アイコン ディックス・クロキの残影/30階建て「港町1丁目マンション」の行方

福岡市港町の那津通りのパチンコ屋北側に本年2月竣工した30階建の港町1丁目マンション。既に入居は始まっているものの入居は疎ら、関係者に家賃を問い合わせたところ、最低が共益費込みでつき10万円、最高は同30万円だそうだ。構造は1階が店舗用になっているというが未入居、2階から30階までが住宅部分で間取りは1LDK、2LDK中心。

 

同建物の敷地面積は約2,058平方メートル(622.54坪)、延べ床面積約1万8,900平方メートル。地上30階・地下1階建て、総戸数は210戸となっている。
同建物は、ディクス・クロキがSPCを起こし開発に当っていたが、周知の通りディクス・クロキが破綻、その後SPCにより、開発は進められ今2月完成したが、肝心の購入予定先であったAIG系不動産会社(AIG)が、AIG本体が米国で実質破綻したため、日本での動きもストップ。今だかってAIGは当物件をSPCから購入していない。当然AIGにしても違約金問題も抱えることから、売却先を探しているものと思われるが、購入契約代金といわれる53億円で購入できる会社がある時世ではない。当物件近隣にはパチンコ店が2件と地元で有名なファッションホテルがあり、魚市場や長浜ラーメンが近い場所、こうした場所での上記家賃は高い印象が免れず、埋まるには相当な時間を要すると思われる。
当SPCは本尊が潰れたが、西日本シティ銀行も1億7000万円出資と約15億円のノンリコースローンを付けており、参加している都市銀行も同様である。建築はピーエス三菱、吉川工務店・内藤工務店、当然これらの建築会社に対しては、SPCからも請負代金の大きなところがまだ入っていない。原価は建築30億円+土地価+金利である。

物件価格の利回りに比例して家賃設定されており、家賃を下げ入居を促進すれば利回りが落ち、そのまま入居で埋まるのを待てば長い年月が必要となる。ディクス・クロキが破綻していることから家賃保証もなく、どこも家賃保証する会社もない。どうするAIG。
福岡でのレジデンス系は福岡市天神・大名の一部を除き過剰在庫状態にあり、よほど場所が良くない限り投資には不向きである。東京の中小投資ファンドにとって手頃な価格から、転がし用に福岡市中心街でいくらでも建て、どっかにババアを掴ませただけのことである。その投資ファンドは昨年6月頃から、上場会社も含め建築完成後に、物件を引き取らずキャンセルして、ぬくぬくと上場しつづけている会社が何ボでもある。
 

[ 2009年9月28日 ]
スポンサードリンク
スポンサードリンク