アイコン 電子制御装置の信頼性/トヨタ

自動車の制御装置は、機械式から電子制御方式になり、それも高度化している。Automatic Transmission=AT車は、自動変速機で電子的に変速機を制御している。ATは自動車先進国アメリカで開発されたが、クラッチを踏み込む動作が必要なくなり、運転が非常に楽なため、国内でも1970年代から、トヨタがトヨグライド、ホンダはホンダマチックなどの名で急激に普及し、現在は殆どの車がAT化している。

電子制御機器は、これまでに蓄積されてきたデータに基づき、あらゆる部分で進化してきているという。しかし、トヨタの場合は、2009年8月米国で急加速による死亡事故が発生。その後も急加速問題が2,600件米トヨタに寄せられ、700件が事故につながっていたと報告されている。
そうした問題に対するトヨタの対応は、当初①ドライバーの操作ミス問題、②アクセルペダルがフロアーマットに引っかかる問題、③アクセルペダルの不具合の問題と変化してきていた。23日の米公聴会では、議員が電子制御装置そのものに問題があるのではないかとトヨタ側に指摘している。しかし、トヨタ側は調査を始めたところであると後手後手の対応を明らかにしている。
日本では、同様な問題が殆ど生じていないとされてきた、そのためアメリカ現地生産の精度の欠陥を指摘する向きもあったが、24日前原国交相は、国内でも2007年からの3年間でトヨタ車の急加速問題が38件寄せられていたことを明らかにしている。(急加速のクレームは、全メーカーに対して3年間で134件寄せられている)

AT車の安全は、「ブレーキがアクセルより最優先されるシステム」で確保されている。制御装置そのものに問題があるのか、プログラムに問題があるのか、昔と異なり車は、性能向上や利便性の追求により電子制御装置等が、より高度化=複雑化、精密化、小型化している。しかも現在では車のあらゆる部分に電子機器が使用されており、それらとの干渉など疑えばキリがなくなる。
しかし、車の安全は保証されたものではならず、真の問題がどこにあるのか追求するしかない。それも今回のような後手後手ではなく、常に早期な問題解明と対応が求められるものである。
トヨタは、世界のトヨタになっているにもかかわらず、いつのまにか名古屋商人に逆戻りしている。奢り昂りの奥田氏あたりから急激な売上至上主義に陥り、一方で徐々に安全追求が損なわれてきたのではと見る。

バブル時代、アメリカでは日本車の打ち壊し場面が何回も放映されていた。貿易不均衡問題である。アメリカのシンボルである自動車産業は当時からジリ貧に陥っており、その原因を常に日本に向けてきたことも事実である。そのため日本は輸出台数の総量規制をかけ、アメリカにいくつも生産基地を作り対応、そうした問題は表面上生じなくなったが、あくまで日本のメーカーである。アメリカ人にとって水面下でずぅっと燻り続けている問題であり、現実アメリカの巨大自動車メーカーが破綻するなか、再度問題を大きく表面化させてきているとも捉えられる。 
アメリカの7年後は、中国の自動車メーカーと米議会が衝突していることだろう。
 

[ 2010年2月26日 ]
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