アイコン CM得意なサントリーと王道を走るキリンの統合交渉劇の顛末

昔からサントリーはコマーシャルが上手である。山崎など酒類は別にして、ソフトドリンク分野でも伊衛門や烏龍茶シリーズで大成功を納め、今では酒類の売上高が36%まで低下するほど、ソフトドリンク分野が売上高全体を押し上げている。

サントリーは強力な商品群を持っているからこそ、09年7月始まったキリンとの統合交渉劇の顛末は、キリンの株主本位主義、サントリーの一族によるトップダウン経営の相違が浮き彫りとなり、サントリーの主張にキリンが折れられなかったものとされている。
サントリーとキリンの統合交渉劇は、国内食品業界で1・2位の勝組同士、世界で通用する「国際ブランドの確立」という共通認識のもと、統合交渉劇が始まったが、株式上場会社と創業家一族が経営支配する非上場企業の違いの溝が埋まらなかった。
決裂した統合交渉劇では、これまで非上場で経営を好きにしてきたサントリーオーナー一族(鳥井・佐治創業家の寿不動産が全体の9割の株を所有)にとって、キリンと統合してもモノを言える(拒否権を発動できる)1/3以上の株式の要求が最後までネックであったとされている。
サントリー側はこれまでの交渉劇で「会社の限界を乗り越えてもらわない。結婚は越えられない一線を越えていかない」と暗礁に乗り上げていることをこれまで示唆していた。


サントリーは、サントリーホールやサントリーミュージアムを持ち、また冠スポーツ大会など文化・スポーツ事業に積極的に関わっており、こうした事業も株主重視となれば、勝手にできず難しくなる。こうした点も統合劇の妨げになったとされている。
サントリーは旧三和銀行系であり、旧住友銀行とも関係が深いが、キリンは有名な三菱グループ員である。
サントリーも一族支配がどこまで通用するか知らないが、今のカラーを変えてまで統合するメリットはなかろう。好きにやんなはれ。

サントリー

両社のニュースリリース
2010年2月8日
サントリーホールディングス株式会社
サントリーホールディングス株式会社(社長・佐治信忠)は、キリンホ-ルディングス株式会社(以下キリン社)との経営統合に向け交渉を行ってきましたが、本交渉を終了しましたのでお知らせします。当社としては、統合新会社のあるべき姿を検討していくなかで、統合比率をはじめ、キリン社との間に認識の相違があり、今交渉において当社が追い求めている新会社の実現は難しいと判断し、交渉を終了することを決定しました。
以上

2010年2月8日
キリンホールディングス株式会社
サントリー社との経営統合交渉の終了について
 キリンホールディングス株式会社(社長 加藤壹康)は、サントリーホールディングス株式会社(以下サントリー社)との経営統合に向け交渉を行ってまいりましたが、本交渉を終了しましたのでお知らせします。
 当社としては、統合新会社は、公開会社として経営していくことを前提に、経営の独立性・透明性が十分に担保されるべきと考えておりました。しかし、この点につきサントリー社との間で認識の相違があり、このまま統合交渉を継続しても、当社が目指す「グローバルリーディングカンパニー」として、国内外のお客様・従業員・株主をはじめとした全てのステークホルダーから理解・賛同を以って受け入れられる会社の姿を描くことが困難であると判断し、交渉を終了することを決定しました。

以上
 

サントリー

[ 2010年2月10日 ]
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