アイコン クルーズ船隔離の失敗と原因 12日から下船者の検体採取

Posted:[ 2020年2月24日 ]



1、最初に上げられるのは、クルーズ船の乗船者3711人に対して、検査能力がまったくなかったことに尽きる。

厚労省所管の国立感染症研究所の検査能力は当初、1日あたり60検体の検査であった。このことは10日発表された4~9日まで6日間の検体結果が出た件数は323人分だったことから窺い知れる。

そうした中、厚労省は現実を何も知らない感染症の学者たちに意見を聞いたのか、3日夜帰港したクルーズ船を接岸させず、クルーズ船全体の隔離を行った。

日本政府は、日本には3711人に対して検査能力も隔離する宿舎もないと最初からギブアップ宣言し、各国に引き取ってもらえば、せめて各国の感染者は大幅に減らせた可能性が高い。日本人乗船客も1281人いたが、日本の政治家からこうした日本人が大量に見殺し状態でされていたともいえる。現に2人の高齢者が亡くなっている。



日本政府の怖いところは、国立感染症研究所に22日記者会見させ、感染者の多くがクルーズ船で防疫体制を取らせた5日以前の感染者だと発言させたことに尽きる。
当然、記者会見の内容は厚労大臣が行わせたものと見られる。厚労大臣はかってに同研究所が行ったことだと責任回避するのは目に見えているのだが・・・。

こうしたことから、検査は遅々として進まず、重度発症者を先に感染検査したにもかかわらず、感染者数も限られた人数しか発表できなかった。

COVID-19は非常に感染力が強いことで知られる。
さらに感染して発症しないうちから感染力を有している。
また、感染しても発症しない人たちも多くいることがあげられている。

国立感染症研究所は、検査体制がないことから、発熱した人から検査を行い、同室の人が感染した場合、同室の人は発熱しない限り検査さえ行わず、感染者が出た部屋に放置除外された。
19日~21日に陰性者?を下船させたが、取り残され、22日に最後の乗船客となるそうした人たち約100人を下船させ、隔離施設に収容した(検査したのかも定かではない)。
(16日現在、夫が感染し入院、同じ船室に残った妻は16日現在、検査を要請し続けても熱が出た人が優先だとし、検査を拒絶され続けていた。)

1月初めに中国の大学教授からCOVID95の遺伝子情報の詳細が公表された。
1月15日に日本で第一番目の感染者が判明していた。
このことからもNIHの体制が十分ならば、ウイルス培養技術などにより、PCR検査による大量検査体制が早期に確立できはすだ。

<検体採取の失敗>
それに厚労省は、14日間の隔離で下船させるとの大風呂敷を広げていたことから、19日に下船させるために、12日ころから熱の出ていない人からも検体採取を行った=一部を残し乗船客全員検査実施。(検体採取に集まった人たちの間で感染した可能性も否定できない)。

結果、下船した人たちから感染者が続出している。

海外各国は日本のクルーズ船の隔離実態を嫌疑し、19日から下船した人たちをチャーター機で運び、さらに14日間の隔離対策を取っている。そうした中、19日に下船してチャーター機で帰国隔離したオーストラリア人6人から感染が確認されている。イスラエルや香港でも同様の感染者が判明している。

海外乗船客は各国で隔離されているが、日本人の場合は自由の身になっており、日本人乗船客1281人-18日までに感染し隔離されている人=約900~1000人が全国の自宅に帰宅している。

12日から始まった検体採取以降に感染した人もいよう。
検体採取時、感染したばかりでウイルス数が少なく陰性に判断された人もいよう。

厚労省と国立感染症研究所は自らの能力とウイルス生態および人との関係を理解していなかった。
まずは行うべきは、発症者とお客に対応する乗組員の検査であった。
乗組員は後回し、発熱発症者は乗船客同様船外に隔離されたが、乗船客同様、感染者と同一室の乗組員は同じ部屋に隔離された。(当時感染していなかった人が感染した可能性も高い)

このように、乗組員が感染者かどうかの棲み分けが、発熱と同室隔離者以外まったくなされていなかったこと。

先に触れたように、感染しても発熱など発症しない人がおり、そうした人も感染能力を有することが問題なのにもかかわらずだ。

当然、そうした中で発熱発症した人は隔離されたが、そのほかの乗組員は発熱しない限り、検査も受けられず、非感染者としてお客のお世話を行っている。
防疫体制当初、乗組員は客室へ出入りしなかったが、乗船客の不満が爆発、シーツ交換や簡単な清掃なども行っている。
乗船客の話では、一部であろうが乗組員がシーツ交換時、マスクや手袋もしていなかったと乗船客の証言もある。神戸大の岩田教授によると、共用の廊下でさえ、マスクも手袋もしていない乗組員がウロチョロしていたという。

