アイコン 追報:民事再生の(株)エル・エム・エスの粉飾決算度合い

Posted:[ 2019年12月12日 ]



11月19日、負債額約66億円を抱え東京地方裁判所へ民事再生法の適用申請を行った理化学機器商社の(株)エル・エム・エス(東京都文京区本郷3-6-7、代表:朝比奈幸一郎)は11月25日、同地方裁判所において、再生手続きの開始決定を受けた。

 
企業調査会社は企業が提出する決算書に基づき企業診断を行っている。調査対象会社が税金まで納めて粉飾決算を行った場合、どうしようもない。いくらAIを導入したところで適格な診断は不可能。補完する意味で同業者、取引先、金融機関からの情報入手しか手立てないが、噂だけでも調査報告書には書けず、適格な診断ができない。特に金融機関からの情報は守秘義務からなかなか手に入らなくなっている。
 
次のとおり、同社の粉飾度合いが明らかになった。今後の判断は債権者しだいだが、仕事が減る恐怖に怯え判断するしかない。


(株)エル・エム・エスの貸借対照表 直近決算と民事再生申請書との差異
科目
簿価
実際
粉飾額
科目
簿価
実際
現預金
149
149
0
買掛金
1,541
1,541
売掛金
3,100
1,904
1,196
短期借入金
2,364
2,364
短期貸付金
1,626
18
1,608
他流動負債
2,026
2,026
未収入金
92
92
0
流動負債計
5,933
5,933
仮払消費税
862
862
0
長期借入金
433
433
他流動資産
1,449
1,084
365
他固定負債
3
63
流動資産計
7,280
4.111
3,169
固定負債計
436
496
固定資産
295
295
0
資本金
298
298
繰延資産
49
0
49
他剰余金
959
-2,320
 
 
 
 
純資産計
1,257
-2,022
資産計
7,625
4,406
3,219
負債+純資産
7,625
4,406
・東京商工リサーチの資料から作成、単位は百万円

 

経営破綻企業 要約
1
破綻企業名
(株)エル・エム・エス
2
本店所在地
東京都文京区本郷3-6-7
3
代表者名
朝比奈幸一郎
4
設立・創業
1985年(昭和60年)12月設立
5
資本金
2億9800万円
6
業種
理化学機器・医療機器の輸入商社・販売業
毒物・劇物の販売
7
支店・工場等
全国11ヶ所に営業拠点、2ヶ所に物流拠点
8
売上高
2017年9月期:約120億円
2018年9月期:約118億円
9
従業員数
185名(2017年9月20日現在)
10
資本提携先
アズワン(株)、(株)エム・ケー
11
破綻内容
民事再生法の適用申請
12
申請日と裁判所
11月19日 東京地方裁判所
13
決定事項
財産保全管理命令
14
申請代理人
松田耕治弁護士(シティユーワ法律事務所)
電話03-6212-5715
15
保全管理人
長島良成弁護士(長島良成法律事務所)
電話03-5276-1321
16
負債額
約60億円
17
事業の状況
民事再生申請であり継続されている
18
債権者説明会
11月25日午後1時30分より日本教育会館(一ツ橋ホール)
千代田区/電話03-3230-2831
19
破綻経過等
国の研究予算削減政策により、大学や研究機関および医療機関の設備投資が落ち込み続け、同社の販売は伸びず、一方、北海道から沖縄まで設置した営業拠点の経費負担増や在庫に関わる借入金も大きく、経営不振に陥り、今年9月には中小企業再生支援協議会に再建を依頼したものの、決算の粉飾もあり、金融機関との交渉にラチがあかず、財務体質の抜本的な改善と再建を図ることを目的に今回の申請となった。

 


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