アイコン ベスト電器クーデター失敗/社長2ヶ月での退任の実相

有薗-濱田体制が、事業再構築のため307億円の赤字を今2月期決算で計上するとして、辞任したのが1月12日。その結果、同日新社長に就任したのが深澤副会長(65歳)であった。また1月29日には、社長の番頭となる専務に井澤海外統括部長(57歳)が就任、井澤専務にも代表取締役が付いた。 

ところが、今期(2010年期)の事業計画作成がなかなか進められないとして、3月20日突然、深澤社長と井澤専務が辞任すると発表した。
しかし、事の真相は井澤専務による深澤社長更迭のクーデター未遂事件であったようだ。井澤専務は、幹部社員から(クーデター)賛同の署名集めをしており、その署名に基づき、深澤社長を解任に持ち込む予定であったとされる。しかし、その情報が深澤社長に漏れ、憂慮した深澤社長が、20日の役員会に先立ち事の真相を役員に根回しし、役員会では、まず井澤代表取締役専務の更迭決議がなされ、その後事を荒立てられない会社の事情から、深澤社長が一緒に辞任するというドラマが演じられていたというのである。当然役員会ではまさかまさかの井澤専務が激怒したというが、取締役会というもの数の論理で決まる。また取締役会には、取締役であるビックカメラの宮嶋社長や西日本シティ銀行OBの中野取締役もいる。井澤氏の目論見は完全に失した。

当初から、今回の社長辞任劇は何かあると思われていた。小野新社長の「事業計画も作成できない状態」という発言は、前任社長を批判するコメントと見られたからである。
当然、財務畑の深澤社長による改革は、どうしても現場の声というものは届かないものであったろう。一方営業畑の伊澤専務は、現場の声(不満・・・どこの会社でも常に社員には不満はある)をこの1ヶ月あまりに聞きすぎるほど聞いてまわっていたようだ。
以前から同社は、(故)北田派(元オーナーの長男)×有薗派が存在し、口も聞かない対立構図があったとされる。北田社長が亡くなり、有薗体制となったものの、対立は水面下ではまだあり、そうしたなかでベスト電器の有薗体制は執行されてきた。一枚岩ではなかったことから行き当たりばったりの大型店舗を各地に作ったり、いきなり「さくらや」を買収するなど業界人も呆れるほどであった。
今回のクーデター未遂事件で発覚したことは、伊澤専務に傾いた多くの幹部がいたことである。(深澤社長は専務時代の「さくらや」買収責任問題もあるとされていた)

赤字続きで大赤字、会社そのものが疲弊しており、社員や幹部の不満は、爆発寸前のようである。そうした不満を糾合したのが井澤専務であったろうが、矛先を深澤社長に向けたのは、間違いであったようだ。
こうした状況では、カリスマなき者が経営を執行しても、問題がくすぶり続けるばかり。早く、ビックカメラが株の過半を取得し、直接経営に乗り出すしかベスト電器が生き残る術はないように思えてならない。


 

[ 2010年4月12日 ]
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