アイコン アスカコーポレーション/店舗閉鎖解雇で2700万円支払

社長が直々テレビ広告に出演するアスカコーポレーション(本社:福岡市博多区、化粧品・健康食品通販会社、売上高約110億円)は、継続したテレビ広告をしないためか、なかなか顧客に浸透しないようである。同社は昨年2月までに全国49の百貨店にあった店舗を全部閉鎖、従業員は解雇された。ところが解雇に怒った東京・名古屋・大阪にあった百貨店内店舗の12人の女性従業員が、<4つの人員整理の解雇要件>を満たしておらず不当解雇として昨年5月提訴した。

アスカコーポレーションは、裁判所の和解勧告により2010年5月、12ヶ月分(基本給)に相当する2700万円を支払い和解していたことが判明した。
原告女性の1人は会社側から「自費で転居すれば福岡本社か東京支社で働ける」と言われたものの断ったところ解雇されたという。「会社側は解雇を避ける努力や社員との協議を尽くしておらず、解雇権の乱用だ」として訴えていた。裁判に至るまで連合が支援していた。

<4つの人員整理の解雇要件>
1、 人員整理の必要性  余剰人員の整理解雇を行うには、削減をしなければ経営を維持できないという程度の必要性が認められなければならない。人員整理は基本的に、労働者に特別責められるべき理由がないのに、使用者の都合により一方的になされることから、必要性の判断には慎重を期すべきであるとする。
2、 解雇回避努力義務の履行  期間の定めのない雇用契約においては、人員整理(解雇)は最終選択手段であることを要求される。例えば、役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等により、整理解雇を回避するための経営努力がなされ、人員整理(解雇)に着手することがやむを得ないと判断される必要がある。
3、 被解雇者選定の合理性  解雇するための人選基準が合理的で、具体的人選も合理的かつ公平でなければならない。
4、 手続の妥当性  整理解雇については、手続の妥当性が非常に重視されている。例えば、説明・協議、納得を得るための手順を踏まない整理解雇は、他の要件を満たしても無効とされるケースも多い。

<アスカコーポレーション/オーガニック問題>
農水省は09年12月、アスカコーポレーションに対して指示命令。
同社は農水省から、JAS法に基づく有機農産物加工食品の名称の表示と紛らわしい表示の除去又は抹消の命令を受けた。同社は「少しでも有機原料が入っていればいいと思った。(8月改善指導後も販売を続けたのは)現場への指示が不徹底だった」と釈明していた。

<農水省が公表した概要>
1.農林水産省は、株式会社アスカコーポレーションを表示責任者とする健康食品等について、
(1)有機農産物加工食品でないにもかかわらず、有機農産物加工食品の名称の表示と紛らわしい表示を付して販売していたこと
(2)有機原材料を使用していないにもかかわらず、
(ア)「オーガニック」、「ORGANIC」又は「Organic」と内容物を誤認させる表示を付して
(イ)「オーガニック原料を使用」などの強調表示をして販売していたこと
(3)事実と異なる原料原産地表示をして販売していたことなどを確認した。
2. このため、12月18日、当該商品を販売した㈱アスカコーポレーション及び㈱ジュポンインターナショナルに対し、1の(1)についてJAS法に基づく有機農産物加工食品の名称の表示と紛らわしい表示の除去又は抹消の命令を行うとともに、1の(2)の(ア)及び(イ)並びに(3)についてJAS法に基づく指示を行った。

社長は一生懸命のようであるが、こうした問題が過去にも起きており、今回の解雇問題も含め法律知識のなさが浮き彫りにされている。
法律顧問や労務士に前もって相談していないのだろうか? それとも法律顧問に知識がないのだろうか?

[ 2010年6月 8日 ]
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