アイコン 施主・ゼネコンに適正価格への理解求める/建専連

建設の各専門職団体である建設産業専門団体連合会は11日、「若者が希望を持って入職できる環境 整備、健全な建設産業」の実現を目的に、適正価格での受・発注により、技能労働者の賃金アップや社会保険加入を促進する一方、安値受注を繰り返し、指値を する企業とは専門工事業として契約をしないことなど5項目の建専連団体決議文を、日本建設業連合会、全国建設業協会の元請団体に提出するとともに、日本経 済団体連合会、日本商工会議所など民間工事発注者・関係30団体に送付した。

民間発注者と直接の契約関係にない下請けの全国団体が、適正契約への理解を求める要請をしたのは初めて。
 建設市場の3分の2は民間工事。民間工事で適正価格の受・発注、技能労働者の賃金アップ、社会保険加入が進まなければ、健全な建設産業は構築できない。その上で、社会保険加入費用を元請けから支払われる前に、身銭を切って進める覚悟を今後全国各地で開かれる国土交通省地方整備局との意見交換で各職種団体・企業に強く要請するという。

今年度の公共工事設計労務単価の大幅上昇を、技能労働者の賃金アップの形で反映させるとともに、社会保険加入の原資となる法定福利費を契約の中で別枠計上し、専門工事業が受け取るためには、元請けだけでなく発注者の理解が欠かせない。
ただ発注者と元請けとの既契約分には、技能労働者の社会保険加入分や賃金アップ分が含まれていないケースがほとんど。専門工事業団体が民間団体にこうした費用への理解を直接求めることで、資材・労働力不足に伴う費用増額分への理解を民間発注者に求める元請けに対する側面支援の意味合いもある。
民間団体への保険加入促進費用理解を求める要請は、国土交通省が7日付で30団体に送付していた。
建専連は、国交省の動きを踏まえ、国交省送付先と同じ団体に、建専連要請を送付した。また元請団体では、日建連、全建のほか今後、全国中小建設業協会にも要請するため団体決議文を提出する。
以上、参照:建設通信新聞
 
国や地方公共団体は、建設にかかわる労務単価の積算単価を大幅に引き下げ、入札に当たっては最低入札価格を設定したため、建設の下請業者の現場予算は大幅に引き下げられてきた。その結果、建設業界からの労働者離れが生じ、ここにきて、東日本大震災の復興工事における官庁入札案件で、入札者がいないなど異常な事態が生じていた。
建設業界は、今や建設労働者の需給バランスが一機に崩れ、下請業者優位に動いている。また、円安で木材など輸入資材も高騰、こうしたことにより建設コストが大幅に上がり、平成24年3月期や平成25年3月期のゼネコンの決算は、売上高は伸びたものの、利益を大幅に落とし、赤字になったゼネコンも多い。国交省の発注側は、高給取りの国家公務員、一方、建設労働者は何の生活保証もなく、低賃金に苛まれてきた。今回の建専連の申し入れは意義深いものである。
ただ、需給バランスだけで高騰している現在の労務費コストは、沈静化させる必要もあろう。5年後、復興需要が一巡してしまえば、また元の木阿弥になり、ゼネコンも下請けも疲弊するものとなる。
建設は、発注者側に適切価格での発注が強く求められ、受けるゼネコンも適切価格で受注することが肝心である。

[ 2013年6月12日 ]
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