アイコン 第一交通産業(上場、北九州市) 研究

タクシー業界に君臨する第一交通産業、公共路線のバス事業に参入するなど、公共的な仕事も負うなど一定の評価ある会社である。一方不動産事業も以前から精力的に行ってきた。 

気になる完成在庫
今回の不動産ミニバブル崩壊では、一時凍結を会長が謳ったものの実際では凍結されず福岡市小笹や宮崎市に大型マンションを開発中である。ミニバブル崩壊下こうしたデベも必要ではあるが、経営面からは別である。同社は3月期末434戸の完成在庫を抱えており、値引き合戦で販売予算どおり販売できる時世にはなく、また新規開発物件が完成在庫を増加させる可能性も高い。

 福岡市千早の栄泉不動産の超高層マンション(現場1月からストップ)にもコラボしており、同社が同マンションで販売した既契約80戸のうち74戸(契約高5億12百万円)分が契約解除できたことも表明している。

 

第一四半期の状況

連結 百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
09年3月期第一四半期
19,941
881
832
380
10年3月期第一四半期
17,150
738
649
114

 

連結 百万円
総資産
棚卸資産
株主資本
株主資本率
09年3月期
145,027
   32,523
17,751
11.4%
10年3月第一四半期
143,691
   30,880
17,803
11.5%

高い借入依存率
同社の借入高は、前3月期末段階で、短期459億87百万円、長期504億35百万円、合計964億22百万円、総資産1450億27百万円であり、66.48%の借入依存率と決して少なくない。逆に自己資本率は11.5%と改善の余地大である。

主要借入先ほか

借 入 先
借入額
西日本シティ銀行
189億00百万円
福岡銀行
161億16百万円
山口銀行
151億75百万円
その他
462億31百万円
借 入 合 計
964億22百万円

事業状況
第一四半期の不動産事業売上高は、マンション1,458百万円(前年同四半期比5.4%減)、戸建住宅109百万円(同33.8%減)となり、その他87百万円を加えた分譲事業部門の売上高は1,655百万円(同6.9%減)。また、宮崎市内においては、リスクヘッジと事業ノウハウの向上を目的とした共同事業により、マンション1棟122戸(平成22年1月竣工予)の販売を新規に開始しているが、共同事業者とは大和システムであり、大型マンションでもあり、時世がら売れなかった場合問題を残そう。
 

同社事業の内訳は(09/3期)、

事業の種類別
金額(百万円)
占有率
前連結会計年度比(%)
タクシー事業
49,102
    59.0%   
 +2.9
不動産事業
16,330
19.6%
30.5
自動車関連事業
4,736
5.7%
19.0
金融事業
3,853
4.6%
30.7
バス事業
7,624
9.2%
4.4
その他事業
1,517
1.8%
0.9
合 計
83,165
 
9.7

過去同社は、地場業界ではボロボロな会社といわれた日新信販を購入、しかし購入した途端に発生した不当利得返還請求にボロ損して、最後は他社に売却している。金融部門会社第一ゼネラルにしても不動産デベ会社への融資残がかなりあるといわれ、先行き不透明感も残る。
こうした中、BMWの北九州地区正規代理店であった同社完全子会社のミュンヘンオートを東京のウイルプラスモトーレン社に9月1日売却、MINI(小倉店・福岡西店)も含めて外車販売事業から撤退することを表明した。

不動産事業は、栄泉不動産とのコラボ案件ロイヤルアーク千早ザ・タワーズ(521戸、建設途中に栄泉破綻)は頓挫しているが、後処理(工事、大林組)をどうするのか不透明感を残している。
そうしたなかでの不動産開発自体の継続はいくらタクシー事業で現金収入を基盤とする同社であっても借入金も多く、完成在庫が積みあがった場合同社自身の経営不安に飛び火する可能性もある。

 

★現在開発中の主な物件

現場名
場所
販売総戸数
竣工予定
建築会社
グランドパレス熊本町プレミアム
小倉北区
106戸
平成22年11月
大内田建設
グランドパレス行橋ステーションイースト
行橋市
54戸
平成22年2月
大内田建設
グランドパレス ルミネス下曽根駅前
小倉南区
80戸
平成22年3月
福屋建設
ヴァンデュールパレス神宮東
宮崎市
122戸
平成22年1月
熊谷組
アーバンパレス小笹ステージ
福岡市小笹
148戸
平成22年2月
大豊建設

※宮崎市のヴァンデュールパレス神宮東の物件は、大和システムとのコラボ物件。


 

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[ 2009年8月18日 ]
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