現状の方法ではカッターナイフを使用し人力で老朽化したシーリング材を撤去。この方法の場合、(1)カッターの破損により作業者や第三者が怪我をする恐れがある、(2)被着面に薄くシーリング材が残存し取り替え工事後の防水性能が落ちることがある、(3)カッターの刃が立たないほどシーリング材が硬化してしまうと作業が非常に困難になる、などの問題を抱えており、加えて高層ビルになるとシーリング材取り替え範囲が数万ｍにもなるため工事には長期間を要している。
今回同社が開発したシーリング材高速撤去装置「ツインドリル」は、電動ドリルのヘッド部分を2軸にし、その先に専用のドリルビットを取り付けている。2つのドリルビッドが左右反対方向に回転してシーリング材を引き剥がし、機体自体も推進力を持ちながら動作することで、力を使わず安全に、そして確実な撤去を実現している。また、ドリルビットを交換することで最大40mm最小5mmの目地幅に対応するなど様々な条件下での工事に対応する。

この装置はゴンドラの下降に合わせて撤去作業をすることが可能になるため、縦方向の目地撤去の速度は、従来工法に比べて最大20倍程度向上する。ゴンドラを利用しての高速撤去ができない横方向の作業を考慮しても1日平均の作業可能範囲は、従来の1人あたり35m程度から最大100m程度にまで延ばすことができる。
その結果、工期が約2〜3割短縮されることになり、コスト面でも仮設費や作業所経費などの低減につながるため全体の工事費用は1〜2割削減できると見込んでいる。
このツインドリルの開発によって、ビルの更新工事が従来よりも安全に短工期で可能となり、建物利用者にとっても居住性への影響が短期間に抑えられるという効果が期待されるとしている。