アイコン 日銀短観 景気はツルのカマ首状態で悪化  トリクルダウン理論

日銀の短観=企業短期経済観測調査が15日発表され、代表的な指標とされる大企業の製造業の景気判断は小幅ながら2期ぶりに悪化した。
また、先行きについては規模や業種にかかわらず悪化を見込むところが多く、企業は今後の景気に確信を持てない状態となっている。
日銀の短観は3ヶ月ごとに行われ、今回は先月半ばから先週末まで約1万社を対象に調査。
それによると、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値は、代表的な指標とされる大企業の製造業でプラス12ポイントと、前回、3ヶ月前の調査を1ポイント下回って小幅ながら2期ぶりに悪化した。
また、大企業の非製造業はプラス16ポイントで、前回を3ポイント上回り、3期ぶりに改善した。

一方、中小企業では、製造業が2ポイント改善してプラスの1ポイント、非製造業は1ポイント悪化して▲1ポイントだった。

今回の短観では、業務用機械など設備投資に関連する業種で景気判断が改善した一方、消費税率引き上げの影響が残る小売などは悪化した。
このうち、中小企業では、建設業など非製造業を中心に景気判断が悪化したところが多く、円安に伴う原材料価格の値上がりなどへの懸念があるものとみられる。
さらに、先行きについては、大企業と中小企業の製造業、非製造業がいずれも1ポイントから6ポイント悪化すると見込んでおり、急速に進む円安の影響がどう及ぶかなど、企業が今後の景気に確信を持てないでいることもうかがわせている。
以上、

<トリクルダウン理論>
もともと日本の経済政策は、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる」というトリクルダウン理論で構築されている。大企業が良くなれば、中小企業も良くなるという考え方だ。しかし、グローバル化した世界では、新興国が経済活動の保護主義を取り、自国への工場投資に対して優遇政策を採用し、その富は海外へ再移転されているのが現状となっている。
そのため、大企業と中小企業の回復には大きな時間のズレが発生している。しかも、その間、世界の経済状況も変化し、富が滴り落ちる前に経済環境も変わってしまう事態に至っている。輸出企業の利益は31.2%(対ドル80⇒105円)の円安差益利益と円安利益の相乗効果によるものであり、現実の輸出数量は競争力が増した割にはほとんど伸びていない(政府・各省庁・日銀も見誤っていた)。

グローバル化した世界にあり、トリクルダウン理論は、世界全体では理論の正当性は保たれようが、日本という一国で見た場合、世界政治経済に影響されやすい体質を持ち、すでにこの理論だけでは中小企業の政策は行き届かなくなっている。
この理論で、これまで成功したのは、鄧小平の黒猫・白猫論を実践してきた中国であるが、過度な貧富の差が生じており、それを修正するため賃上げさせたが、貧富差は拡大するのみであり、共産党独裁政権が過度な言論弾圧により、社会や経済を維持している状態となっている。これでは成功したとは言い難い。

日本では消費が伸びず、国内需要依存型企業は、円安による原材料の値上げを、売れなくなることから販売価格に転嫁できず、デフレに至ることになる。回避策は内需拡大を促すことになる最低時給1000円超、3大都市圏1200円超にすれば、消費は活気付き、お金は回るようになろう。
大企業と公務員だけ賃金を上げてもトリクルダウン理論のように、消費につながらない。中小企業の賃金上昇を政治が政策的に行うしかない。(その分、社会保険料もがっぽり入るようになり、一石二鳥の効果がある)
賃金上昇の最後の望みは失業率低下、しかし、採用されている者の殆どはろくに社会保険も組まない低賃金の非正規雇用者であり、消費拡大に貢献する度合いは限りなく少なくなっている。
アベノミクスを主導する安倍首相は、賃金上昇をいずれ渋るようになる財界に嫌気が差し、きっと最低賃金を大幅アップすることになるだろう。

1216_03.jpg
青:大企業非製造業/黒:大企業製造業/黄緑:中小企業非製造業/赤:中小企業製造業
 

[ 2014年12月16日 ]
スポンサード リンク

 

コメントをどうぞ

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   


PICK UP

↑トップへ

サイト内検索