アイコン 2014年公示価格 3大都市圏上昇 主要都市オフィス空室率付

国土交通省が18日発表した公示地価(2014年1月1日時点)によると、東京、大阪、名古屋の三大都市圏の地価はリーマンショック発生時以来、6年ぶりに上昇に転じた。
デフレ脱却を目指す安倍晋三政権下の大胆な金融緩和(黒田日銀の資金垂れ流し政策)や景気回復で、低金利下、不動産投資や住宅取得の需要が高まっていることが背景にある。

<概要 住宅地>
低金利や住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えや景況感の改善による住宅需要拡大等もあって、都道府県全てで下落率縮小や上昇への転換等が継続して見られる。特に利便性、住環境等に優る住宅地では上昇基調が顕著となった。
圏域別に見ると

1、東京圏は、上昇地点の割合が大幅に増加し、半数以上の地点が上昇となった。特に埼玉県、東京都、神奈川県は下落から上昇に転じた。なお、半年毎の地価動向をみると同率の上昇となった。
2、大阪圏は、上昇地点の割合が増加し、3割弱の地点が上昇となった。特に京都市、大阪市、北摂エリア及び阪神間を中心に上昇基調となっている。なお、半年毎の地価動向をみると後半上昇が強まった
3、名古屋圏は、上昇地点の割合が大幅に増加し、半数以上の地点が上昇となった。愛知県は昨年に引き続き上昇となり、特に名古屋市及びその周辺部である尾張地域、西三河地域の多くで上昇基調となっている。なお、半年毎の地価動向をみると同率の上昇となった

<概要 商業地>
低金利、景況感の改善を背景に都道府県全てで下落率縮小や上昇への転換等が継続して見られる。また、堅調な住宅需要を背景に商業地をマンション用地として利用する動きが全国的に見られ、上昇又は下落率縮小となった要因の一つとなっている。
 三大都市圏を中心に上昇となった都府県が見られるが、主要都市の中心部などでは、店舗について消費動向が回復し、また、オフィスについても空室率は概ね改善傾向が続き投資用不動産等への需要が回復している。更にBCP(事業継続計画)等の観点から耐震性に優れる新築・大規模オフィスへの動きが見られるなど、高度商業地や再開発等の進む地域で上昇基調が強まっている。

圏域別にみると、
1、東京圏は、上昇地点の割合が大幅に増加し、約3/4の地点が上昇となった。特に埼玉県、千葉県、東京都は下落から上昇に転じ、神奈川県は昨年に引き続き上昇となった。なお、半年毎の地価動向をみると後半上昇が強まった。
2、大阪圏は、上昇地点の割合が大幅に増加し、半数以上の地点が上昇となった。特に京都府、大阪府は下落から上昇に転じた。なお、半年毎の地価動向をみると後半は上昇が強まった
3、名古屋圏は、上昇地点の割合が大幅に増加し、6割弱の地点が上昇となった。愛知県は下落から上昇に転じ、特に名古屋市及びその周辺部である尾張地域、西三河地域の多くで上昇基調となっている。なお、半年毎の地価動向をみると後半上昇が強まった。
4、地方圏は、約3/4の地点が下落しているが、全ての道県で下落率は縮小した。特に宮城県、滋賀県、沖縄県が上昇となった。
三大都市圏の公示地価は、住宅地が前年比0.5%上昇(前年▲0.6%下落)に対し、商業地は同1.6%上昇(同▲0.5%下落)と、商業地の上昇がより鮮明になっている。全用途は同0.7%の上昇(同▲0.6%下落)だった。
森トラストの森章社長は三大都市圏の商業地が上昇に転じたことについて「上昇傾向は鮮明となった」とのコメントを発表。
その理由として、「世界の投資家からも、日本の不動産の上昇余地や低金利を評価する動きが強く、国内だけでなく海外からの資金流入が拡大している」との見方を示した。
昨年4月の日本銀行の異次元緩和を背景に、日本版不動産投資信託(Jリート)など不動産投資市場に資金が流入。
不動産証券化協会によると、13年のJリートによる資産取得額(引渡日ベース)は前年比3倍弱の2兆2330億円と過去最高を記録、商業地の上昇をけん引した。

