電通研究/広告業界の1/4を扱う 2年前に比し20%ダウン
メディアを圧倒的な力で支配する同社であるが、2位の博報堂は比べものにならない。テレビ・ラジオなどの民間放送業界は、広告宣伝を放送することにより、飯を食っているが、その広告宣伝を牛耳るのが電通である。逆に言えばそれほどスポンサーこと広告主から信頼されている証でもある。その力は世界に轟く。
同社の売上高に占める割合の大きい上位10業種は、
「食品」(前期比5.9%増)が売上増。
「情報・通信」(同▲10.3%減)、
「飲料・嗜好品」(同▲3.3%減)、
「化粧品・トイレタリー」(同▲3.2% 減)、
「金融・保険」(同▲17.4% 減)、
「自動車・関連品」(同▲27.7% 減)、
「薬品・医療用品」(同▲4.7%減)、
「流通・小売業」(同▲4.4%減)、
「趣味・スポーツ用品」(同▲7.8%減)、
「外食・各種サービス」(同▲2.0%減)の9業種で売上高が減少している。
その結果、次の決算数値となっている。
連結/百万円 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 |
07年3月期実績 | 2,093,976 | 62,834 | 70,044 | 30,688 |
08年3月期実績 | 2,057,554 | 56,126 | 67,993 | 36,246 |
09年3月期実績 | 1,887,170 | 43,184 | 53,363 | -20,453 |
10年3月期実績 | 1,678,618 | 37,323 | 44,790 | 31,130 |
11年3月期予想 | 1,737,900 | 39,700 | 45,900 | 25,400 |
<部門別売上高構成>
業務区分 | 売上高/百万円 | 構成比 | 前期比 % |
テ レ ビ | 626,274 | 47.6 | △9.6 |
(テレビスポット) | 336,810 | 25.6 | △3.6 |
(テレビタイム) | 289,464 | 22.0 | △15.7 |
マーケティング/プロモーション | 167,209 | 12.7 | △2.1 |
クリエーティブ | 164,973 | 12.5 | △7.0 |
新 聞 | 122,264 | 9.3 | △16.7 |
コンテンツサービス | 75,492 | 5.7 | △8.1 |
雑 誌 | 43,392 | 3.3 | △27.7 |
OOHメディア | 39,233 | 3.0 | △6.7 |
インタラクティブメディア | 34,606 | 2.6 | 32.0 |
ラ ジ オ | 19,434 | 1.5 | △11.7 |
そ の 他 | 22,191 | 1.7 | △17.6 |
計 | 1,315,072 | 100.0 | △9.1 |
インタラクティブメディア部門のPC・モバイル向けは急成長させているが後発。
薄黄色は前期比10%以上落ち込み部門。
<広告業界の売上に貢献している業界と業況不振な業界>
①テレビ
テレビタイム、テレビスポットとも伸長せず。
《テレビタイム》
「官公庁・団体」(前期比22.7%増、選挙の関係)、「教育・医療サービス・宗教(創価学会等)」(同16.0%増)など拡大、「自動車・関連品」(同49.7%減)、「金融・保険」(同33.2%減)などの大幅減少に及ばず。
《テレビスポット》
「化粧品・トイレタリー」(前期比11.4%増)、「食品」(同8.4%増)などは伸んだが、「趣味・スポーツ用品」(同19.1%減)、「情報・通信」(同9.5%減)など落ち込む。
②新聞
「飲料・嗜好品」(前期比23.3%増、健康食品増か)、「薬品・医療用品」(同6.7%増)などは伸んだが、「情報・通信」(同35.2%減)、「金融・保険」(同25.4%減)などの減少。
③雑誌
「エネルギー・素材・機械」(前期比16.6%増)、「家庭用品」(同10.9%増)などは伸びたが、「ファッション・アクセサリー」(同26.9%減)、「情報・通信」(同30.2%減)、「化粧品・トイレタリー」(同28.3%減)などは大幅に減少。
④ラジオ
「外食・各種サービス」(前期比57.1%増)などは伸長したが、「自動車・関連品」(同52.5%減)、「官公庁・団体」(同24.1%減)など減少。
⑤インタラクティブメディア・・・インターネット、モバイルに関する広告枠の取引業務
「情報・通信」(前期比28.6%増)、「金融・保険」(同49.8%増)、「外食・各種サービス」(同45.0%増)、「自動車・関連品」(同24.5%増)など伸長、全体では前期比32.0%増。
⑥OOHメディア・・(交通、屋外、折込)広告枠の取引業務
「飲料・嗜好品」(前期比19.7%増)、「薬品・医療用品」(同70.2%増)などは伸び、「金融・保険」(同52.6%減)、「情報・通信」(同14.4%減)などが減少。
⑦クリエーティブ・・広告表現立案業務、広告制作業務および関連業務
「食品」(前期比27.2%増)、「流通・小売業」(同16.4%増)など伸長、「情報・通信」(同13.7%減)、「自動車・関連品」(同25.5%減)など減少。
⑧マーケティング/プロモーション・・・クライアントのマーケティング、コミュニケーション、ブランド、経営等の戦略立案など
「官公庁・団体」(前期比89.1% 増、選挙向け)、「食品」(同29.8% 増)、「外食・各種サービス」(同18.2%増)などは伸長、「流通・小売業」(同20.5%減)や「交通・レジャー」(同42.2%減)など大幅減少。
⑨コンテンツサービス・・・スポーツ領域、エンタテインメント領域での権利販売業務、企画立案・制作実施業務およびその他のコンテンツサービス
「趣味・スポーツ用品」(前期比46.3%増)、「精密機器・事務用品」(同28.5%増)など伸長、「情報・通信」(同13.5%減)、「官公庁・団体」(同35.3%減)など減少。
こうしてみると、企業は吹きようにより大幅予算カットしているが、より効率を求めた広告媒体を使用しているようである。最近の新聞・テレビは通販CMだらけ、通販で業界は持っているようなものとなっている。これでは通販業界から多額の献金を受けている民主政権は、社民党の福島氏が目論む通販規制を実行するのは99%ないものと思われる。しかし、政権握る民主だけに加護される通販業界になったら、自民政権より規制が後退することになる。健康上よろしくない。
自動車・関連は、前期比▲49.7%と過激なくらい減少しているが、当時、経団連の奥田さんが経団連の方針に批判的なメディアに対して「広告を減らす」と恫喝を入れたが、奥田さんがトヨタで、イケイケドンドン時代、開発・生産させたトヨタ車がリコールの雨・霰・嵐となっている。奢れる者久しからずであるが、御手洗さんは民主政権下でも協力して動いているものの、奥田さんの名前は一切マスコミに登場しなくなった。マスコミも所詮人が作り上げている。
最近のマスコミは、国民意識を誘導するような奢れる存在になっている点が気がかりである。己のスタンスを持たない殆どのマスコミ人は、マクルーハンを読んでみなされ。
[ 2010年5月18日 ]
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