アイコン 創エネ・蓄エネなどスマートコミュニティの世界市場規模と予想/富士経済

2025年予測 28兆3,739億円(2013年比2.1倍)
総合マーケティングビジネスの富士経済は、スマートコミュニティに関連する製品・システムやサービスの市場を創エネ、蓄エネ、エネルギーマネジメントなどを領域ごとに調査し、「スマートコミュニティ関連技術・市場の現状と将来展望 2014」にまとめた。
なお、スマートコミュニティとは、電気や熱、未利用エネルギーなどのエネルギーを地域単位で統合的に管理し、交通システムなどのインフラや快適に生活するためのICTサービスが組み合わさった地域社会をさす。

 
2013
2025年予測
2013年比
市場規模
13兆7,348億円
28兆3,739億円
2.1
創エネ領域
10兆円
14兆円
 
蓄エネ領域
0.8兆円
9兆円
 
エネルギーマネジメント
 
 
増加
DR(Demand Response)
 
 
増加
日本市場
1兆5442億円
3兆2,554億円
 
エネルギーマネジメント:コントロールユニットやパワーコンディショナなど。DR電力受給制御。
 
調査結果の概要
1.   スマートコミュニティ関連世界市場

スマートコミュニティ関連世界市場は、2013年の13兆7,348億円から2017年に20兆円に迫り、2025年には2013年比2.1倍の28兆3,739億円が予測される。
2013年は、風力発電、太陽光発電、バイオマス・廃棄物ガス化発電などのシステムの規模が大きく、創エネ領域が10兆円を占める。
今後も拡大が予想され2025年には14兆円程度となるが、市場の伸びをけん引するのはEV/PHVを中心とした蓄エネ領域であり、2013年の0.8兆円から2025年には9兆円まで拡大すると予測される。
エネルギーマネジメント領域は、太陽光発電システムの拡大に伴いパワーコンディショナが伸びており、2025年にこれに次ぐ規模となるのがDR(Demand Response)サービスであるとみられる。
なお、この内日本市場は2013年で1兆5,442億円であり、2017年には2兆円を突破し、2025年には3兆2,554億円が予測される。太陽光発電システムが2015年より縮小に転じることで、日本のスマートコミュニティ関連市場の成長は一旦歯止めがかかるが、2016年以降は再び市場は伸びると予想される。
2.タイプ別のスマートコミュニティの特徴
スマートコミュニティをタイプ別に分類すると7つに分けられる。
 
 
 
タイプ
地域
1
供給信頼性アップ型
米国、カナダ
2
再生可能エネルギー大量導入型
日本、欧州
3
再生可能エネルギーと省エネ導入型
韓国、台湾
4
エネルギー需要急増型
インド、ブラジル、タイ、マレーシア、サウジアラビア
5
エネルギーリスク回避型
UAE、シンガポール
6
地域格差型
中国(農村部)、ブラジル(地方部)、ベトナム、インドネシア、フィリピン
7
都市開発型
中国(沿岸部)、インド
 
1)供給信頼性アップ型 米国、カナダ
米国、カナダでは、老朽化した電力網の更新、系統安定化技術の活用により供給信頼性を高める取り組みが行われている。米国では、風力発電などの再生可能エネルギーとスマートメーターの導入が進み、プロジェクトの中心は系統の安定化や強化にシフトしている。系統制御の方法としてスマートメーターを活用したDRサービス、EV/PHVを活用したV2G、蓄電池を活用したアンシラリーサービスなどが試行されている。カナダでも再生可能エネルギーの大量導入による系統安定化が求められており、蓄電池を活用したアンシラリーサービスが実施されている。
 
2)再生可能エネルギー大量導入型 日本、欧州
日本や欧州では、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを積極的に導入するプロジェクトが多い。これに加えて、低炭素型をコンセプトとしていること、分散型電源にとどまらず蓄電池やEV/PHVを取り入れた実証実験が多いこと、電気のみならず熱の有効活用などが重要な要素となっている。欧州、日本共に実証段階から事業化の方向に進んでおり、特に欧州ではエネルギーの融通という観点が強く、横断的な拡張性の高い取り組みがなされている。
 
3)再生可能エネルギーと省エネ導入型 韓国、台湾
安定的なエネルギー供給基盤を確立するための再生可能エネルギーの導入に加え、需要家側の省エネを推進している。スマートメーターやHEMS、BEMSを導入、活用する実証実験が進んでいる。
 
4)エネルギー需要急増型 インド、ブラジル、タイ、マレーシア、サウジアラビア
経済成長著しい新興国では、エネルギー需要が急増したことで電力不足が課題となっている。再生可能エネルギーも含めた分散型電源の導入によるエネルギー源の確保と電力不足の解消が進められている。現状は設備などの導入段階であり、今後本格的な実証実験が行われるとみられる。
 
5)エネルギーリスク回避型 UAE、シンガポール
石油やLNGなど既存エネルギー源への集中的な依存から太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入によるエネルギー源の分散化、エネルギー輸入依存度の低減を目的とした分散型電源となる再生可能エネルギーの導入、などのエネルギーリスク回避を目的としたスマートコミュニティへの取り組みが進められている。

6)地域格差型 中国(農村部)、ブラジル(地方部)、ベトナム、インドネシア、フィリピン
離島など地理的条件や経済格差によるエネルギーインフラの格差が課題となっている。再生可能エネルギーも含めた分散型発電設備の導入、送配電網の整備などマイクログリッドによる格差解消とエネルギーのスマート化が進められている。
 
7)都市開発型 中国(沿岸部)、インド
エネルギーインフラの整備にとどまらず、交通や水道などといった社会インフラの構築も含めた都市開発をメインとしたスマートコミュニティ。今後、本格的な実証実験が行われていき、発電設備の導入、送配電網の強化、系統安定化など系統側を中心としたスマートグリッドが構築されていくとみられる。
 
創エネ
太陽光発電、小型風力発電、風力発電、バイオマス・廃棄物ガス化発電、太陽熱発電、地熱発電、波力発電、ガスエンジンコージェネ、燃料電池
蓄エネ
中・大容量蓄電池、小容量蓄電池、ガスヒートポンプ(GHP)、EV/PHV、燃料電池自動車、水素ステーション
エネルギーマネジメント
電力スマートメーター、ガススマートメーター、水道スマートメーター、パワーコンディショナ、EV/PHV充電器、HEMS、MEMS、BEMS、FEMS、CEMS、DR(Demand Response)、V2G/V2H
系統・受配電関連
超電導電力ケーブル、柱上変圧器、自動電圧調整器(SVR)、無効電力補償装置(SVC)
コミュニティICT
電力見える化省エネサービス、ヘルスケアサービス、見守りサービス、ホームセキュリティサービス
 
[ 2014年12月 8日 ]
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