アイコン 資源価格高騰を考える②/鉄鉱石 鉄鋼価格は再度上昇へ

日本における資源の調達価格は、通常国際取引価格により決定しているが、鉄鉱石だけは、メジャーとの個別交渉により決定する。そのためメジャーが販売価格を高くすれば、鉄鋼価格も高くなるが、高炉で燃やす強粘炭(石炭)も鉄鉱石価格に引きずられ上昇する。両資源とも過去20年間動かなかった価格が04年から上がりはじめ、08年度にピークを迎え、リーマンショックで09年は急落した。しかし、09年の価格は07年のレベルまで下がらず、高止まりしているのが実情である。その後、世界不況も少しだけ回復してきており、また1人気を吐く中国の需要(中国の輸入量は08年の鉄鉱石世界輸入量の52%)が落ちないどころか増加、2010年はまたメジャーを強気にしてしまっている。

日本の高炉メーカーでは、鉄鉱石の約6割をオーストラリア、約2割をブラジルから、石炭の約6割をオーストラリアから購入している。銑鉄1トンを製造するには、鉄鉱石1.6トン、コークス0.4トンを要する。新日鐵の調達量は、鉄鉱石で年間約4900万トン、石炭で約2100万トンになっている。
その調達価格は、04年から徐々に上昇し始め、ブラジルのヴァレとの取引では、07年トン当たり50ドル、08年度世界バブルで77ドルに高騰、09年度リーマンショックで55ドルに低下、2010年は最大の輸入国中国の好景気で09年の90%高の100~110ドルと史上最高価格となっている。豪州のリオ・ティントとの取引は、09年度60ドル~67ドル、2010年度分は80%値上げで決着の見通しである。
2010年度分については、リオとBHCは、スポット価格での販売を新日鐵当に求めているが、スポット価格は、中国渡し運賃保険料込み契約(CIF)で1トン当たり133ドル前後、09年のFOB(本船渡し)ベースの年間契約価格の2倍となっている。
一方、石炭(強粘炭)価格も上昇、2010年4月~6月までの価格は昨年の55%上昇で決定している。しかも、中国のバブル次第ではこの上昇した価格の下落はなく上昇のみである。
石炭価格は特に07年度のトン当たり100ドルから08年度300ドルに3倍増と急激に上昇した。これは鉄鉱価格の上昇に連動したことと、産地豪州の炭鉱水害で世界の生産量が減少するのを見越し高炉メーカー1位のアルセロール・ミタルと4位のボスコ(韓国)が買占めに入ったためである。そのため2009年は130ドルあまりに下落したが、2010年度は鉄鉱石価格の上昇に乗じたものである。
こうしたことから、新日鐵等高炉メーカーは2010年4月より鋼材価格を20%(トン当たり15,000円程度)程度値上げする計画であるが、需要家側の自動車や家電メーカーなどは不況で受けいれられる状況にない。
 
[ 2010年4月 6日 ]
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