また、国立感染症研究所は、防疫体制の基準を5日に設定したが、当クルーズ船の発着は日本となっており、旅行代理店は日本企業であり、日本人乗船客が1281人も乗船している。

わざわざ香港当局が、2月1日深夜に、乗船客の感染を発表した(1月20日に横浜で当クルーズ船に乗船、25日に香港に寄港時下船した80代の香港人の人が感染していたと発表した)が、厚労省は何の役にも立てず、感染拡大のゴールダンタイムを失し、2日から、5日に防疫体制をとらせるまで、クルーズ船は予定どおりのイベントが開催され、ブュッフェスタイルの食事が提供されていた。

遅くとも厚労省や外務省は2月2日から、クルーズ船に対して防疫体制を取らせるなどの対応に当たるべきではなかったのか。

2月1日には沖縄に帰港していた。沖縄ではその後、タクシー運転手2名の感染が確認されている。

第一の問題点は、クルーズ船にいる医師にある。
感染症などまったく知識もなかったようで、医師たる資格もない人物を搭乗させていたようだ。
その次には船長である。武漢コロナ情報はもたらされていたはず、2日以降はパニックを恐れてか、5日になり日本当局が防疫体制を強化させるまで乗船客に対して予定通りの船内運営を行っていた。
その次に、運航会社の米プリンセス・クルーズ社、同社は情報収集し、適切な対応をダイヤモンドプリンセス号の船長に対して指示すべきであった。少なくとも2日にはそうすべきであった。

また、日本政府は7日、国内感染者とクルーズ船感染者とは別にカウントする方針を、閣議決定後厚労相が発表したことにより、上陸させない方針が完全に固定化された。

<彷徨った「ウエステルダム」号、感染者なし>
日本初め各国が寄港を拒絶したクルーズ船「ウエステルダム」号は、唯一カンボジアが寄港を認可し、発熱者など乗客全員1507人を検査のうえ、陰性者を順次国際線で帰国させていたが、乗船客全員が感染者なしだった。

カンボジア政府は、同船が13日夜にシアヌークビル港に寄港、同港沖に停泊させ、14日から行った乗船者全員の2257人の検査結果を19日までの6日間で出し、感染者なしと20日発表した。うち乗船客1507人については18日までに検査結果を出し、19日に発表していた。
簡易検査方式かもしれないが、よほどカンボジアが、日本より感染検査能力と実施能力がある。(簡易検査キットは中国政府から取り寄せたものと見られる)。
それに政治家に求められる決断力と行動力も河津桜満開の日本の政治家とは比較にならない。

日本が行っているPCR検査方式はいくら完璧だとしても、初期感染者はウイルス数が少なく、陰性に判断され、それだけでも完璧ではない。それも検査結果が分かるのに1日以上もかかる。その検査体制も、北里大学病院の感染症を調べる3人の検査員で1日最大60人が限界だとしていたが、その通り、国立感染症研究所の検査員と検査能力も同じようなものだったと見られる。

ほかに検査できるところは感染症を扱う病院や一部の感染症を扱う保健所などに限られる。当然日常業務で感染症検査を行っており、受け入れ態勢はない。
政府はそこを無理押しして15日以降は数百人分の検査体制が出来上がらせたようだが・・・、

厚労相が発表した、検査体制が1000人、1800人、3000人と増加していった経緯は、クルーズ船に対する検査体制になったという話ではなく、全国で検査できる体制があるというバカげた発言を行っていたと見られる。
当然、全国には感染症を扱う病院や医療研究機関が多く所在している。総動員すれば、最大限3000人でも4000人でも検査は可能だろう。
ここで問題になったのはクルーズ船に対する検査能力である。国会でも報道でも問題にされたのはクルーズ船に対するより現実的な検査能力である。

一方、中国は簡易検査キットを開発し、感染者が多いことから大量生産、その簡易キット向けに滋賀県のタカラバイオが試薬をフル生産し、中国・大連の簡易キットメーカーへ送り続けている。
中国大使が日本を心配して厚労相に対して、簡易検査キット1万個をプレゼントしたニュースが報じられている。

