アイコン アシアナ航空162便 広島空港で着陸失敗 乗客の証言

14日午後8時すぎ、広島空港に着陸したアシアナ航空162便のエアバスA320型 機(乗客74人、乗員8人計82人搭乗)が、滑走路に進入し約1500m地点で180度旋回し滑走路外へ、機首を進行方向と逆向きにして停止した、一時エ ンジン付近から火の手も上がり全員が緊急脱出用シューターで脱出した。
消防によると、23人がけがをし、多くはけがの程度は軽いという。

アシアナ航空によると乗客は、日本人が46人、中国人が9人、韓国人が8人、アメリカ人とカナダ人、スウェーデン人がそれぞれ2人などとなっているという。
事故機は14日午後6時49分に韓国仁川空港を離陸、午後8時00分に広島空港に到着する予定だった。

事故機は広島空港の滑走路東から進入したが、滑走路の手前325mにある高さ6mのILSの施設が一部壊れており、接触した可能性があるとして、国の運輸安全委員会は、15日調査官3人を現地に派遣することにしている。

国交省によると「着陸時に機体の後部が滑走路に接触し火花が出た」との報告があり、機体は左のエンジンや主翼の一部が壊れているという。

<乗客の証言>
1、「出発前から「乱気流のため揺れます」とアナウンスがあり、不安だったという。「離陸して30分後に機体が上下に揺れ始めた。大丈夫かと不安に思いながら着陸すると、すぐに機体がガタガタと揺れ、強い衝撃がきた。思わず頭を抱えた」

2、「何が起きたか分かりません。飛行機が非常に速く進んでいて、滑走路に着地したとたんに爆発のような音がして少し火が出たほか煙もたくさん出ていました。飛行機は動き続けて滑るように止まり、機内には煙が広がっていて、皆、外に出ようとしていました。その後、ドアが開いてシューターから脱出しました」

3、「ずっと乱気流で揺れていて、着陸の瞬間はかなり衝撃がありました。機内は焦げ臭いにおいがたち込め、窓からは機体から火が出ているのが見えたので、爆発するのではないかと怖かったです。客室乗務員が後ろから大きな声で叫んでいてただ事では無いと思いました。早く脱出しなければと必死でした」

4、「飛行機がものすごい速さで下降して地面に激しく当たり、機体がコントロールを失いました。機内には煙が広がり、とても怖かったです」

5、「乱気流の影響でかなり揺れる時間帯があった。『まもなく着陸します』というアナウンスがあったあと、ガタガタと揺れを感じた。突然、後方から『頭を抱えて』と声がかかり、あわてて頭を手で抱えるとものすごい衝撃があった。死ぬかと思った。外に目をやると炎が見えた」

6、「着陸の10分ほど前から機体が大きく下がったり、細かく揺れたり、ガタガタ揺れたりしていた。雨が激しく窓に打ち付けていた。着陸の際、大きな音と衝撃とともに電気が消え、叫び声が上がった。煙の臭いが充満し、乗員からも叫び声が聞こえたという。非常口が開き、外の草むらへ脱出した。無我夢中で、ほかの人を助ける余裕はなかった」

7、「着陸前からガタガタ揺れていて、地面についた後も何度かバウンドした感じだった。止まった後に前方から煙が来て、上からマスクが落ちてきて焼け焦げたようなにおいがした。乗客の男性が『頭を抱えて!』と叫んでいた。客室乗務員もパニックになって、『扉が開かない、開かない』と言っていた」

<天候は・・・>
広島空港の事故当時の天気は雨模様だったが、視界はそれほど悪くなかったという。だが、搭乗客によると着陸以前から乱気流で飛行機は揺れ続けていたという。
気象庁によると、本州の南にある低気圧と前線の影響で、東日本を中心に雨が降っていて、上空に強い寒気が流れ込んでいるため、西日本や東日本で大気の状態が不安定になっているとしていた。

<高度を下げ過ぎての進入が原因か>
滑走路は3000mもあるにもかかわらず、手前325mのILSに接触していることから、高度を下げ過ぎて進入した可能性がある。ただ、何故下げ過ぎて進入したのかは不明。
その接触により、機体もしくは車輪が損傷を受け、着陸時のバランスを失った可能性が高い。乗客たちは、直陸時2度のバウンド、爆発音なども聞き、死ぬかと思ったと話している。

<計器着陸装置(ILS)>
広島空港は、標高が高いために気象条件(主に霧)の制約を受けやすいため、精度の最も高いカテゴリーIIIbの計器着陸装置(ILS)を運用している。

計器着陸装置(ILS)とは、着陸進入する航空機に対して、空港・飛行場付近の地上施設から指向性誘導電波を発射し、視界が悪いときでも安全に滑走路上まで誘導する計器進入システム。
電波を使って進入コースの中心から左右のずれを示す「ローカライザー」と、適切な進入の角度を示す「グライドスロープ」などからなる。
このうち、今回の事故で一部が壊れたのは「ローカライザー」で、広島空港では滑走路の端から325メートル手前に設置されている。
 ただ、視界が悪い時重宝されるもの、天候悪の場合、山間部特有の乱気流やダウンバーストなどへの対応はまったく別問題。

これ以上の大事故にならなくてよかった。

<アシアナ航空の最近の事故>
1、2014年4月19日 、 アシアナ航空603便エンジントラブル(仁川からサイパンへ向かっていたアシアナ航空603便(ボーイング767-300)が飛行中、福岡上空付近でエンジンの警告ランプが点灯し異常を通知されていたにもかかわらず、飛行を継続し目的地まで飛行したとして、韓国の運輸当局から処分された。

2、2013年7月、アメリカ・サンフランシスコ国際空港で、ボーイング777型機が着陸に失敗し、中国人の女子高校生3人が死亡、187人がけがをする事故を起こしている。

3、2012年8月、 アシアナ航空231便機体動揺事故 (エアバスA330-300、3名負傷 午後3時20分頃、ハワイ・ホノルル発ソウル行きの便が、島根県上空40,000フィート付近で乱気流に巻き込まれ乗客2人が骨折などのけがをした。事故後の調査で、事故当時同機操縦室の気象レーダーの電源が切られていたことが判明している。

4、2011年、韓国の仁川空港から上海に向かっていたアシアナ航空の貨物機が、朝鮮半島の南にあるチェジュ島(済州島)の沖合の海上に墜落している。

<広島空港の危険性>
広島空港はもともと広島市西区の大田川河口に所在していたが、バブル期に延長の埋め立てをせず、新空港を三原市に完成させ1993年から供用している。3000メートルの滑走路を持つ国管理の空港。(なお、元広島空港(滑走路1800m)は、現在ヘリポートとして利用されている。地元の反対か工事費が大きくなる航空当局の利権の関係だろう)

広島空港概要
設置場所
広島県三原市本郷町善入寺字平岩64-31
開港
1993年(平成5年)10月29日
空港種別
商業空港
運営者
国土交通大臣
運営時間
7:30 - 21:30
標高
331 m・1,086 ft
位置
北緯34度26分10秒
東経132度55分10秒座標:
滑走路
方向
東西
全長×全幅 (m)
3,000×60
表面
舗装
設備
2009年6月カテゴリーIIIb運用開始
 
<ほかの地のILS(広島空港の分は高さ約6m)>広島空港では滑走路の手前325mに設置
0415_01.jpg

 
<手前の赤い進入誘導構築物>夜は灯る。
0415_02.jpg

 
 
<翼が変形した不時着のアシアナ機>
0415_03.jpg

 
 
[ 2015年4月15日 ]
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