アイコン ウィルコム、稲盛さんとカーライルの化かし合い、ADR申請

PHSのウィルコムは「事業再生ADR」を申請。三菱東京UFJ銀行などからの借入れのうち約1,000億円を返済期限の延期要請する方針。安価な通信料で契約数を増加させ現在450万人が加入者している。

しかし、通信網の設備投資に膨大な借入金を利用しており、一方価格が安くなり続ける携帯電話大手3社とは常に競争関係にある。
08年3月期には連結売上高2,546億15百万円、総資産2,059億16百万円であり、09年3月期の経常利益は66億円の黒字となっている。しかし、借入金の返済は、新たなる借入か利益でしか返すことはできず、1,285億円にのぼる借入金返済が同社の経営に影を落としていた。社長も今8月に元ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーション社長の久保田幸雄氏(59)に交代、しかし解決の糸口は見つからず、今回のADR申請となったものである。

同社は、次世代PHS・通信に2000億円以上の投資も必要とされており、これまでにも2000億円近い巨額な設備投資をしてきている。こうしたインフラ整備に膨大な資金を要する事業は、超長期の資金シフトが必要であるにもかかわらず、50億円という過小資本金で進めている同社事態の経営体制そのものに問題がある。
同社は元々DDIポケットといい、2004年6月KDDI(80.93%)と京セラ(13.25%)が所有していた株が、両社の米国ハゲタカファンドのカーライルに対する売却で、現在ではカーライルが60%の株保有している。購入代金は2000億円である。その後ウィルコムの名になった。 
売却代金の2000億円はちゃっかり京セラグループが握った。しかもその後も稲盛さんグループは40%を保有しており、KDDIからのシステム納入や携帯端末販売は京セラ製品優先など恩恵を享受している。
ところで、上場させなければ妙味がないカーライルは、次世代通信用に2015年までに2000億円注ぎ込むとしたもののリップサービス、初期費用200億円くらいの増資計画を持ったと思われる。しかし、当時は既にアメリカではサブプライムローン問題がやり取りされ始めており計画は頓挫。所詮カーライルは、ウィルコムの事業が軌道に乗るのを待って上場させ、売り逃げる魂胆であったことは始めから知られており、稲盛さんとカーライルの化かし合いのマネーゲームともとれる。

既に10月には高速無線データ通信「XGP」を開始予定であったが、初期費用140億円の資金が全く目途の立たないものとなったどころか経営そのものが暗礁に乗り上げている。これまでNTTラブコールを送ったが、NTTは応えてくれなかった経緯もある。
今回金融機関がADRをのむとすれば、貸付金の株式化(DES)をはかり、株を取得、今後上場させて回収するしか道はないものと思われるが、次世代通信に最低1200億円は必要とされており、中国資本でも入れなければウィルコムの次の展開は望めそうもない。
これまでの経過から稲盛さんとこが本来1000億円くらい出すべきだろうが、本体の景気が悪くそういう環境にないし、出すことも考えないであろう。
DESでは京セラもカーライルも持株比率を極端に減少させ、狸同士のマネーゲームに終止符を打たせることである。
 

[ 2009年9月21日 ]
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