アイコン 新日鉄住金名古屋製鉄所の爆発事故の遠因はトヨタ等向け鋼板にあった 利益優先

1.2<1月2度の黒煙噴出し事故>
今年1月、17日と20日に同じ電源不良で黒煙を噴出させた新日鉄住金名古屋製鉄所、その損害額は約80億円と報告されていた。
 なお、黒煙は、電源不良で停電が発生したため、その安全対策上、コークス炉ガスをコークス炉上で燃焼させるため発生する。

<再発防止報告書を東海市に提出>
4月14日東海市に対して、再発防止策の報告書を提出した。

3、<6月22日12時間超の黒煙噴出し事故>
ところが、6月22日午後2時50分頃、再び同じ自家発電装置の電源不良問題で、黒煙を12時間以上にわたり吹き上げさせ、近隣の自動車積み出しようの車両基地に停めてあった輸出用のトヨタ車2万3千台がスス付着の被害にあった。トヨタは、延約5千人を動員して清掃。納車が遅れたことなどから、トヨタは新日鉄住金に損害賠償を請求する。
同製鉄所は、この大量の黒煙の吹き上げにもかかわらず、6月27日には正常生産活動に入っていた。

4、<7月27日また3時間に及ぶ黒煙噴出し事故>
ところが、7月27日午前7時15分頃、またもや電源不良で停電が発生して黒煙が3時間あまりにわたって噴き上げ周辺へ撒き散らした。
ところが、同製鉄所は馴れっこになったのか、黒煙を噴き上げるさ中、午前8時10分頃から復電を開始し、安全確認できたところから操業を開始していた。

<再発防止の委員会設置>
同社は、再発防止に向け8月8日、検討体制として「事故対策委員会」と「受配電設備等調査委員会」を設置して、調査に入った。いったい4月14日提出した再発防止策報告書は何だったのだろうか。

5、<遂に起きてしまった9月3日の人身爆発火災事故>
これまで4回にわたる電源不良が原因の黒煙噴き上げ、その影響が、コークス炉の石炭貯蔵設備に出たのかわからないが、9月3日(水)午後0時35分頃、第一コークス炉の石炭貯蔵設備で爆発火災事故が発生、15人が負傷するというはじめて人身事故に発展した。

 通常だったら、4回も大気汚染の大黒煙問題を発生しており、経産省の調査係官が飛んでこようが、天下の新日鉄住金であり、経産省を押さえ込んだと見え、地元の大村愛知県知事のお叱りに御免なさいで済ませていた。
 抜本的な問題を解決しないまま、操業を続けた結果、人身事故に至り、これでは、県や市、監督官庁、警察の検査が行われ、その調査に操業再開できない事態に陥ることになった。
 老朽化している施設でもあり、当初事故時、抜本的な問題を虱潰しに出し、改修改善を行っていたら、3度目・4度目の黒煙噴出問題も今回の人身爆発火災事故も発生しなかったと思われる。

 1回目2回目の損失額が計80億円とされ、3度目の損失額は12時間以上燃え続け、トヨタ車にも被害が及んでおり、その数倍の損失額が発生したと思われる。
 しかも、9月3日の人身爆発火災事故では、長期にわたり生産活動がストップさせられると思われ、莫大な損害が発生する可能性が高くなっている。
 
<どうして、抜本的な対策を講じなかったのか>
新日鉄住金は3日、名古屋製鉄所の爆発で生産の一部を停止、減産を余儀なくされた。長期間止まる事態になれば、主要な取引先である国内自動車メーカーへの打撃は避けられそうにない。 
 名古屋製鉄所は、新日鉄住金の主力工場の一つで、出荷量の半分は自動車メーカー向け。愛知県内に工場が集中するトヨタのほか、ホンダ、スズキ、三菱自などに鋼板を供給している。
現時点で爆発原因は調査中で、生産の全面的な復旧時期は「未定」。
 今回の事故で、トヨタも自社工場の稼働状況の確認に追われ、「影響はまだ分からない」と説明している。
  新日鉄住金常務執行役員で名古屋製鉄所の酒本義嗣所長は、記者会見で、全社的に協力して対応し、顧客に迷惑を掛けないようにしたいと陳謝、他の工場からの出荷で賄うことも検討していると発言している。

鋼板供給にフル稼働状態の同製鉄所、設備を休業させ本格的に調査することもなく、利益第一主義で工場を稼動させ続けた結果、今回の人身事故に発展、今後見込まれる現場検査・再発防止ための長期にわたる操業停止による膨大な損失のほか、信用もなくしてしまった。

 

[ 2014年9月 5日 ]
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