アイコン 空港セキュリティ「ミリ波パッシブ撮像装置」開発/東北大・マスプロ・中央電子

テロとの戦いで米軍はアフガンに3万4千人軍隊を送り込んでいるが、ソマリア・イエメン等戦火は拡大するばかり。昨年12月ノースウェスト機の爆破未遂事件は、爆破装置が機能せず難を逃れたが、空港のセキュリティがこれまで以上に問題とされている。


文科省は平成19年、空港セキュリティの「安全・安心科学技術プロジェクト」につき、東北大学、マスプロ電工、中央電子が共同開発している「ミリ波パッシブ撮像装置」を委託している。
東北大では、物自体から必ず出ているミリ波に着目。ミリ波は透過性に優れているので、衣服の下の持ち込み物を発見する事ができると考え、検知装置の研究をしてきた。更に、ミリ波の良い点は、人体・物自体が出しているミリ波を受ける(パッシブ)ので、X線などの様に身体に対する影響もなく、乳幼児にも使用することができるとしている。
国産初の「ミリ波パッシブ撮像装置」のフィールド実証実験は、既に昨年10月行われ、空港関係者を対象に本機の前で2秒程静止した状態で撮像した際、体に隠し持つ危険物(サンプルは紙粘土)がモニターに分かりやすくマーキング撮像される事が確認できている。
  当装置は、センサーを「マスプロ電工」、画像処理関連を「中央電子」で開発、装置全体の設計を東北大学が行っている。
一方、犯罪現場や空港での搭乗者検査などを想定した場合、X線バックスキャッターは物の検査が主で、人に当てると被曝するほか、テラヘルツ波は分解能が高いが透過率が小さいなどの欠点があります。
当装置のパッシブ型は、周波数が(1mm~10mmと)最も高く、人や物から放射されるミリ波帯を対象とし、数万倍に増幅・検波する必要性がある。それをマスプロ電工が開発した25素子のパッシブイメージングセンサーで画像化に成功。更にミリ波帯は77GHz、波長は4mmで、被写体は装置から約2・4m離れた位置で撮像、動画を2フレーム/秒のフレームレートにより、最大2秒程度で胸元などに隠した偽装危険物を検知、4フレーム程度で可能とした。また、極小の物まで検出可能とするため、空間分解能は(約20mmである)指の幅程に設定している。
その結果、国内初のミリ波動画撮影に成功、当初より空港での導入計画であり、ポータブル化して開発している。 また、「プライバシー対応として、ミリ波画像を様々な画像処理を施し、物体面積に変換したものをマーキングする検知方法で、疑わしい場合はマーキング検知率をあげた状態の画像を録画するため、犯罪への抑止効果と共に、搭乗者の安心安全システムへの参加が容易になりやすい。実証実験のサンプルを通して、今後は不審物の検知率の安定化を図っていくほか、連続検知の耐久性なども調査する解説している。
導入応用先として、空港、港湾等の水際や駅、病院、学校等の集客施設、取締り・監視場所、火災現場などを想定しており、実用化は今年完成予定。

★現行のセキュリティ機器等
<X線マイクロスコープ、(高解像度X線スキャナー)>
MXRA(高解像度)X線画像技術は、手紙爆弾、髪の毛ほどの起爆ワイヤー、起爆回路、起  
爆装置、生物兵器の粉末や微粒子などを、検出する能力。50mmの透視範囲を通常のX線検査装置より10倍以上高い解像度(22 lp/mm)で透視し、その画像を40倍まで拡大することができる。Glenbrook Technologies社(米国)
<麻薬物及び爆発物検知装置>
空気中および現場に残存するごくわずかな微粒子を吸い取り、最新の抗体反応技術により、化学物質を検知する。バイオセンサーアプリケーションズ社(スウェーデン)
<後方散乱X線装置>
最小限の放射線量でコンテナや車両等の中身を透視し、特殊な画像処理によりその内容物を高解像度ディスプレーに表示できる。AS&E社(米国)
<車下(車底)監視システム>
自動車が入退去する際に、その下面部分をチェックするのに非常に有効な装置としてすでに広く認知されている。LEA社(米国)

対テロセキュリティ/最新機器とワンちゃんとの組み合わせ方法・・・。
2007年、アエロフロートは、機内への爆発物、爆発危険物、武器、爆薬の持ち込みを防止するため、特殊な機器の使用に関する許可をロシア航空安全確保機器認証センターから取得。
この機器は空気のサンプルを摂取し、一定の間その臭気を保存する機能を持つ。特殊フィルターに残ったその臭気は、爆発物や爆発性危険物の臭気に反応する爆薬物探知犬によって検査。温度や雑音、臭いなど、爆発物探知犬を混乱させる要素を取り除いた環境で検査することにより、危険物発見の正確性と効率を向上させることができる。さらにこの新技術は、検査時間の短縮、爆発物探索の専門技術を持たない要員でも空気サンプル摂取が可能なこと、1サンプルにつき3匹の爆発物探知犬を使用することで探査の有効性が大きく向上するなどの優れた特徴を持っている。この特殊機器は、航空安全の確保を目的とした機内環境遠距離分析システムの一環として組み込まれた。
機内環境の遠距離分析システムは、大変ユニークなもので世界にも類を見ない。アエロフロートは開発と実験に3年を費やし、ロシア航空安全確保機器認証センターにより、使用の許可を受けている。・・・ロシアならではの開発であろう。

 

[ 2010年2月17日 ]
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