうが、今冬は、ガスがトンネル構内に蓄積され続けていた。

発注者の北陸地方整備局(長岡国道事務所)も、これまでにトンネル工事の検査に何回も入っていたはずであり、爆発事故を防ぐ、防爆構造の配線になっているのかチェックしなければならなかったはずである。しかし、そうしたチェックも、着工以来されていなかったようだ。こうした複合的な問題を抱え、3人の負傷者と4人が亡くなるという悲劇が生じてしまった。慣れが一番の強敵だ。
 

[ 2012年5月28日 ]
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