フィデック/旧役員実質全員解任、ドンキホーテ・西酒造の役員に、調査委員会設置へ
大量の不良債権に苛まれたフィデック、穴吹工務店では再割・再資金化する金融機関からストップの指示が出て難を逃れたが、与信管理能力がないと見え、今回はチェックがないまま、大量の不良債権が発生して経営の危機に瀕した。幸いドンキホーテが支援は入り自社の難は逃れたが、金融会社最大の難問与信管理能力は経営数値を並べて指数化した判断だけでは、サブプライムローン問題の国内波及局面では対応できないことを立証させた(元市中金融マンが言うから間違いない)。こうした局面では担当者レベルでは危険性が匂ってくるものであるが、売上欲しさの幹部や経営陣が蓋をしたのかもしれない。
実質筆頭株主(19.67%)である鹿児島の「西酒造」(Emotion及びWest Tradingの親会社)とは焼酎でボロ儲けしている会社、創業1845年(弘化2年)の焼酎製造業者。
深田剛社長は38.3%の株を持つオーナーであったが、2月10日西酒造に株を売却して2月18日社長辞任、また他の取締役・監査役全員も臨時株主総会(4月15日開催)で辞任することが決定していた。深田社長から資本業務提携先ドンキホーテから派遣されていた瀧口社長代行(取締役)が社長に就任している。
4月15日臨時株主総会を開催、旧役員を実質解任、ドンキホーテ及び西酒造からの派遣役員が承認された(West Trading(西酒造)から大門社長が取締役就任)。
同社は、大量の不良債権発生に対して調査委員会を設置する。目的はあくまでも当社の旧経営陣による過去の経営判断の妥当性の検証及び、開示内容の適正性の確保としているが、旧経営陣に対して損害請求できるかどうかの調査である。
フィデックの09年3月期、
<長期未収入金>として計上された相手先
相手先 | 金額(千円) |
㈱ゼット・エル・エス | 2,766,730 |
㈱南苑 | 2,564,800 |
㈲健商住宅開発 | 1,657,500 |
㈱ロムルス・インベストメント | 1,049,701 |
㈱ゼット・エス・オー | 512,450 |
その他 | 597,975 |
合 計 | 9,149,156 |
この中の企業から何か生じている・・・同期に固定資産評価損38億38百万円引き当てている。(3社が有限会社が正解か株式会社が正解か不明、同社の資料ではこのようになっている)
08年3月期の
<買取債権相手先別内訳>
相手先 | 金額(千円) |
㈱ドン・キホーテ | 3,190,476 |
日成ビルド工業㈱ | 2,607,400 |
(有)ゼット・エル・エス | 2,200,000 |
(有)ゼット・エス・オー | 2,000,000 |
(有)ロムルス・インベストメント | 2,000,000 |
その他 | 19,428,960 |
合計 | 31,426,837 |
・㈱南苑は大丈夫だろうか・・・四川料理?、
・(有)ゼット・エル・エス、(有)ゼット・エス・オー、(有)ロムルス・インベストメント(有限会社グループとする)については何ものか不明。
連結/百万円 | 営業収益 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 |
09年3月期第③四半期 | 2,671 | 1,033 | 989 | -3,111 |
10年3月期第③四半期 | 1,523 | 102 | 128 | -2,577 |
10年3月期予想 | 2,171 | 254 | 268 | -2,418 |
09年3月期実績 | 3,248 | 794 | 757 | -4,812 |
10年3月期第③四半期 | 総資産 | 純資産 | 自己資本 | 自己資本率 |
20,897 | 2,439 | 2,385 | 11.4% |
深田前社長は、西酒造に株売却したのが2月10日、株価7,080円、2月12日ドキホーテの支援リリースでその後上昇、4月15日現在16,920円(西酒造は笑いが止まらないだろう)。
今回クローズアップされるのは、有限会社グループ3社に対する債権合計は08年3月期残62億円、09年3月期43億28百万円となっている。
深田社長は1月26日第③四半期の決算を発表、2月10日、筆頭株主(深田社長)で32.93% 69,618株を有していた株の内3,100株を残し、31.46% 66,518株(4億70百万円相当×7,080円)の株を西酒造(関係会社)に売却している。
もしも有限会社グループ3社の債権が実質不良債権化していると仮定した場合、2010年3月期第③四半期決算では一部しか引当処理(特損)せず、全部引き当て処理した場合、債務超過に転落していた可能性が高いと見られる、そうした場合株価はもっと下がっていた可能性が高いと思われる点である。(引当面から見れば、既に3社分の債権の殆どは引当処理されている可能性もある)
こん日、実質ドンキホーテ経営となったフィデックであるが、今回調査委員会の設置で、有限会社グループの債権が全部不良債権化していたと判明したとしても、取引上のコンプライアンス面からのチェックしか入らず、また結果が何であったとしても不良債権は動かず、今期特損計上が場合によっては大幅に増加することも考えられる。
また、昨年6月25日フィデックはドンキホーテに対して2億円の割当増資をしており、ドンキホーテは、その株価算定根拠の決算内容に疑義が生じた場合、旧経営陣に対して訴求することも考えられる。
以上、深田元社長のインサイダー取引の可能性、今期決算の動向を検証してみた。
[ 2010年4月16日 ]
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