アイコン 丹青社×乃村工藝社 比較研究④

両社とも今期は、不景気により流通業者の店舗新築・改装等の設備投資が少なくなっており、売上高は大幅に減ずる予想を立てているが、丹青は通期で赤字決算予想と深刻である。その責任を取り、長年乃村を追い続けた渡辺社長が代表権を外して会長になるという社長交代(次期、青田社長)を発表している。
 

丹青/中間連結/ 百万円
 売上高
営業利益
経常利益
当期利益
09年1月期中間期
30,955
452
431
129
10年1月期中間期
24,838
-310
-265
-1,076

 
乃村/中間連結/ 百万円
 売上高
営業利益
経常利益
当期利益
09年2月期中間期
44,672
519
605
296
10年2月期中間期
35,277
-817
-576
-481
 
 丹青と乃村の違いは、③の乃村の項において下線で記載されている通り、上品な乃村が丹青とは対照的に新規分野を活発に切り開き、自らの本業に繋がる商売をしている点である。丹青は仕事を取りに行く姿勢が強く、こうした点でクリエイティブな乃村に軍配が上がっているといえよう。
<歴史の違い>
乃村工藝社は、高松市の芝居小屋の大道具業を明治25年3月開始したのを創業としている。その後東京に進出、昭和17年12月には準国策会社になり、日本軍事工藝株式会社となっていた。戦後乃村工藝社に社名変更するが歴史を物語る。そのためか東京建物(安田財閥系)が福岡で商業施設を建築した際の総合内装管理は乃村であった。
一方、丹青社は戦後設立された会社、昭和45年3月の万博では日本政府館とソ連館の展示を手掛けるなど実力を発揮して、今では乃村に次ぐ店舗や各種施設の内装総合管理業者として位置づけられている。
<業界展望>
店舗内装業界は、マネキン出身や家具や大道具出身が多いが、百貨店も見逃すことはできない。今では大丸百貨店建築部から独立したJフロント建装、高島屋の子会社高島屋工作所(消滅)、三越建装部は三越環境デザインとして独立しているが、本バブル期は泣く子も黙るほどの勢いであった。しかし、その後の百貨店不況で、ゼネコンも予算の問題も有り、百貨店の建装部を他の現場では使用しなくなり、自営能力が低かっただけにジリ貧に陥り今日の状況となっている。そこに台頭すべき渡辺社長率いる丹青が乗ずべきであったが乗り損ね、乃村と丹青の今日の差となっている。乃村がそうはさせなかったといえばそれまでだが。
元々常に3番手の船場は一時切られたがイオンとともにあり、各種店舗に強くスーパーなどのディスプレイに特化している。
 
当業界も、全く新しい発想の新興勢力のスペースなどが着実に台頭してきている。
1.乃村工藝社、2.丹青社、3.スペース4.船場、5.ジーク(旧ゼニヤ)6.エイムクリエイツ7.吉忠マネキン、8.店研創意9.ムラヤマ10.J.フロント建装
スペースの顧客 ⇒ユニー、マイカル、イズミ、平和堂、大創産業、大和システム、安井家具、サークルKサンクス、ベストサービス、オンワードクリエイティブ、ベイシアetc
 
業界動向は、今後とも流通業者の景気は上向くとは思われず、厳しい事態に突入しよう。乃村や丹青は、特に官庁工事にも強かったため、民主政権になり、仕分け劇場で予算カ
ットを続出させるどころか返納指示まで出しており、官庁工事である博物館当各種公共施設は大幅に減少するものと思われ、厳しさを増すと思われる。

 

[ 2009年11月24日 ]
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