アイコン 関越自動車事故とアップルの相関性

日本の安全神話は、小泉が強いた自由化・グローバル化により、既に崩れてしまっている。関越自動車事故を見ても、自由化により乱立した財務体質が脆弱なバ ス運行会社による度を過ぎた価格競争により、事故が相次ぐなど、安全問題がクローズアップされたのは今に始まったことではない。その結末が今回の事故とい える。
しかも、安全が危惧されながら今回のような最悪の事態に陥るまで、是正されることなく放置されてきたのが、今までの歴史でもある。
小泉時代、規制緩和・グローバル化・自由化の名の下に、竹の子のようにバス会社が設立されたが、田舎で設立されたバス会社は、何千万円もするバスを購入しており、安くても動かさなければ経営が成り立たない自転車操業のバス会社が殆どであるといえる。

長引く不況や落ち込み続ける国民の可処分所得のなか、東日本大震災や東電福島原発水素爆発も発生、旅行客の窓口となっている旅行会社も、国内客・海外客も途絶え、競争も一段と激しく、低価格競争に陥り、バス会社に対しても、超低価格で下請けに発注している。

その受け皿のバス会社は仕事も少なくなり、燃料費が高くなろうとバスを動かさないことには潰れてしまう弱小のバス会社が受注することになる。そうした潰れてしまうような弱小のバス会社がある限り、低価格化は是正されないのではなかろうか。

今回は客を募った旅行会社から、重大事故を起こしたバス会社の陸援隊へは、仲介業者(サヤ取り)が2社も入っていたという。

運送業のトラック業界は、行政当局により各県にトラック協会が組織されている。アウトサイダーでもない限り、法令順守はかなりうるさくなっている。
ところが、人の命を運ぶ肝心のバス会社は、これまでいろいろな事故を経験しながらも、1人での運転が1日670キロまでOKという官庁が設定したキロ数の指針が尋常じゃないことに加え、行政指導や取締りも緩やかだったのが実態である。

アメリカでは2010年8月9日、ツァー客を乗せたマイクロバスが、ブライスキャニオン国立公園に向かう途中、道路外へ出て横転、3人が即死するという交通事故が発生した。運転手は日本人の学生アルバイト(禁止されている)で、事故原因は今回と同じ居眠り運転であった。
運転手とガイドの添乗員でツァー客14人分の荷物を運び案内する重労働で疲れ果てていたという。

自由化による無限定競争とは、上がる一方の燃料費に逆行して、根拠のない安値競争を強いらせ、結果、労働賃金を削るか、劣悪な過重労働を強いることになり、こうした事故を発生させる原因ともなっている。

<iPhone・iPod>
iPhone・iPodは、中国の深圳市のフォックスコン(本部:台湾)の大規模工場で製造されている。フォックスコンは、電子機器受託生産(EMS)会社、従業員80万人、内中国で54万人を採用している。
深圳市の月当たりの平均給与は4,024元(約5万円)。しかし、この間ストなどで賃金が急激に上がり最低賃金(2012年)は月1,500元(約1万9,000円)となっている。

フォックスコンの賃金は、殆ど最低賃金となっており、そこに働く労働者は20万人以上とされている。12時間労働など過酷な労働環境下にあるとされ、当工場の労働者の自殺者は後を絶たないとニューヨークタイムスが報じている。

2008年5月英国のサンデー・テレグラフ紙も「iPodの城」と題する記事を掲載している。「iPod nano」の中国での生産拠点である富士康(=フォックスコン)深圳龍華工場の「劣悪な」労働状況として、同工場の20万人の従業員の多くは女性で、敷地内の宿舎で生活する彼女たちの労働時間は1日15時間にも及び、その月収はわずか約387元(約5,031円/13円)と報じていた(その後賃金は上がってきているが最低賃金は上記の通りである)。 
当時、アップルはサンデー・テレグラフに反論して、(当時)最低賃金の500元(約6,500円)は守っているとしたが、直接雇用しているわけでもなく、富士康からの報告を受けてのもの。残業が80時間にも及んでおり、その賃金が、残業代を入れて約387元だったらば、当時の中国でもとんでもない低賃金の工場であるといえる(法外な宿舎代など取っている可能性もある)。

2011年12月、米経済誌フォーブス誌は、カルフォルニア大・シラキュース大と2010年のiPhone販売価格の内訳を共同分析した結果を発表している。それによると、
製品のデザインやソフトウエア開発費用が58.5%、部品費用が 21.9%(多くが日本製)を占め、このほか、韓国企業の利益 (4.7%)、中国を除く労働者の人件費(3.5%)、アップル以外の米国企業の利益(2.4%)、中国での労働者の人件費(1.8%)(以上合計 92.8%、残りがアップルの利益)などであったと分析。ソフトウェア開発費用は売れれば売れるほどその原価率は下がり、アップルの利益となる仕組みとなっている。

一番時間がかかる組み立てラインを人海戦術行うフォックスコン深圳龍華工場、その工賃の販売価格に占める割合は1.8%とはやはり大きな問題であろう。

こうしたアメリカなどの報道機関は一貫して、アップルの製品価格や利益が、中国の労働者の犠牲に上に成り立っており、iPhone、iPod、iPadを低価格で、全世界で販売していると問題提起している。

日本のマスコミ・メディアは、広告主にへつらい、遠の昔にジャーナリズムをなくしており、その報道の違いが浮き彫りにもなる。


 

[ 2012年5月 7日 ]
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