アイコン 中国に対する英国と米国の温度差

英国は中国に対し友好のシグナルを次々と発している。まず、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟を欧州各国で一番先に表明し、次に中国の電気通信設備メーカーである華為技術有限公司(ファーウェイ)は英国の安全保障上の脅威とならないとする報告書を発表した。

一方、米国はアジア投資銀行に疑念を示し、かつ現在もなお、華為に対する禁止令を解除していない。
中国に関し、仲良しこよしの思われた英米に大きな亀裂が入ってきている。

英国政府のサイトはこのほど、華為が英国で提供する技術、通信機器は英国の安全保障上の脅威とならないとする調査報告書を発表した。報告書は、「華為製品は英国の安全保障に及ぼし得るいかなるリスクも十分に軽減された。」と指摘している。

米国下院の情報特別委員会は先ごろ、調査報告書を発表し、華為は米国の安全保障上の脅威であると主張し、この企業の米国における投資活動や貿易活動を阻止するよう勧告した。

英国メディアは、米国と英国の相違点の背後にある原因として、
米国は中国が設立する金融機関によって米国の世界経済への影響力が弱まる可能性を懸念しているが、英国は本国経済の発展を重視していると指摘している。
英国『フィナンシャル・タイムズ』は「中国の経済における奮い立ちは有益であり、回避できないことでもある。我々は聡明に折り合っていく必要がある。」と論じた。

ある専門家は英米に生じた食い違いは両国の長期にわたる緊密な関係に少しも影響することはなく、さらに米国政府は現在、AIIBに対する姿勢を転換している。米国のジェイコブ・ルー財務長官は3月31日、米国は中国が提唱するAIIBを歓迎する準備が整ったと表明した。

英国財務省のアンドレアル・リードソン経済担当大臣は、メディアの取材を受けた際に「我々はアジア、中国との協力を深めることを望んでいるが、我々の米国との関係に影響はない。」と述べた。
以上、

華為(代表が元中国軍関係者)については、カナダと米国が指摘している、華為製品の通信基地局機器や製品に仕組まれているとされるバックドア問題がある。

AIIBについては、中国からの直接投資に期待しているだけであり、加盟することでの利益は、投資先が東南アジアやシルクロード再構築にあり、限られている。英国では一昨年から昨年にかけロンドンの高級住宅地でバブルが生じ、規制が入るほどとなった。それは中国人たちの買い付けから始まったものであり、下記表の中国からの投資残高は2013年・2014年はさらに拡大している。
英国企業の買収や工場進出などがあれば、経済は浮揚する。
政権担当者は単なる経済の人気取りでしかなく、経済が悪化した場合のみ、国民から選挙のときに鉄槌を食らう。そのため、中国だろうがどこだろうが、投資してくれる国はありがたいもの。その銭金を一番持っている国が中国であり、より英国に投資してくれることを願ってのAIIB加盟である。
1、中国南車が海底ロボット・海底工事機械の世界的メーカー「SMD社」を約1億3000万英ポンドで買収
2、中国自動車大手吉利汽車が、英国名物の黒塗りタクシー「ブラックキャブ」を製造し、昨年秋に 経営破綻した英マンガニーズ・ブロンズ社を買収
3、中国の三胞集団傘下の南京新街口百貨商店が、英国の老舗百貨店ハウス・オブ・フレーザーの株式の約89%を買収。
4、中国の長江実業集団の中核企業であるハチソンワンポア(和記黄埔)が、英携帯電話業界第2位のO2UKを102億5000万ポンドで買収。
などなど
(中国政府が政策的に英国企業をターゲットに買収させているようだ。当然、英米の分離工作)

米政権も、AIIBに参加したかったと何人もの政府高官が発言している。ただ、共和党が両院を牛耳る議会で反対に遭うことが必至であり、参加できないとしているまで。
日本もそうした情報もあり、また、GDP比率による出資であり、負担も大きく、アメリカ同様、当初ADBとの関係や融資規律があいまいなことから反対であったが、今では参加が大勢を占めているようだ。

米国の失点は、さらに盟友であるイスラエルもユダヤ商法からAIIBに参加を表明していること。
 AIIBはGDP第1位のアメリカと第3位の日本が参加をしていないことから、第2位の中国の出資比率は約5割とされ、名実ともに中国主導のAIIBとなる。
 また、アメリカは国家利益を第一に考えてAIIBでもTPP推進でも判断しているが、日本はいつものとおりアメリカ様の意向に沿う形となっている。
 中国と尖閣や南シナ海問題を抱える日本と、そうした問題は他山石の欧州勢の立場はおのずと異なってこよう。自ら判断することだ。

中国と英国 /百万ポンド
中国
英国への投資残高
英国からの投資残高
2012年
1,170
7,099
2011年
765
8,708
2010年
401
6,004

 

[ 2015年4月20日 ]
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