アイコン 近畿企業34・8%が海外進出 円安にもかかわらず輸出数量が伸びない訳

帝国データバンク大阪支社が調査した結果、近畿2府4県の企業の海外進出率は34.8%と全国10地区で最も高かったことが分かった。
近畿には製造業や繊維業の集積していることが背景にある。今後の進出先としての生産拠点はベトナム、販売先は中国を重視している傾向も明らかになった。
今年9月16日から同30日までの間に全国2万3561社を対象に調査し、ここから近畿2府4県の企業を抽出し分析した。近畿3969社のうち1820社が回答した。
 海外進出の内訳は、生産拠点や販売拠点などの直接進出が16.7%、業務提携や輸出などの間接進出25.2%(複数回答あり)。直接、間接いずれかの形で海外進出している企業は34.8%で2位の南関東は31.9%だった。
 大企業ほど海外に進出しており、特に直接進出は(資本金1億円以上の)大企業33.7%に対して中小企業4.6%と大きな差がついた。業種では製造業が43.3%と最多だった。
 今後、海外進出の際に重視する国は生産拠点ではベトナムが11.9%とトップ、販売先では中国が14.6%でトップだった。
 一方、現在海外に直接進出している近畿企業の37.6%が撤退または撤退を検討した経験があり、その際には資金回収や現地従業員の処遇などの課題に直面していることも分かった。
以上、報道

円安がここまで進んでも輸出の数量指数は、2010年に比し、今だ到達していない。アベノミクスによる超円安政策においては、海外へ工場をシフトさせた日系企業の製品が日本へ逆輸入されることにより、大きな為替損まで発生させている企業も多くなってきている。
当然、内需型で海外進出していない製造業者では、超円安による輸入原材料の高騰による製品コスト高に見舞われ、ごり押しで価格転嫁できる超大手を除き、経営を悪化させている。しかも、国民の消費が増税や社会保険料の値上げにより減退しており、コスト高を製品の販売価格に転嫁できていない中小企業も多くなってきている。

<円安効果で輸出額は伸びても伸びない輸出数量指数>
数量指数がまったく伸びない中、輸出額が増加しているのは、単に円安効果による水ふくれによるものといえる。輸出に対するドルベースでの取引は全取引の55%超に達している。
日本市場は、少子化により市場が縮小化していくことは疑いようもなく、ましてや増加する一方の低賃金の非正規雇用者増と税や社会保険料の負担増により、可処分所得がますます減り続けることも日本市場を縮小させていく要因となっている。非正規雇用者の拡大と少子化は当然比例もしている。
製造企業で、内需より外需に依存する製造業者は当然、海外へ工場を投資することになる。目先の円安による魅力より、海外への工場移転投資が将来的にメリット大と捉えているからにほかならない。

輸出数量指数と対ドル円の推移
 
数量指数
ドル/円
 
2012年10月
 
79.787
 
2012年12月
 
86.739
安倍首相誕生・基準値
2013年1月
 
91.651
 
2013年4月
91.1
97.414
日銀金融緩和宣言
2013年5月
89.0
100.396
 
2013年6月
92.6
99.155
 
2013年7月
93.5
97.913
 
2013年8月
89.2
98.188
 
2013年9月
91.7
98.211
 
2013年10月
93.4
98.372
 
2013年11月
90.7
102.423
 
2013年12月
91.6
105.289
 
2014年1月
77.7
102.055
 
2014年2月
87.5
101.865
 
2014年3月
95.9
103.214
 
2014年4月
92.9
102.222
 
2014年5月
86.0
101.784
 
2014年6月
91.1
101.325
 
2014年7月
94.2
102.792
 
2014年8月
86.6
104.080
 
2014年9月
94.3
109.634
FRB緩和策終了
2014年10月
97.9
112.354
10月末金融緩和宣言
2014年11月
 
118.692
 
・数量指数の基準値は2,013年7月から2010年の数値(財務省貿易統計より)。ドル円価格は月間平均値
 
<輸出企業は何もしなくても利益は円安により転がり込んでくる>
安倍政権誕生年月を基準値としても
2012年12月のドル価格86.739円
と100円と比較:11.5%円安
同105円と比較:21.0%円安
同110円と比較:26.8%円安
同115円と比較:32.5%円安
同117円と比較:34.8%円安
同120円と比較:38.3%円安
 
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[ 2014年12月 1日 ]
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