韓国政府も独自に短時間PCR方式を開発し、6時間で検査結果を出している。韓国政府はその特許技術を厚労省に伝えている(18日までに)。

いつまでも続ける聖域なき削減の小泉時代を経過し、時代遅れになった日本の科学技術が赤裸々になっている。
その象徴として、iPs細胞研究所に政府が以前から計画公表していた支援金の打ち切り打診しにアベックで訪れ、その道中で、あちこちで手をつなぎ京都観光して帰り、文春で話題なった人物が内閣におり、もう片われの女性も厚労省でクルーズ船の状況報告まで記者会見して行わせるというすばらしい日本国の政府である。京都出張中に手を握り合い、肩を寄せ合い闊歩しても処分など毛頭考えず、直近のクルーズ船に関して記者会見まで行わせる異常度。
河津桜が満開であり、ほかは見えないようだ。
 

 

クルーズ船 ダイヤモンド・プリンセス号パンデミック
武漢コロナウイルス COVID19感染
乗船者数
3,711人 
乗船客2,666人、乗組員1,045人
 
感染者数
備考
1月20日
 
クルーズ船横浜出航
1月25日
 
香港人乗客、体調悪で香港で下船
2月1日
 
那覇港寄港、
 
深夜、香港当局、乗船下船客、感染発表
2月3日
 
夜、横浜帰港、大黒ふ頭沖に停泊
2月4日
 
体調不良者など優先検査開始・検体採取
2月5日
10
検査で感染確認
2月6日
10
 
2月7日
41
 
2月8日
3
 
2月9日
6
9日までの検査結果累積数323人
2月10日
65
 
2月11日
 
2月12日
39
下船客予定者含め客全員検体採取開始
2月13日
44
 
2月14日
0
高齢者を下船
2月15日
67
 
2月16日
70
 
2月17日
99
米国、米国人325人引取り、初の引き取り
うち当日感染判明者14人も搭乗
2月18日
88
 
2月19日
79
乗客の下船開始
2月20日
13
 
2月21日
0
19~21日までの陰性?下船客970人。
2月22日
0
 
2月23日
57
 
合計
691
クルーズ船感染者数(日本検査分)
・下船したオーストラリア人6人感染、イスラエル人1人感染判明を当該国発表。
・チャーター機で帰国した外国人計14人感染/香港人1人含む
・下船乗船客に対して各国は帰国後14日間隔離している
・日本は19日から陰性者の下船開始、自由の身に、但し電話でヒアリング。
・乗組員の検査はこれから、下船は運航会社と話し合いの上決定、それまで船内に。
・相室の人が感染した部屋の全員は感染判明後14日間船内に留め置き、政府は批判にさらされ、現在当該者約100人を22日に下船させ隔離施設に移動させた。
・22日にすべての乗船客は同船からいなくなった。
乗組員の国籍や人数は発表されていない。ただ、日本人客が多く、それに対応した日本人乗組員も多く乗船しているものと見られる。隠蔽国家。

 

ダイヤモンド・プリンセス号 乗船客国籍
国籍
乗客数
備考
合計
2,666
別途、乗組員1045人(国籍不明)
日本
1,281
乗組員
米国
425
17日チャーター機帰国者325人 
英国+カナダ
255
 
香港
106
チャーター機帰国者、別途、日本で隔離中の人あり
オーストラリア
170
うち感染者36人日本で隔離中
ロシア
24
 
台湾
20
 
イスラエル
25
 
ニュージーランド
4
19日帰国者、日本で隔離中者数不明
韓国
14
 
その他
 
 
合計
3,711
 
感染者
691
2月23日現在/海外含む

 

ダイヤモンド・プリンセス号 乗船客国籍
国籍
乗客数
備考
日本
1,281
厚労省数値
米国
425
 
香港
470
 
英国+カナダ
255
 
ロシア
24
 
台湾
20
 
イスラエル+ニュージーランド
29
 
韓国
14
 
その他
148
 
乗客
2,666
 
乗組員(国籍不明)
1,045
 
合計
3,711
 
感染者
691
2月23日現在
現在の乗船者数
3,536
 
・台湾・韓国・ロシア報道等参考
 

 

 


HTML Comment Box is loading comments...



※記事の削除等は問合せにて。