アイコン あまりにも歪められた沖縄辺野古基地問題の報道!(3)

珠玉のブログ紹介の分割掲載第3弾、ぜひご一読を。

西陣に住んでます
http://ameblo.jp/kazue-fujiwara/entry-12007297176.html

2、日本政府は沖縄のはっきりとした民意を無視している

日本は民主主義に基づく法治国家です。そんな中、法令に則って手続きを経た事案を、議会による法令の改正もなく差し止めた場合、それは法治国家とは言えず、人治国家であると言えます。その意味で、翁長雄志県知事の行った強引な権力行使は極めて危険な行為であると言えます。

集団に属する構成員の合意形成のための手段である民主主義の本質は「多数決の原則」と「少数意見の尊重」にあります。一部マスメディアはこの「多数決の原則」と「少数意見の尊重」という背反する概念を巧みに使い分けて、偏向報道を行います。たとえば、2014年12月に行われた衆議院選挙においては、2位の民主党にダブルスコア以上の票を獲得して自民党は大勝しました。

衆院選結果

オートジャイロ
 

しかしながら、一部マスメディアは、有権者得票率(投票率×得票率)を基に「投票率が50%の中で小選挙区の得票率が50%であったので25%の国民にしか支持されていない」「有権者は自民党に信任を与えたわけではない」「少数意見を尊重すべきである」とするような言説を盛んに流しました(TBS「サンデーモーニング」、テレビ朝日「報道ステーション」など)。

2014/12/21 TBSテレビ「サンデーモーニング」
田中秀征氏「だから何ていうかね。有権者の半分が投票してその半分を自民党がとったんですよね。得票率48%というね。そうすると、有権者の1/4が支持をしたと。4脚ある机が1脚で支えられるということになるんですよね。これは政治的に成り立たないですよね。絶対君主の政治でも皇帝の政治でも1/4の支持ではね、僕は成り立たないと思うんですよ。」

2014/12/28 TBSテレビ「サンデーモーニング」
寺島実郎氏「永田町の論理と国民の論理とに大きなギャップがあるということだけははっきりしたと。というのは投票率52.7%と半分の人が投票に行かなかったと。僕が大事だと思うのは、自民党がとった比例区の得票率だと思うんですよ。33.1%なんですね。単純な算数で52.7×33.1でなんと17.4%です。つまり有権者に対する自民党の支持率って言うのは、投票率って言うのはですね、つまり17.4%で6割以上の議員が獲得できるっていうメカニズムに対して国民の引いた気持ちっていうかですね。」


2014/12/15 テレビ朝日「報道ステーション」
恵村順一郎氏「得票率は48%に過ぎないわけで、投票率が戦後最低の52%でしたから、有権者全体の得票率でみると25%で、1/4の得票率で75%の議席をとってしまっているということなんですよね。」

一方、沖縄における名護市長選挙、沖縄県知事選挙、衆議院沖縄選挙区選挙においては、いずれも基地反対を唱える候補が勝利しました。一部マスメディアはこれには「多数決の原則」を適用して「完全な勝利」と称賛し、「沖縄のはっきりとした民意」と評価しました。

2014/11/17 TBSテレビ「NEWS23」
膳場貴子氏「沖縄県民、はっきりと意思を示しましたけれども、国はこれを正面から受け止めていないようですね。」
岸井成格氏「やっぱりこれだけ民意がはっきりした以上、私はいったん白紙に戻すというのが筋だと思うんです。」

2014/11/17 テレビ朝日「報道ステーション」
恵村順一郎氏「これだけはっきりとした沖縄の方々の民意が出たわけですから
ここは思考停止に陥らずにですね、具体的に前に進めていく(アメリカへ県外移設案を出す)ことが必要だと思います。」

しかしながら、選挙で最も重視される得票率を見れば、「国民に支持されていない」とされる自民党と比較して、「はっきりとした民意を受けた」とされる辺野古基地建設反対候補は、明らかに対立候補と競り合っていると言えます。

沖縄選挙結果

オートジャイロ

有権者投票率も自民党とほぼ同様の値です。この事実から客観的に考えれば、少数意見を尊重すべきなのは自民党よりもむしろ沖縄の基地建設反対候補であると言えます。客観的に見れば、沖縄では県民のすべてが基地反対派に投票しているわけではなく、基地建設容認派に投票した人も多く存在しているのです。

さて、基地という安全保障問題については、地方政府よりも中央政府の意見がプライオリティを持つことは、論理的な原則であるばかりでなく、世界の常識でもあると言えますが、「少数意見の尊重」という点で「地元の民意」をできる限り斟酌することも重要であると言えます。

ここで、本土に住む日本国民が絶対に知っておかなければならない事実があります。それは、辺野古は名護市に属していますが、沖縄本島の西岸にある名護市街とは直線距離で10kmも離れた東岸の久志地区にあるということです。