また、アベノミクス効果で円安・株高が進み、輸出産業を中心に業績が上向いた結果、トヨタ関連の会社が拠点を構える愛知県名古屋市(商業地3.7%)や西三河地域の上昇が目立つ。
本社移転や事業スペース拡大も活発化し、都心5区のオフィス空室率 (三鬼商事調べ)は2月、7.01%と約5年ぶりの低水準まで改善した。

全国の商業地で最も高額の中央区銀座の山野楽器銀座本店は1平方メートル当り2960万円(坪換算で約9770万円、9.6%上昇)と、09年以来の坪1億円に迫っている。

株高と5輪効果
住宅ローンの低金利やローン減税に支えられて、住宅需要も堅調。不動産経済研究所の調査では、昨年の首都圏のマンション発売戸数も前年比24%増の5万6500戸と07年以来の高水準だった。
また、株高による資産効果などで高級住宅地の地価は急上昇。全国一高かったのは千代田区六番町(1平方メートル当たり296万円)だった。
同研究所によると、販売価格が1億円を超える「億ション」の供給戸数は昨年、前年のほぼ2倍の1504戸と、バブル末期の1991年(1572戸)以来最多となった。

昨年9月に2020年五輪の東京開催が決まったのを契機に、開催地周辺地域は再開発が進むとの期待から地価が押し上げられた。マンション用地として需要が高まっている中央区勝どき駅周辺は約11%上昇した。
過去、オリンピック開催決定後、バブル化しない開催都市はないのは歴史が証明している。

まだバブルではない
地価は90年代のバブル崩壊以降、値下がりが続いていたが、07年から08年にかけて外資などの投資マネーや不動産ファンドの大活躍によりミニバブルが発生。

しかし、08年9月のリーマンショックを契機に資金流入が細り、再び地価は下落していた。
みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリストは、「今後2年程度は大都市圏を中心に地価は値上がりが続く」と語ったが、市場関係者の間では今の地価上昇ペースに対する警戒感は出ていない。

JPモルガン証券の穴井宏和アナリストは、「年率で10%くらいの上昇が数年間続いて、はじめてバブルといえるだろう」と指摘した。
野村証券の福島大輔アナリストは、現在の地価上昇について「オフィス賃料上昇などファンダメンタルズの改善を反映したものだ」と分析している。
一方、地方の平均地価(全用途)は▲1.7%と22年連続で下落した。

国交省土地鑑定委員会の石橋勲常勤委員は、「大都市圏に人や経済が集約化する一方、地方は経済衰退で住宅需要の低下は顕在化している」と指摘。大都市圏と地方の格差は縮まらないとの見方を示した。
東日本大震災の被災地の地価は回復傾向にあり、住宅の高台移転や復旧事業で上昇が目立ってきた。宮城県は、住宅地は上昇率が2.5%と都道府県別で1位、商業地は同4位だった。

全国の上昇率上位10位までのうち、住宅地は1~8位が宮城県と福島県で9位と10位が東京都中央区の湾岸エリアだった。
今回の公示地価は全国2万3380の調査地点が対象で、福島県内の17地点は調査を休止している。
2月の主要都市のオフィス空室率は、前年同月比で大幅に減少している。東京にいたっては7.01%しか空室がなく、場所によっては顧客ニーズに応えられない状況となっている。

<2013年の建築着工状況>
1、非居住建築の2013年の着工面積
55,948千平方メートル(前年比11.5%増)
2、住宅着工戸数の2013年
   980,025戸(前年比11.0%増、2012年882,797戸)

<オフィス空質率>
2020東京5輪に向け、東京と横浜はオフィスが多いにもかかわらず空室率が大幅に減少してきている。すでに東京5輪効果が生じている。

2014年2月 主要都市オフィス空室率の状況
 
2013年2月
2014年2月
増減率
札 幌
9.20
8.54
-0.68%
仙 台
13.53
12.06
-1.46%
東 京
8.57
7.01
-1.56%
横 浜
9.87
8.17
-1.72%
名古屋
10.99
9.34
-1.65%
大 阪
10.48
9.45
-1.03%
福 岡
12.13
10.50
-1.63%
・三鬼商事調べ、各都市主要ビジネス街区
以上、参考:国交省、ブルームバーグ、三鬼商事ほか

[ 2014年3月19日 ]
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