アイコン スマートソリューションビル(環境負荷半減)の全貌/清水建設新本社 専用ラボ完成

清水建設は、技術研究所内(東京都江東区越中島)に、CO2排出量を標準的なオフィスビルの1/2に削減する環境技術をはじめ、京橋新本社に採用する各種先端技術を実証・体験するための研究施設「スマートソリューションラボ」(SSラボ)が完成、公開する。 

昨年4月に着工した京橋新本社ビル(地上22階、地下3階、2012年春竣工予)は、そのコンセプト「超環境型オフィス」の通り、国内最高レベルの省エネルギービル。昨年9月に建設した旧ラボは、既に300団体、3千人を超す来場者を記録しているが、新ラボに統合する。新SSラボの特徴は、旧ラボで採用した照明・空調システムに加え、外装材から各種設備機器、什器・備品、レイアウトなどにいたるまで、ほぼ新本社の意匠・仕様に基づき計画していること。このため、外から新ラボを眺めると、構造体・外装材・環境装置等の機能を兼ね備え、新本社の外観を特徴付ける「ハイブリッド外装システム」の仕組みを一目で理解でき、ラボ内に入るとCO2削減に大きく貢献する照明・空調環境はもとより、完成後の新本社と同じオフィス環境を体感できる。

新本社ビルでは、こうした技術の採用により、同規模の一般的なオフィスビルに比べ、運用段階のCO2排出量を約50%、年間で約2500トン削減する。
 
≪スマートソリューションラボに採用している主な先端技術≫

<ハイブリッド外装システム>
建物外周部に位置する柱・梁を細分化して構築したフレームの中に、ガラス、耐震パネル、太陽光発電パネルを組み込んだ外装システム。細分化した柱・梁は、ガラス面から50cmほど張り出しており、太陽光を遮断する庇の役割も果たす。

<タスク&アンビエント方式の空調・照明システム>
タスク&アンビエントは空調システムと照明システムのベースとなる考え方。アンビエントは室内全体を、タスクは作業場の個別の空調・照明という位置づけである。

<空調システム>
アンビエント(全体空調)役は輻射空調システムである。天井パネル内部に設置したパイプの中に冷温水を流すことにより室温を調整するので、不快な気流はなく、室内の温度差もほとんどない。タスク(個別空調)役は、各人の机下に設ける給気口。靴先で開閉することにより、好みに合わせて気流を確保できる。給気口から吹き出す空気は、デシカント空調機により除湿され、夏場に懸念される天井パネルへの結露を防止する。
新本社ビルでは、これらの空調システムと地域冷暖房から発生する廃熱を利用することにより、従来の空調システムに比べて空調エネルギーを30%削減する。

<照明システム>
アンビエント(全体照明)役は、天井面に設けた長寿命のLED照明。この照明により、机上の明るさを約300ルクスに保つ。一般的なオフィスはオフィス全体を700ルクスに保ちますが、デスクワークに多いパソコン操作には700ルクスは必要ないとされる。タスク(個別照明)役は、各人の机上に設けるLED照明スタンド。小さな文字や図面を読む時に点灯することで、天井照明とスタンド照明を併せて700ルクスを確保する。
一方、太陽光も照明に利用する。従来、太陽光を遮断していたブラインドの機能を見直し、太陽光をブラインドに反射させて室内に採り込む「グラデーションブラインド」を採用する。このブラインドは、太陽光の照射角度によりブラインドの角度を変化させ、効果的に太陽光をオフィス内に採り入れる。
新本社では、こうした照明方式により、従来の照明システムに比べて消費エネルギー量を90%削減する。
 
<太陽光発電と蓄電池を利用したマイクログリッド >
昼間の商用電力のピークカットなど運用段階における省エネを目的に、太陽光発電と蓄電池を商用電力と併用したマイクログリッドを構築する。その仕組みは、本社内で消費している電力や太陽光電力の変動を常時監視することにより、太陽光電力を100%消費した上で、同電力が急激に低下した際に蓄電池から必要な電力を供給して商用電力への依存を抑制し、ピークカットを図るというもの。
この仕組みにより、新本社では商用電力のピークを3%程度カットでき、契約電力を約70kW削減できる。また、太陽光発電により、年間のCO2排出量を年間30t削減する。
 
京橋新本社の工事概要
所在地:
中央区京橋2-16-1
規 模:
建築面積2,200m2、延床面積51,800m2
地下3階・地上22階・棟屋1階、高さ110m
構 造:
免震構造、鉄筋コンクリート構造(一部鉄骨造)
竣 工:
平成24年春

構造体・外装材・環境装置等の機能を兼ね備え、新本社の外観を 特徴づける
「ハイブリッド外装システム」
スマートソリューションラボの室内の様子。天井には輻射空調パネル、 天井照明と机上のスタンドにはLEDが採用されている
 
[ 2010年5月25日 ]
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