オートジャイロ

名護市

辺野古と名護市街は、沖縄本島の中央山脈とキャンプシュワブによって隔てられているのでそのつながりは非常に低いと言えます。ちなみに、10kmという距離は航空機の音を聞くこともできないような距離です。実は私も横須賀基地のほんの近くに本籍があるのでわかりますが、基地の存在によって影響を受ける範囲というのは、それほど広範な地域ではありません。たとえば、横須賀基地において、米兵と普通に接する可能性がある範囲と言えば、汐入町・本町・大滝町といったせいぜい東西1km、南北500m位の範囲内です。名護市街と辺野古の距離感は、葉山と横須賀の距離感とほぼ同じであると言えます。つまり、名護市街は、実質的には辺野古基地で被害を受けるステイクホルダーとしての地元と言えないのは明白です。このような事実の中で注目すべきことは、名護市の人口は名護市街に偏っていて、辺野古が属する久志地区の人口は名護市の人口の1割にも満たないことです。

名護市の人口

オートジャイロ

特に辺野古基地建設予定地に近い、久志・豊原・辺野古の人口の合計は2904人(2014年4月17日現在)であり、名護市の人口約61465人に対して5%にも満たない人数です。このことから名護市長の選挙結果をもって「辺野古の民意」とするのは明らかに現実性に欠けます。

それでは、肝心の辺野古の民意は?ということですが、次のような興味深い報道があります。

辺野古「テント村撤去を」住民763人の署名提出
[読売新聞 2012年3月3日]
日米両政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設を目指す沖縄県名護市辺野古区の大城康昌区長は2日、移設に反対する市民団体が座り込みを続けている「テント村」の撤去を求め、区民763人分の署名を稲嶺進市長に提出した。

移設容認派現職くじ引きで敗れる…辺野古区長選
[読売新聞 2013年03月18日]
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先となっている沖縄県名護市の辺野古へのこ区(区は自治会に相当)で17日、区長選挙が行われ、移設反対派からも支援を受けた新人と移設を容認してきた現職の一騎打ちの結果、得票同数となり、くじ引きで新人の当選が決まった。

名護漁協 埋め立てに同意
[琉球朝日放送 2013年3月11日]
日米両政府が普天間基地の移設先とする名護市辺野古沖の漁業権を持つ名護漁協は11日、臨時総会を開き、辺野古沿岸部の埋め立てに同意する議案を賛成多数で可決しました。臨時総会には名護漁協の正組合員78人が出席したほか、13人が委任状を提出しました。この中では辺野古沿岸部の埋め立てに同意する議案の賛否についてマルバツ方式で投票が行われ、その結果、88対2で可決されました。

名護漁協、岩礁破砕に同意 辺野古移設
[琉球新報 2014年5月31日]
名護漁業協同組合は30日の臨時総会で、政府が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事に先立ち、海底の岩を掘削する岩礁破砕工事を行うことに同意する議案を賛成多数で可決した。7月から始まる予定の海底ボーリング調査に向け、キャンプ・シュワブ提供水域を一部見直し、辺野古沿岸での漁船操業の常時禁止区域も工事区域全体に広げるとした政府方針も賛成多数で了承した。総会には議決権を持つ正組合員87人中、84人(委任15人)が出席し、82人が賛成した。沖縄防衛局は近く県に岩礁破砕の許可を申請する。名護漁協は海底ボーリング調査についても、同意する方針を30日までに防衛局側に伝えている。

これらの数少ない資料から読み解く限り、辺野古の民意は基地容認の方向であることがわかります。また、マスメディアがあたかも地元の意見を代表しているかのように報道する辺野古テント村については、テント村撤去に763人分の辺野古住民の署名が集まった(辺野古の人口は1862人)という事実に注意すべきであると考えます。マスメディアはテント村の主張をあたかも地元の民意であるかのようにとりあげていますが、辺野古住民はテント村を問題視していることがわかります。もし、マスメディアが地元の意見を重視するべきと主張するのであれば、どこからともなく集まって来て公の場を不法占拠しているテント村の活動家の意見を尊重するのではなく、まさに正真正銘の地元住民の意見を尊重すべきであると言えます。

沖縄の軍用基地は、1945年の占領時に接収されると同時に1950年代初頭の朝鮮戦争時にも半ば強制的に接収されたという暗い歴史があります。このとき、辺野古住民は、苦渋の選択で他の地域とは一線を画して米軍基地との共存を選択し、その後に友好的な関係を築いたとされます。たとえば、辺野古住民は十の班に属していて毎年区民運動会や手漕ぎ船のレースなどで競い合っているとのことですが、このときに第十一班としてキャンプシュワブの米兵のチームを毎年招待し、親睦を深めていることが知られています(NHK取材班「基地はなぜ沖縄に集中しているのか」および[辺野古区ホームページ] )。

以上の分析をまとめると次のようなことが言えます。

(1)沖縄の民意は、けっしてはっきりしたものではない。
(2)名護市の民意=辺野古の民意とはいえない。
(3)基地反対活動家は、地元の辺野古から問題視されている。
(4)活動家やマスメディアは地元である辺野古の民意を無視している。

[ 2015年4月16日 ]
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