アイコン 上昇する鋼材価格 2万円高/新日鐵、トヨタと合意

日本経済は、中国経済の好景気に引きずられ、輸出産業を中心に回復途上にある。GDP指数も年率換算3.8%と好転してきているようであるが、日本の実体経済は底這状態が続いている。
経済の基幹産業の一つである鉄鋼業界は、原料となる鉄鉱石価格が、世界の3大生産メジャーにより価格形成され、その価格は世界最大の鉄鋼生産国かつ需要国である中国との交渉次第となっている。メジャーは中国の需要により強気であり、確実に値上りし続けている。 

そうしたなか行われた新日鐵とトヨタの自動車向け鋼板類の価格交渉は、2万円高で決着した。こうした価格上昇は、製品価格への転嫁が免れず、自動車や造船・機械・白物家電類は、国際競争力を損なうおそれもある。
造船業界は、リーマンショック前までは世界経済の好転により、久しぶりに好景気に沸いたが、その後は受注残が急激に悪化している。日本の造船業界の需給バランスは1/10程度といわれ、その上鉄鉱価格が上昇すれば、ますます国際競争力をなくし、悪化するとされている。これまでも長崎の三菱造船所では、造船部材を東南アジアで生産、船価を抑えてきたとされるが、鋼板類の価格上昇は、造船技術がグローバル化する中で一段と造船業界の国際競争力をなくすものとなる。
また、H形鋼やCチャンなどの上昇は、建設業界に与える影響も大きく、ドン底の建設需要に追い討ちをかけるものとなる。

10日現在のH形鋼(5.5 / 8 X 200 X 100)の相場は、東京:高値84千円-安値82千円、福岡高値86千円-安値85千円となっている。
 

[ 2010年6月10日 ]
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