アイコン 九州経済の状況と12月短観 「少し明るさの兆し」

<全体・鉱工業>
九経協の調査による10月の景況は、輸出の回復基調と雇用の改善が見られてきており、回復の兆しが鮮明になりつつあるとしている。

 

九州の鉱工業生産指数が8ヶ月連続して伸びており、2005年を100とした場合、本年2月に69を記録した後、かなり回復してきている。しかしまだ96.5の段階であり、2008年10月の106.2には至っていない。業種では数値制御ロボットが前月比でも7.5%増と牽引しており、鉄鋼・電子デバイス関係も上昇している。ただ自動車など輸送機械は▲6.6と不振であるが、乗用車に限れば自動車の生産台数は、全国的には前年同月比▲17.3%(714千台)であり、九州は▲4.9%(88千台)と九州は回復してきている方である。
在庫指数も太陽電池モジュールなど好調積み上がり、普通鋼などの鉄鋼製品は需給バランスと価格調整のためか減じている。
 
<輸出入>
10月の輸出は、前年同月比まだ20%以上の水面下である。主要産品では、鉄鋼▲24.1%、自動車▲24.6%、電気機器▲35.4%となっているが、全体では7月▲37.6%、8月▲33.8%、9月▲30.3%、10月▲22.3%と改善してきている。
一方10月の輸入は、消費不況もあり輸出より深刻である。主要産品では、食料品が▲30.4%、衣料品が▲28.2%、電気機器▲33.0%となっている。全体では7月▲47.8%、8月▲48.3%、9月▲43.4%、10月▲40.0%と4割以上減じたままである。全国ベース(10月▲35.6%)から比べても低くなっている。
 
<住宅投資・公共工事>
10月の住宅着工件数は、前年同月比▲34.3%の6513戸にとどまった。しかし戸建の落ち込みは比較的小さく▲11.8%ダウンの2593戸となっている。貸家▲39.1%や分譲▲52.7%など厳しい状況にある。
 公共投資は、前年同月比2.6%増の2026億60百万円、内訳は市町村発注の9.8%増の759億00百万円が牽引した。国は▲3.9%の425億55百万円、県▲0.4%719億67百万円となっている。
 ★当HPのトップページ右に全国・九州・九州各県別の着工件数推移を常時掲載している。
 
<消費>
10月の九州の消費指数については、鉱工業指数と異なり低空飛行状態が続く、衣料品は▲10.7%、旅行取扱高は▲16.8%と大きく落ち込んでいるものの、自動車はエコ減税効果で8月から増加に転じ10月は28.5%の大幅増となった。これは全国ベースより大幅に増加している。百貨店等大型小売店の販売高は▲5.0%と相変わらず前年割れが続いている。全消費支出から見れば▲4.5%であり、車は買うがそのほかの品物は必需の食品を除いて節約している九州人になっている。
 
<雇用>
10月の有効求人倍率数は0.40%と先月より0.1ポイント改善されたが低水準のままである。7~9月の完全失業率は全国の5.4%より九州は悪く6.0%となっている。九州は判明していないが、全国の10月の完全失業率は5.2%で改善されつつある。大手企業の南九州を中心に工場閉鎖や派遣切り等の影響が出ているものと推量される。
 
<観光産業>
主要ホテルの稼働率

福岡市⇒
70.8
熊本市⇒
67.3
北九州市
46.6
大分市
63.8
長崎市
83.8
宮崎市
59.0
佐世保市
43.8
鹿児島市
77.1
沖縄
70.9
以上平均
67.3

長崎は官民上げての「さるく」キャンペーンと「龍馬の伝」の先取り観光誘致に成功しており、観光と造船の町だけに明るくなっている。
一方、鉄鋼や自動車工場を控える北九州市は、鉄鋼・機械不況を反映してか、それとも日帰りが多くなったのか大幅に悪化している。同じ現象は大分でも見られる。
 
10月の主要テーマパークの入場者数は592千人で前年同月比▲16.7%と大幅に減少している。歴史的観光地も405千人、同▲13.9%である。若い人に余裕がなくなったのか、年配者は不況により観光を自粛しているのか、観光地はかなりの打撃を受けているものと推量される。
九州運輸局調べの旅行取扱高は前年同月比▲16.8%と大幅に凹んでおり、海外国内旅行とも不況の影響を受け、厳しい状況にあるといえる。
 
 
<日銀短観>九州・沖縄の経済状況 09年12月14日リリース分
九州・沖縄の景気は、緩やかながら持ち直している。雇用・所得環境が厳しい状態にある中、個人消費で弱い動きが続いており、住宅投資も大幅に減少している。もっとも、輸出が減少幅の縮小傾向を続けており、生産は緩やかなペースながら着実に増加している。 
この間、設備投資は低水準ながら下げ止まりつつあるほか、公共投資は伸びを縮小しつつも増加している。12月短観における企業の業況感は、3期連続で改善している。一方、先行きについては慎重な見方を崩していない。
先行きについては、不透明感を残しつつも、海外経済の改善と国内外の経済対策の効果
を背景に景気は持ち直していく可能性が高い。米欧におけるバランスシート調整の帰趨や
国内外における各種経済対策の展開などによっては、下振れるリスクがある点、十分注意
が必要である
 
以上。
[ 2009年12月25日 ]
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