節目を迎えた日本の「経済と株価」 その要因
日本の株価は今年の 夏場をピークにピークアウトしているようだ。昨年9月末の戦艦黒田丸が放ったバズーカ砲、金融緩和とともに年金機構など三年金基金団体が株購入枠を30兆 円以上拡大させ、株価を牽引してきたが、株価が上がる原動力である企業収益も東南アジア・中国経済の低迷により、ピークアウトする様相が鮮明となってきて いる。
足下の経済は、復興工事含む膨大な公共投資と金融緩和・超円安により企業に利益をもたらしたものの、勤労者の家計はまったく潤わず、すでに限界さえ見え始めている。GDPの60%を占める消費が拡大しないことには、これまで何をやってきたのかも問われるものになる。
<株価下げ要因>
1、<日本の製造業は海外へ移転してしまっていた>
元々超円安効果で狙った輸出数量・輸出額の伸び、現実は大手の工場が海外移転してしまい輸出数量が伸びず、既存の数量の輸出分だけの円安効果しか現出できなかったこと。
輸出企業は、海外へ移転させた工場の収益を還元させ、大幅な売上増と利益計上を果たしたものの、大幅な賃上げなどに結びつけず、その経済効果は限定的であったこと。
2、<東南アジア・中国経済の低迷による打撃>
そうこうしている間に、中国経済の低迷が現実化、香港を含め23.8%を依存する輸出の減退、その影響を受けた東南アジア経済も停滞している。今後の企業の経済指数に反映されてくる。
3、<金融緩和資金が回転せず>
金融緩和の資金が市場で回転しない現実
金融緩和の日銀政策に反応しない企業、市場に供給された膨大な資金のほとんどは金融機関に眠ったまま。
大手企業はリーマンショック前のハゲタカ対策により、リストラ好景気時に内部留保に務め、自己資本率を高め、流動性資金も潤沢に持ち、設備の更新需要では外部資金を必要としていないのが現実。
4、<超円安政策のメリットとデメリット>
超円安政策で潤った大企業、物価が上がり消費低迷となった国民消費、超円安のメリットとデメリットが鮮明となってきている。
5、<盛り上がらない設備投資>
大手製造業は、日本では少子化が保証され消費が縮小するのに、超円安下であっても国内に工場を作っても将来性がないと見ている。いつまで続くかわからない為替問題もある。
6、<米金利高・まさかの円高>
米国の金融緩和策の終焉により、新興国からドル投資金が引き上げられ、東南アジア等工場進出国の経済悪化。海外工場の利益が進出国の為替安で相殺され、製造業の海外工場の売上高の減少、為替安による利益の減少にも至ってくる。
7、<言葉遊びが多くなってきたアベノミクス>
華々しい言葉遊びが目立つ宣伝経済政策、圧し掛かる巨額財政再建問題。手の内が少なくなってきている超円安政策。
8、<復興工事一巡、公共投資は減少へ>
一巡した復興工事の公共投資、減少過程へ。(防衛費増等も含め総合的には来期も増加)
9、<内需拡大は賃上げしかない>
利益を溜め込む大手企業、内需に直接結びつく積極的な賃上げなど皆無
10、<消費税だけではない各種増税とサービス低下による国民負担増>
消費税だけではない各種増税やサービス打ち切りによる国民負担増が続き、就労者数が大幅に延びているにもかかわらず伸びない消費総額、生活保護世帯数の最高更新が続く貧富差拡大。
超円安は物価高を招いており、消費減退を招いている。また、輸入関連物価上昇に便乗して食品など内需型大企業も利益率を拡大させている。
11、<原油安メリットが消費に結びつかない現実>
原油安=ガソリン安のメリットが消費に結びついていない。
12、<米金利高・期待された円安が逆に円高に>
米金利の現実の上げ、期待された130円への円安シフトどころか、諸策の限りを尽くしてもよくならない日本経済に逆に円高に移行してしまった対ドル。輸出企業や工場進出国の為替安により、輸出製造業の利益がおびやかされるものになっている。
13、<待ち構える増税>
2017年4月、消費税が増税される。
走りっぱなしは疲れる。黒田丸+アベノミクスは踊り場の存在意義を知らないようだ。
来年は賃金も経済も天気も晴れが続きますように・・・。
ここ1ヶ月間の日経平均
|
||
|
終値
|
高低の差
|
12月24日
|
18,789.69
|
290.47
|
12月22日
|
18,886.70
|
118.81
|
12月21日
|
18,916.02
|
328.70
|
12月18日
|
18,986.80
|
886.83
|
12月17日
|
19,353.56
|
182.02
|
12月16日
|
19,049.91
|
195.78
|
12月15日
|
18,565.90
|
335.36
|
12月14日
|
18,883.42
|
300.69
|
12月11日
|
19,230.48
|
261.46
|
12月10日
|
19,046.55
|
99.28
|
12月9日
|
19,301.07
|
215.28
|
12月8日
|
19,492.60
|
288.93
|
12月7日
|
19,698.15
|
134.30
|
12月4日
|
19,504.48
|
216.36
|
12月3日
|
19,939.90
|
105.14
|
12月2日
|
19,938.13
|
75.90
|
12月1日
|
20,012.40
|
214.85
|
11月30日
|
19,747.47
|
160.28
|
11月27日
|
19,883.94
|
162.8
|
11月26日
|
19,944.41
|
66.34
|
ここ1ヶ月間の勝敗 20戦6勝14敗 勝率3割
|
<今年の日本株価チャート>
米ダウ20戦9勝11敗・勝率4.5割
コメントをどうぞ